メールマガジン「実践!作文研究」
第74号(2001.7.1)


調べ学習に役立つ作文技術の情報誌
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第74号 2001年7月1日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。「実践!作文研究」第74号をお届けします。
 今日から7月ということで、いよいよ本格的に日本の夏がやって
来そうですね。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
 今回は、「総合的な学習のための作文技術」第3回で「えんぴつ
対談」についてです。ではお読みください。

         ◆     ◆     ◆

−−2.連載「総合的な学習のための作文技術」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

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総合的な学習のための作文技術 第3回

   えんぴつ対談
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■連載について
 本連載は以下の著書を拠り所にしている。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃上條晴夫『総合的な学習のための教育技術         ┃
┃         ─調べ学習のコツと作文的方法─』健学社┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 総合的学習には以下の二点が不可欠であると上條氏は言う。
┌────────────────────────────┐
│◎豊かな授業企画力                   │
│◎堅実な教育技術力           (前掲書3ページ)│
└────────────────────────────┘
 その上で、上條氏は現状の総合実践事例を分析し「授業企画は豊
かだが、教育技術が貧弱である」とする。そこで、総合的学習を支
える教育技術の一つとして「作文的方法」を取り上げる。そして、
「総合的学習を創る作文的方法のヒント20」を提案している。

 このような上條提案を受け、本連載では「総合的な学習のための
作文技術」を一つずつ取り上げ、実践事例を紹介する。

■えんぴつ対談とは?
┌────────────────────────────┐
│ えんぴつ対談とは「筆談」(紙に書き合う談話)である。 │
│                   (前掲書54ページ)│
└────────────────────────────┘
 二人で協力しながら、会話体のことば通りの対話で進めていくた
め「最も面白く最も簡単な作文」といわれている。

 このような作文を書かせるよさが三点に集約されている。
 (1) 書きたいことを「文章化」するための抵抗を最小限にする
 (2) 自分のことばをそのまま書くことで記述力を伸ばす
 (3) 自分の話し方を書き写すことによって「個性的表現」を伸ば
  す

■授業のながれ
 六年生の総合単元「体に障害を持つ人たちと交流しよう」の授業
である。子どもたちは車イス・ブラインドウォークで足・目の不自
由な人たちの体験学習を行っている。そこで今度は、耳の不自由な
人たちの体験をするという設定で「えんぴつ対談」を取り入れた。

 授業の最初に、教師は以下の作文を紹介する。
┌────────────────────────────┐
│ 今度から体に障害のある人たちのことを考える授業をするよ│
│うになりました。もしかしたら、耳の不自由な人や、目の不自│
│由な人を呼んで授業することができるかもしれないんですね。│
│もしそうなったら、私は学校内でいいから一緒に歩いてみたい│
│です。耳の不自由な人であれば、手話で一緒にお話ししてみた│
│いです。                        │
└────────────────────────────┘
『具体的にやってみたいことを書いてあるのがいいですね。そこで
さっそく手話などの学習ができると良いのですが、すぐには難しい
ので、今日はもう少し簡単なことをやりましょう』
 教師は「えんぴつ対談」と板書する。

『「対談」というのは二人一組で話をすることです。ただし、口で
話してはいけません。えんぴつで書きながらおしゃべりします』
 話題は、学校祭りに招待する養護学校との交流についてであるこ
とを説明する。さらに、養護学校の子たちを担当する二人でペアに
なることを告げて、質問を受け付けた。

「何に書くんですか?」
『作文用紙です。二人に一枚渡すので交互に書きます』
「交代したら前の人が書いた後ろに書き続けていいんですか?」
『そのときは行を替えるといいですね』
 以下の板書で書き方の例を示した。
┌────────────────────────────┐
│A:○○ちゃんて、どんな人かな?            │
│B:そうだなあ……△△な人かもね。           │
│A:                          │
│B:                          │
└────────────────────────────┘
 子どもたちは15分間、作文を書き続けた。その後、作品を全体に
紹介させながら、養護学校との交流計画についての話し合いを行っ
た。

■作品の考察
 子どもたちが書いた作品を一つ紹介する。
┌────────────────────────────┐
│K:ねぇねぇ、Tさんってさ〜、どんな子かな?      │
│Y:かわいかったらいいね。               │
│K:そういえば、Tさん、女の子だったっけ?       │
│Y:そうだよ。だって、H美ちゃんていうでしょ。     │
│K:そっか〜。ねぇ、Tさんとどんなことしたい?     │
│Y:う〜ん、まぁ、とにかくTさんが喜んでくれたらいいでし│
│  ょ。Kちゃんはどんなことしたい?          │
│K:そうだね〜。とくに考えてはいないけど、私はまず最初に│
│  Tさんと6年の店に行くね。             │
│Y:それも、そうだね。でも、Tさんて、車イス乗ってるんで│
│  しょ。ヨーヨーすくいできるかな?          │
│K:だいじょーぶ。心配なっしんぐ。きっとできるよ。   │
│Y:6年の店に来て楽しんでくれるかな?         │
│K:だいじょうぶ、だいじょうぶ。たぶん楽しんでくれるって│
│  〜。                        │
│Y:6年の店に行ったら、次どこに連れて行ってあげる?  │
│K:う〜んとね、2年生のとこかな。Yちゃんは?     │
│Y:それもいいね。                   │
└────────────────────────────┘
 軽快な口調で話を進めるKさんと、的確な質問で話を深めるYさ
ん、二人の役割分担が自然にできているところが良い。

 Kさんに限らず「えっ!」「おー(感動)」などの会話体を使っ
て楽しそうに話を進めている様子が全体的にうかがえた。はじめて
経験する「えんぴつ対談」であったが、子どもたちは気軽に楽しめ
たようである。

 それでも、Yさんのように話題からそれることなく質問を続けら
れたのは「体に障害を持つ人たちと交流しよう」というテーマを子
どもたちが意識していたためだと思われる。他のペアでも「さっき
の話にもどろう」などという言い方が自然に行われていた。
               *
 「えんぴつ対談」は気楽に取り組めるだけに「とりとめのない無
駄話」や「悪口の言い合い」になって失敗することもある。(前掲
書55ページ)

 そこで今回のテーマ「どうやって養護学校の子たちを学校祭りで
案内するか」のように、子どもたちが自然に書き続けられるような
話題を与えることが大切である。

 総合的な学習において、子どもたちが今後の活動について思いを
めぐらせる場面を仕組みたいときがある。そんなとき、この「えん
ぴつ対談」で黙ったまま相手と語り合いながら書くことを促してみ
てはどうだろうか。

 なお「えんぴつ対談」については、以下のページでも詳しく知る
ことができる。
http://member.nifty.ne.jp/m-age/txt/tachiaijugyokekka.html

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭
 所属団体:授業づくりネットワーク
      学習ゲーム研究会
      全国教室ディベート連盟など
 主な著書:『ワークショップ型総合学習の授業事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      『小学校ディベート授業がてがるにできるモデル立論
       集』(共著)など
      以上学事出版刊

         ◆     ◆     ◆

−−3.ホームページ進化情報−−
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○ホームページアクセス数が44000を突破しました。
○おかげさまで、当メルマガの読者も1900人を突破しました。
 2000人は目の前ですね。今後ともよろしくお願いします。

         ◆     ◆     ◆

−−4.編集後記−−

★次号予告
 07/08 No.75 堀 裕嗣「義務教育で培う20の作文技術」

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編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
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