メールマガジン「実践!作文研究」
第83号(2001.9.2)


調べ学習に役立つ作文技術の情報誌
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第83号 2001年9月2日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。「実践!作文研究」第83号をお届けします。
 明日から2学期が始まるという学校も多いことでしょう。
 夏休み企画のリレー連載「総合的学習には見たこと作文がよく似
合う」は今回、最終回を迎えます。
 最終回は、上條晴夫さんの【総合的学習の視点から見た見たこと
作文Q&A】です。実は、このQ&Aは全部で10個あるのですが、
紙幅の関係から、ここではそのうちの3つを取り上げます。
 残りのQ&Aについては、「授業づくりネットワーク」会員に送
付されるニュースレター『授業づくりネットワーク会員版』9月号
に掲載される他、後日「実践!作文研究」のHPにも掲載されます。

授業づくりネットワークHP http://w3.nms.co.jp/users/jnw/
実践!作文研究HP  http://www.jugyo.jp/sakubun/

         ◆     ◆     ◆

−−2.リレー連載
     「総合的学習には見たこと作文がよく似合う」−−

          メールマガジン「実践!作文研究」編集主幹
                          上條晴夫

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   総合的学習には見たこと作文がよく似合う!
   総合的学習の視点から見た見たこと作文Q&A
                         Q:石川晋
               (協力:札幌稲積中・見須明彦)
                        A:上條晴夫
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 総合的学習に見たこと作文のシステムがよく合います。そもそも
見たこと作文実践のルーツは奈良女子大学付属小学校の「見たこと
帳」です。見たこと作文は見る力を育てる新しい作文指導の方法と
して標準化してありますが、ここから総合的学習の様々な教育技術
を学ぶことができます。本稿では北海道・中学校で見たこと作文実
践を進めている石川晋氏の協力を得て「総合的学習の視点から見た
見たこと作文」というQ&A形式の原稿を創りました。どうぞここ
から実践のヒントを掴んで下さい。

┌────────────────────────────┐
│■1:                         |
| 見たこと作文をおもしろがって書く生徒は確かに多いです。|
|しかし、中学校では年ごとに生徒の学力が低下し、しかも耐性|
|がない生徒が増える中、「〇〇を見た」でさえ書こうとしない|
|生徒も出てきています。もっと強制的に書かせる指導が必要な|
|のではないか、と悩んでいます。どうでしょうか。     │
└────────────────────────────┘

 わたしが「見たこと作文」実践していた地区は必ずしも進学熱が
高いわけでもなく学力が低い子も少なくなかったです。また耐性の
弱い子どもたちもいました。

 わたしの「見たこと作文」は正にそうした場所で実践をされたも
のです。そうした状況の中でわたしが依拠したのは「子どもの興味
・関心」でした。「あなたの興味のあることを書きなさい」「短く
てもいいです」「毎日書きなさい」と呼びかけるところから実践を
スタートさせました。

 実は「見たこと作文」の前には強制力を発動させるようなやり方
もあれこれやって試してみました。しかし正に「学習意欲が低く、
耐性も弱い」ような子どもたちにはそうした強制力を働かせる方法
は効果がありませんでした。(*強制力を使う方法が効くのは勉強
のできる子たちでした)

 わたしの「見たこと作文」実践では学期始めにたいてい子どもた
ちの「興味(関心)地図」を作る作業をやっていました。

 興味地図とは教科の学習内容に関係なく誰が何にどんな興味をも
っているのかをできるだけ詳しく地図のように記した教師用メモノ
ートです。このメモはわたしが見たこと作文実践をする上で非常に
重要な役目を持つツールの一つでした。

 子ども一人ひとりの興味・関心を徹底して調べ上げ、それを書く
ように促すことが見たこと作文の考え方の基礎にあります。この方
法は「あの子が!」というくらいの勉強嫌いにも意外な力を発揮し
ました。

 ただしこの方法論は自分なりの興味・関心を持てないでいる子に
は無力です。そこで考えられるのが「材への指さし」です。

 クラスの友だちが楽しそうにやっているテーマについてマネでよ
いから書くように促します。そしてその子をクラスの追究の渦の中
に巻き込んでいきます。そうすることで「書くこと」に近づけてい
きます。

 以上が「見たこと作文」の基礎となる考え方です。わたしはこう
した考え方に従って「見たこと作文」を創りました。そうしたら
「勉強嫌い・作文嫌い」の子どももけっこう生き生きと追究してく
れました。

 ちなみに「短くても必ず書く!」という一点については「見たこ
と作文」は強制を行います。その強制の中で「ただし何を書くかは
自由です」「自分の興味・関心のあるものを書きなさい」「思いつ
かなければクラスの他の子のテーマを真似なさい」というふうに誘
い込んでいきます。

