メールマガジン「実践!作文研究」
第58号(2001.3.11)


調べ学習に役立つ作文技術の情報誌
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第58号 2001年3月11日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。「実践!作文研究」第58号をお届けしま
す。今回は、北海道教育大学の安藤豊先生の登場です。安藤先生に
は、学生へのレポート指導についてご寄稿をお願いいたしました。
 これを読むと、文章の書き方を身につけることがいかに大切か、
ということがわかります。それではお読みください。
(今回は、「編集後記」でもちらっとお目にかかります。)

         ◆     ◆     ◆

−−2.大学における学生のレポート指導について−−
                        北海道・大学
                          安藤 豊

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      大学における学生のレポート指導について
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■はじめに

 なぜ私なのか定かではないのだが、レポート指導について報告せ
よとのことである。
 私の担当科目は社会科教育法である。国語教育法担当なら別のこ
とを考えるかも知れないが、作文指導は片手間で行っているにすぎ
ない。だから、「作文研究」の役に立つとはあまり思えない。
  しかし、寄稿をOKしてしまったので、義務だけ果たそうと思う。

■講義シラバスから

  まず、小学校社会科教育法のシラバスを見ていただく。私の「レ
ポート指導」はこれに尽きている。読んでいただければ判る。これ
以上、説明を加える必要はないと思う。受講生約90名、毎週レポ
ートを書かせ、指示にしたがった文章になっているかどうか1枚づ
つ点検・チェックし、赤を入れる。違反レポートは減点する、これ
だけである。

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■本年度の講義予定
 (予定は未定にして決定にあらず。まぁ、大体こんなことをやる
   ということです)

(省略)

■受講にあたっての諸注意

(1)ノートの取り方……(省略)
(2)資料(プリント)の整理……(省略)
(3)ミニ・レポートの書き方…………本講義では、様々なレポー
  トを書いていただきます。後で説明しますように、課題レポー
  ト(今週のプレゼント)、講義中に書いてもらう意見・感想文
  ・小テストなどです。これらをミニ・レポートと総称します。
  これらの提出は、後に説明しますように単位認定にかかわりま
  す。レポートの形式をあらかじめ決めておきますので、以下に
  したがって下さい。

  (後略)

(4)課題レポートについて
       −人間(じんかん)いたるところ論文あり−

  1.ほぼ毎週課題レポートを課します。

  2.私の方から、講義内容に関する論文や課題等をプリントし
    て配布します。その論文等を読みレポートを書いていただ
    きます。

    3.B5レポート用紙に上の書式で作成して下さい。枚数は、
    指示がない限り、B5レポート用紙1枚に限定します。1
    枚ビッシリ書いて下さい。記述量不足は後述のマーク (*)
    を付けます。情報価値の高い(つまり一文あたりの情報量
    の多い)文章を心がけて下さい。
    (*) トンでもないマーク(通称ブタマーク)のこと。
      「単位認定について」の中で説明している。

    4.記述内容は、1)その論文等に何が書いてあったか、自分の
    言葉で要約する。どうしても自分の言葉にならない時は、
    ルールにしたがって引用しても構いません。ただし引用ル
    ールは厳守して下さい。2)そこで学んだこと、内容に関す
    る自分の意見・異見・感想等、です。
     論文の内容によっては、上のように書けないものがある
    かも知れません。それはそれで結構です。
     要するに、その論文等をキチンと読んだことが(私が)
    判ること、それをどのように理解したか、頭の中にある理
    解内容を書いて下さい。
     上記が守られていないと判断したレポートには、後述の
    マークを付けます。
     ちなみに、論文(文章)を読むときは、トピックセンテ
    ンスを見つけることが大事です。この点、木下是夫『理科
    系の作文技術』(中公新書)は必読です。松本成二『現代
    文の科学的研究』(あずみの書房、90年)は、予備校の
    テキストですが、文章読解技術の理論の習得と練習には、
    並ぶものが無いといってよい名著です。これも推せんです。

    5.(略)

(5)文章の書き方について……文章は以下のルールを厳守してい
   ただきます。違反者は、後述のマークをつけるなり、減点す
   るなりします。

 1)「私」を主語にして書くこと。

  露骨に「私」という主語を書いて文章をつくって下さい。もの
 を考える時もそうするとよいでしょう。
  なぜか。ある事柄についての理解(認識)は、所詮「私」の頭
 の中にしかないからです。そして、「私」の「頭の中」にある認
 識は、「文章表現」(命題の形)で収まっているからです。
  「私は…………と考える」、「私は…………と理解した」、と
 いう文章表現をして下さい。
  要するに、自分の頭の中を語ることです。それができるように
 ならないと人間成長しませんので…………。「自省」を抜きにし
 た借り物の言葉、他人の言葉でものごとを語っては「頭」と「心」
 が鍛えられません。
  むろん、「私」主語では表現できない内容があることは承知し
 ています。 それでも無理してそうしていただきます。

