「見たこと作文」をしよう!
「見たこと作文」創始者 上條晴夫(『授業づくりネットワーク』編集長)

○見たこと作文がおもしろい

 子どもたちに作文ノートを書かせます。「見たこと作文」です。
 「したこと」でなく、「見たこと」を書かせるのが特徴です。
 たとえば、次の作文(小2)です。

 きょう、ぼくは、たんぽぽのねっこをとってきました。
 やわらかい土のは、ねっこがまっすぐで、きのうのかたい土のは、ねっこがくねくねしているのがわかりました。
 おとは、ポキッとなりました。
 ねっこは、11センチありました。ねっこの中は、白いです。
                                                  (後略)

 「やわらかい土のは、ねっこがまっすぐで、かたい土のは、ねっこがくねくねしている」のところに発見があります。
 「見たこと作文」では、このような「ふしぎ発見」が続出します。先生もおどろくような大発見が、飛び出してきます。

○見たこと作文の約束

 「したこと」の作文には、次のような暗黙の前提があります。
1.いつもと違うこと
 しかも、
2.感動的な出来事を
3.思い出して書く
のです。
 また、どう書くかについても、
4.個性的な表現
 が求められます。
 どうしても、個別指導が必要になります。むずかしさがあります。
 一方、「見たこと作文」では、次の3つが約束事です。

1.決めたテーマについて書く。
2.追究したことを書く。
3.発見を中心に書く。

 書く気があったら、だれでも書けます。
 テーマについて、その子なりに追究したことが、全部書く材料になります。
 書き方は、書式を設定してやることができます。一斉指導が可能です。

○見たこと作文の指導法ABC

 導入のポイントは次の3つです。

コツ1 「見たこと」を書かせる。

 「したこと」ではなく、「見たこと」を書かせます。短くてもいいです。
 決められたテーマで、見たことが書けていたら、どんどんほめます。書きなれることが大事です。
 しばらくトレーニングしたら、クラス全体で同一のテーマ(ネタ)を追究します。
 「たんぽぽ」「蜘蛛」「ひがんばな」「どんぐり」「かたつむり」などが適材です。

コツ2 「あいまいさ」を指摘する。

 子どもの作文は、必ず目を通します。赤丸をつけ、評価します。
 ほかの子に、マネしてほしいところのある作品は、読み聞かせます。
 読み聞かせのとき、作品の中に、「あいまいなところ」を見つけだし、疑問文の形に板書します。
たとえば、「たんぽぽに、おしべ・めしべはあるのか」のようにです。
 このハテナについて、『セーノ、ドン』で、顔の前に両手で大きくマル・バツを作らせます。子ども全員に、立場をとらせます。賛否両論が出ます。
 この指導をすることで、子どもの中に、問題意識が成立します。
 たんぽぽに、おしべ・めしべはあるのか。追究が始まります。子どもたちはよく見ます。人にも聞いてみます。本でも調べます。
 教室の中に、情報の対立と交流が起こるようになります。

コツ3 「見方・考え方」を教える。

 とくにすぐれた作品は、一枚文集にします。
 作品を視写したあとに、なぜすぐれているのか、理由を書きます。
 たとえば、先のたんぽぽの根っこの作文では、硬い土の根と柔らかい土の根を比べて見ています。
そこが、グッドです。
 作品に即して考察の文を書くのです。
 今年(注、1990年)の1月に、『見たこと作文でふしぎ発見』(学事出版)という本を出しましたので参考にしてください。

(『子どもと教育』(あゆみ出版)1990年5月 所収)

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