メールマガジン「実践!作文研究」
第66号(2001.5.6)


調べ学習に役立つ作文技術の情報誌
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第66号 2001年5月6日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。「実践!作文研究」第66号をお届けします。
 ゴールデンウィークに突入したと思ったら、あっという間にもう
終わりじゃないですか。私はこの4連休、放送大学の勉強に明け暮
れてしまいました。皆さんはこのGW、どう過ごしましたか?
 さて今回は、佐内さんの連載「総合的な学習のための作文技術」
の2回目です。データ重視のウソ作文といったところでしょうか。
それではお読みください。実践報告もお待ちしています。

         ◆     ◆     ◆

−−2.連載「総合的な学習のための作文技術」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

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総合的な学習のための作文技術 第2回

   予想作文
============================================================

■連載について
 本連載は以下の著書を拠り所にしている。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃上條晴夫『総合的な学習のための教育技術         ┃
┃         ─調べ学習のコツと作文的方法─』健学社┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 総合的学習には以下の二点が不可欠であると上條氏は言う。
┌────────────────────────────┐
│◎豊かな授業企画力                   │
│◎堅実な教育技術力           (前掲書3ページ)│
└────────────────────────────┘
 その上で、上條氏は現状の総合実践事例を分析し「授業企画は豊
かだが、教育技術が貧弱である」とする。そこで、総合的学習を支
える教育技術の一つとして「作文的方法」を取り上げる。そして、
「総合的学習を創る作文的方法のヒント20」を提案している。

 このような上條提案を受け、本連載では「総合的な学習のための
作文技術」を一つずつ取り上げ、実践事例を紹介する。

■予想作文とは?
┌────────────────────────────┐
│ 予想作文とは「事実ではない出来事を予想して書く」作文で│
│ある。                (前掲書110ページ)│
└────────────────────────────┘
 「もしも作文」(ウソ作文)の一種であるが、「単なるウソでは
なくある一定のデータに基づいて書く」という特徴を持つ「シミュ
レーション作文」である。
 このような作文を書かせるよさが三点に集約されている。
 (1) 「ウソ」を書いてよいので楽な気持ちで作文を書くことがで
  きる
 (2) データなどをもとに書くのでまったく何もないところから想
  像するよりもやさしい
 (3) 文章表現の点でさまざまな工夫をすることができる、生き生
  きした表現になる

■授業のながれ
 六年生の移動教室を二週間後に控えた授業である。
 まず、移動教室の準備を進めるために「予想作文」を書くという
説明を教師が行った。すでに移動教室の行程は説明してあるので、
子どもたちは興味を持って教師の話を聞いている。

 「移動教室に起きそうな出来事を予想して書く」という簡単な説
明をしてから、以下二つのポイントを板書した。
┌────────────────────────────┐
│(1) ウソ(想像して書く)                │
│(2) ホント(調べて書く)                │
└────────────────────────────┘
『まず、一つ目のポイントです。まだ行ってない移動教室のことを
想像して書くのですから、ウソをついて構いません。どんどん楽し
いウソを書いてください』
「友達を登場させてもいいんですか?」
『いいですねぇ、その方がにぎやかになりそうですね』

「どこに行ったときのことを書いてもいいんですか?」
『好きな場所を選んでください。ただし、ここで二つ目のポイント
が必要になります。いくらウソをついて良いと言っても、全くのデ
タラメだとかえって白けてしまいます。たとえば、移動教室で宇宙
旅行はまだ無理ですよね。そこで、行く場所については「しおり」
の中から選んで、できる限りホントのことを調べて書きましょう』

 しおりの地図を見ながら、以下の行程を確認して板書した。
┌────────────────────────────┐
│<一日目> 鎌倉大仏                  │
│      大仏ハイキングコース            │
│      鶴岡八幡宮                 │
│      沖の島                   │
│<二日目> 鴨川シーワールド              │
│      砂山                    │
│<三日目> 国立歴史民俗博物館             │
└────────────────────────────┘
 おもな見学場所については、しおりの本に写真や簡単な説明が
載っているので参考にするよう促した。しおりの情報が足りないと
思われる場所についてはパンフレットを印刷しておき、調べるとき
の材料にできるよう配慮した。

