メールマガジン「実践!作文研究」
第64号(2001.4.22)


調べ学習に役立つ作文技術の情報誌
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第64号 2001年4月22日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。「実践!作文研究」第64号をお届けします。
 2001年度がスタートして、早くも4月下旬です。皆さんはい
かがお過ごしでしょうか。
 さて今回は、茨城大学の大内善一先生に登場していただきます。
 大内先生には、4〜6月の第4週に登場していただきますが、そ
の第1回に当たる今回は、3月に出版された作文の著書の自著紹介
をしていただきました。それではどうぞ、お読みください。

         ◆     ◆     ◆

−−2.「伝え合う力」を育てる双方向型作文学習の創造−−
                      茨城大学教育学部
                          大内善一

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   「伝え合う力」を育てる双方向型作文学習の創造
                        《第1回》
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 この3月に明治図書から『「伝え合う力」を育てる双方向型作文
学習の創造』という本を出版してもらいました。以下、自著紹介み
たいな内容になってしまいますが、本書の内容について紹介してい
きます。

 私はこれまで、『思考を鍛える作文授業づくり』(平成6年6月、
明治図書)、『書き足し・書き替え作文の授業づくり』(『実践国
語研究別冊』156号、平成8年2月、明治図書)、『コピー作文の授
業づくり』(『コピー作文がおもしろい』平成9年7月、学事出版、
『実践国語研究別冊』180号、平成9年12月、明治図書)などの提案
を行ってきました。

 これらの提案は、これまでの作文指導の在り方を見つめ直すこと
から始まったものです。今回の本でも、同様にこれまでの作文指導
実践を見つめ直すことから始まりました。
 その結果、これまで行われていた作文指導が、学級という集団の
場で行われていたにも関わらず、その「書くこと」の活動があまり
にも〈個〉に埋没しすぎていたのではないか、という問題点を取り
出すことになったのです。

 確かに一般的に見れば、「書く」という活動は、「話す・聞く」
活動と比べて〈場面性〉や〈臨場性〉には乏しいといえます。「書
く」活動では、「話す・聞く」活動のように、書くことの相手であ
る読み手を想定することは出来ても、その読み手が目の前にいなか
ったり、直ちに読み手からの反応が得にくいといった状況の中で書
かざるを得ません。
 それに比べると、「話す・聞く」活動の場合には、聞き手が目の
前にいて、その反応を確かめながら話を続けていくことが出来ます。
その結果、話す活動への弾みもついてきます。
 この違いは「書く」活動と「話す・聞く」活動との本質的な違い
として決しておろそかには出来ません。
 しかし、これはあくまでも、社会一般の生活の場における状況な
のです。学校という学習の場では、状況が異なります。学級という
場では、話すことの活動ばかりでなく、書くことの活動においても、
工夫次第で書き手も読み手も同時に存在するような状況を創り出す
ことが可能なのです。
 つまり、読み手が次の学習ステップにおいては書き手となり、反
対に最初の書き手が読み手となるといった状況を意図的に創り出し
さえすれば、学級という同じ場所に書き手と読み手がほぼ同時に存
在するということになります。

 学習の場には、せっかく大勢の子どもが机を並べているのです。
こうした環境を利用しない手はないでしょう。これらの「書くこと
(作文)」の指導においては、社会一般の生活の場とは異なるこの
ような学級という場の特性を大いに活用していくべきでしょう。
 そして、こうした考え方は、今回の新学習指導要領の国語科の総
括目標に入ってきた「伝え合う力」の育成とぴったり重なっていく
のです。
 そこで、私は右のような「書くこと(作文)」の学習の方法を
「伝え合う力」を高める〈双方向型作文学習〉と名づけることにし
たのです。

 本書の中では、この双方向型作文学習を教育現場において積極的
に創り出していって戴くために、可能な限り具体的な実践事例を取
り上げて、その手順や方法を提示することに努めました。
 それから、私は平素から教育用語、とりわけ実践用語の曖昧性に
強い関心を抱いてきました。新学習指導要領において「伝え合う力」
という用語が登場した途端に、「コミュニケーション」とか「コミ
ュニケーション能力」という言葉が世上を賑わし始めました。
 「コミュニケーション」という概念が大切でないとは言いません。
しかし、この言葉は非常に多義的でその意味するところは極めて曖
昧です。
 その定義を調べますと、その数は百二十種にも上ると言う学者も
います。「コミュニケーション」という用語は様々な科学の中で使
用されている重要な用語だからです。最近では、大学にも「コミュ
ニケーション学科」とか「コミュニケーション学部」というものま
であります。何となく〈新しい学部・学科〉という印象を与えます。
しかし、その意味するところは、極めて広範囲にわたりますし、意
外と曖昧です。

 こうした巨大用語(ビッグワード)を実践用語としてむやみやた
らと使用することには問題が多すぎます。
 「コミュニケーション」という用語のような曖昧な言葉を教師が
四六時中使っていたら、国語の教室はどうなるのでしょうか。私は、
今回この本の中では、この「コミュニケーション」という言葉に対
して敢えて〈ノー〉という回答を下しました。「伝え合う力」とい
う立派な日本語が新学習指導要領において登場したからです。
 私たち国語教師は、この「コミュニケーション」という用語も含
めて、もう少し教育用語、実践用語について意を用いていく必要が
あるのではないでしょうか。

 さて、「双方向型作文学習」の実践方法については、もはや述べ
るスペースがなくなりました。これは、是非冒頭に紹介しました拙
著『「伝え合う力」を育てる双方向型作文学習の創造』(明治図書)
をお読みいただければと思います。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 大内善一(おおうちぜんいち)
 秋田大学教育文化学部教授を経て、現在、茨城大学教育学部教授。
 全国大学国語教育学会(全国理事)、
 日本教育技術教育学会(理事)、
 日本言語技術教育学会(理事)、
 日本読書学会、表現学会等に所属。
 著書に、『戦後作文教育史研究』(教育出版センター)、
 『国語科教材分析の観点と方法』(明治図書)、
 『思考を鍛える作文授業づくり』(明治図書)、
 『戦後作文・生活綴り方教育論争』(明治図書)、
 『作文授業づくりの到達点と課題』(東京書籍)、
 『コピー作文がおもしろい』(学事出版)その他がある。

         ◆     ◆     ◆

−−3.編集後記−−

★4月から6月までの毎月第4週は茨城大学の大内先生に登場して
 いただきます。5月と6月は、「メディアリテラシーを育てる
 『作文』の授業」というテーマで書いていただけるということで
 す。どうぞお楽しみに。大内先生、よろしくお願いします。

★次号予告
 04/29 No.65 上條晴夫(MM「実践!作文研究」編集主幹)

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