┌────────────────────────────┐
│■2:                         |
| 見たこと作文の一枚文集に模範になるような優れた作文を選|
|んで載せてきたのですが、だんだん書かない生徒が増えてきて|
|しまいました。どうすればいいのでしょうか。       │
└────────────────────────────┘

 わたしの書く一枚文集では「模範になる優れた作文」を載せるこ
とは滅多にありませんでした。つまり「長い」「気の利いた」「表
現形式の整った」作品などです。

 一枚文集に載せる作文の「裏原則」(表の原則は「新ネタ」「新
ハテナ」「新表現」などの形でこれまでにも文章にしてきたと思い
ます)は「短い文」「ぎこちない文」「傷のある文」です。そうい
う作文中心でないと「あんな立派なのは書けない」とクラスの子に
思われてしまうからです。

 同じレベルの「新ネタ」「新ハテナ」「新表現」の作品であれば、
少しでも「短く」「ぎこちなく」「傷のある」ものを選びます。こ
うすると他の子も「そのくらいなら自分も書ける」となりやすいか
らです。

 ちなみに流れでどうしても「模範になるような優れた作文」を載
せなくてはならなくなった場合は、その作文を読み上げた後に言い
ます。「すごいです」「天才的な作品です」「でも絶対真似しない
で下さい」

 なぜなら普通の子が普通に真似できる作文は平均点(総合点)の
高い「模範になるような優れた作文」ではなく、「新ネタ」「新ハ
テナ」「新表現」などについて一点突破的に優れている作文だから
です。

 故に「だんだん書かない生徒が増えてきてしまう」のは一枚文集
に「模範になるような優れた作文」を載せることで起こっているの
ではないかなあと予想します。

┌────────────────────────────┐
│■3:                         |
| 一枚文集に載せる作文を選ぶ時、話題がつながっていきそう|
|だと思う作文を5本並べるのですが、生徒は次の時にはぜんぜ|
|ん違うものを書いてきます。載せる作文を選ぶ際に気をつけな|
|くてはならないことは何ですか?             │
└────────────────────────────┘

 子どもがクラスで追究している内容とは全然別の作品を書いてく
るというのはすごいことです。本当ならば全ての子どもがこうした
状態になってくれればよいと思います。先に書いたように見たこと
作文のネタはそうでない子のための「作戦」です。

 教師が並べたのとは全然違う作品を書いてくるというのはこの観
点からすると誉められこそすれ問題とするには当たらないことだろ
うと思います。「自分のオリジナルネタで書ける子はどんどん書き
なさい」とわたしはいつでも言っていました。

 ただし「オリジナルネタ」で生き生きとした作品を書くわけでも
なく、かといって学級ネタを書くでもなく。要するに乗っていない
作品を書く子が出るという場合は「一枚文集に載せる作文」の「ハ
テナ」が弱いからじゃないかと思います。

 見たこと作文では思わず突っかかってみたくなるような「全称文」
(全ての**は〜〜である)に対して「○か×か」という立場を取
らせる指導をします。この子にこそこだわってほしいという子がい
れば、「あなたはどっち?」とまず答えを聞いてから他の子たちに
「○か×か」をします。

 ちなみにこの「○か×か」の指導をする時に教室の中で思う存分
その理由を語らせてしまう(ディスカッションする)という追試報
告を時々聞きます。わたしはそうはしませんでした。立場だけ取ら
せて理由はあえて言わせないようにしました。「言いたいことがあ
ったら証拠付きで作文に書きなさい」というふうに言っていました。

 子どもの中に「こだわり」を発生させるには「発散」させない方
がよいと思ったからです。このわたしの「発散させない」方法論は
ほぼ成功したと思っています。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 上條晴夫(かみじょう はるお)
 小学校教師を経て、文筆・評論活動に入る。
 現在、『授業づくりネットワーク』編集代表、全国教室ディベー
ト連盟常任理事、学習ゲーム研究会代表、メールマガジン『授業づ
くりネットワーク21』『実践!作文研究』『議論批評研究会通信』
『メディアリテラシー教育21』編集主幹。
 著書・編著書に『見たこと作文でふしぎ発見』『作文指導10のコ
ツ』『作文指導20のネタ』『子どもを本好きにする読書指導50のコ
ツ』『「勉強嫌い」をなすく学習ゲーム入門』『教師のためのイン
ターネット仕事術』(以上、学事出版)、『授業でつかえる漢字遊
びベスト50』『実践・子どもウォッチング』(民衆社)、『総合的
な学習のための教育技術−調べ学習のコツと作文的方法−』(健学
社)、『さんま大先生に学ぶ 子どもは笑わせるに限る』(フジテ
レビ出版)他。

         ◆     ◆     ◆

−−3.編集後記−−

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