 さて準備も終わり、いよいよ原稿用紙を配って作文を書き始め
る。その際、通常の原稿用紙を半分に切った「ミニ原稿用紙」(前
掲書114ページ)を用意した。200字という規模の提示で書くことへ
の抵抗感を軽くできる。さらに、一枚の原稿用紙に一つの場所につ
いて書くように指示することで、主題を統一して書くことを促して
いる。

 約三十分の間に、一人平均二〜三枚の作文を書き上げた。それぞ
れ自分の興味ある場所について、しおりやパンフレットを見ながら
楽しく書くことができた。

 子どもたちが書いた予想作文については、それぞれの見学場所ご
とに一つずつ選んで学級通信に掲載し、移動教室の事前指導に役立
てた。

■作品の考察
 子どもたちが書いた作品の中から二つ紹介する。
 まず一つ目は、巧みにウソを使っている作品である。
┌────────────────────────────┐
│   砂山                       │
│「ウワー、助けろー、助けてくれー」           │
│ なんと、H君が悲鳴をあげている。聞くとH君が「砂ぶろを│
│やりたい」と言ったので、T君とK君がうめてあげたら出られ│
│なくなったというのだ。                 │
│ それを聞いて先生がひっぱったが無理だった。そしたらG君│
│が「みんなでやればいいではないか」と言ったので、全員でや│
│ることになった。                    │
│ みんなが力を合わせた。するとスポッとぬけた。H君は助か│
│ったのだ。まるで大きなかぶの物語だとぼくは思った。   │
└────────────────────────────┘
 もちろん事実ではないが、友達のキャラクターを上手に生かして
ホントらしく書いている。また、会話による書き出し・物語のパロ
ディなど、文章表現上の工夫があるのも良い。

 二つ目は、調べたホントを上手に取り入れている作品である。
┌────────────────────────────┐
│   沖の島                      │
│ さて、沖の島につきました。さっそく私は貝をひろったり、│
│イソガニやカメノテをとったりして、楽しく過ごしました。 │
│ すると、近くに魚が一匹泳いでいます。私は「つかまえてフ│
│クロに入れて、みんなをビックリさせよう!!」と思って素手で│
│サッとつかまえました。見れば、ヒゲがあって黄色の線がカワ│
│イイ魚です。友達に見せると「エッ、そ、それ、ゴンズイじゃ│
│ん?」と言われました。                 │
│ 人って知らない方が幸せなのかなぁ。          │
└────────────────────────────┘
 しおりの本に書いてあった「磯の生き物」をうまく書き入れてい
る。特に、毒を持つ魚ゴンズイの使い方がうまい。最後のオチの言
葉にも工夫が感じられる。
               *
 この二人に限らず、その子なりの興味関心の方向が作文からうか
がえて面白い。子どもたちはきっと、自分なりの課題意識を持ちな
がら移動教室に参加するだろう。

 子どもたちにとって宿泊行事は特別なものである。そこでの体験
をもとに総合的な学習の課題づくりを行うケースも多いだろう。そ
の際、予想作文を書いて事前にシミュレーションすることが、より
質の高い体験を促し、その後の課題づくりに役立つと思われる。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭
 所属団体:授業づくりネットワーク
      学習ゲーム研究会
      全国教室ディベート連盟など
 主な著書:『ワークショップ型総合学習の授業事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      『小学校ディベート授業がてがるにできるモデル立論
       集』(共著)など
      以上学事出版刊

         ◆     ◆     ◆

−−3.ホームページ進化情報−−

○「見たこと作文」関連のページが進化中です。手始めに、見たこ
 と作文関連の本の情報のページから、それぞれの本が買えるよう
 にYahoo!ブックスショッピングにリンクしました。ご覧あれ。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/mitasaku/

○「おもしろ作文道場」は第14回になりました。今回は、
 「○○に似ています」というウソ作文を募集中です。ぜひ、挑戦
 してみてください。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/toko/q-14.html

−−4.編集後記−−

★次号予告
 05/13 No.67
 松田善啓「こうすればラジオでハガキが読まれる 2」

★広告【今回の本誌執筆者・佐内信之さんが編集長のマガジンです】
 「学習ゲーム研究会」情報誌『m-age』MM版
 05/06 No.41 <追試> ゴーイング・ドッティ/中村健一
       http://homepage.mac.com/nsanai/

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編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
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