 2)一文一義の短文で書くこと。

  一文一義とは、一つの文章には一つの意味しか持たせるな、と
 いうことです。「○○は××である」(戦後日本教育は、平等主
 義によって腐敗した)という形式の文です。このように主語+述
 語の形をしている文を命題(文)といいます。「ソクラテスは人
 間である」とのように。
  このような短い文を重ねて下さい。
  これが、他人が読んで判る文章をかけるようになる、基本のキ
 です。この文章が書けるようになってから、自分の文体をつくっ
 て下さい。

 3)主語と述語を対応させること。

  これは2)と同じことですので、詳しくいう必要はないかと思
 います。主語と述語が対応していない文を「ねじれ文」といいま
 す。この「ねじれ文」は減点の対象にします。
  文を書くときは、「述語を書くときは、主語を見よ」を実行し
 て下さい。
  また、一文に二つの主語は書かないで下さい。「うなぎ文」の
 原因になります。文の途中で主語が変わると、結局その文で何を
 いっているのか判らなくなります。
  また、複文も使わないで下さい。

 4)形容詞・副詞は最小限にしか使わないこと。

  文は主語と述語で成り立ちます。それ以上の装飾は不必要です。
 「事実」を名詞と動詞で書くだけで、文の意味は読む人に伝わり
 ます。
 「子どもが活発に発言し、教師が熱心に教えているすばらしい授
 業」などという文には、事実が一つも書かれていません。このよ
 うな文を書く人は、「活発」「熱心」「すばらしい」に意味を持
 たせているのです。しかし、読む人間にはなにも伝わってきませ
 ん。この文から、形容詞と副詞を除いてみて下さい。「子どもが
 発言し、教師が教えた」しか残りません。これは、わざわざ文と
 して伝えなければならない「事実」でしょうか。このような雑で
 無内容な文は書かないで下さい。

 5)接続詞を正しく使うこと。

  文章の論理性は、接続詞(つなぎ言葉)に依拠しています。先
 に文は一文一義といいましたが、その文を接続詞でつなぐことに
 よって文章ができます。論理的文章とは接続詞を上手につかって
 いる文章です。
  ちなみに、文章内容で論理的とは、「極端」をいうことです。
 ですから、一文一義、つまり断定文で書けといっているのです。
 つなぎ言葉の意味と使い方を辞書で確認しながら書いて下さい。
 つなぎ言葉一覧表を作っておくとよいでしょう。
 尚、「よって」の使用を禁止します。これを使ったレポートは
 減点します。なぜか。辞書を引いてみて下さい。
  文章の論理性を決めるもう一つの要素は、段落・節です。これ
 にも注意を払って下さい。これは事柄を分類する能力にあたりま
 す。物を考える時の一番初歩的に必要な能力です。
  段落が適切に切られていない文章も減点します。

 6)必ず「〜である」体(常体)で書くこと。

  同じことを繰り返しています。断定文(命題文、○○は××で
 ある)で書くと、ある事柄について自分の判断を下さざるをえな
 くなります。
  つまり、思考が焦点化するというわけです。
  人間の判断力を鍛えるには断定文で文章を書くに限るというわ
 けです。

 7)「ラブレター文」「決意表明文」は書かないこと。

  「ラブレター文」とは、自分の思いだけを綿々と書く文章のこ
 とです。客観性のない文を書くことです。自分の書いた文が、社
 会的(客観的)に通用する文であるか点検して下さい。
 「決意表明文」とは、「〜ねばならない」「〜すべき」(当為命
 題文)との表現を特徴とする文です。「この論文を読んで〜ねば
 ならないと思いました」という類の無責任で内容のない文は書か
 ないで下さい。これも減点の対象にします。
  ついでに、受け身の文も書かないで下さい。思考の主体が
 「私」でなくなり、判断を他人に任せたということになるからで
 す。
  このような文章を書いていると自分の思考が鍛えられません。
  要するに、自分の判断が入っていないレポートは減点するとい
 うことです。

※1 文章の書き方として、さきの『理科系の作文技術』に加えて、
   宇佐美寛『論理的思考』(メヂカルフレンド社)、
   本多勝一『日本語の作文技術』(朝日文庫)
   を薦めておきます。

※2 なぜ、こうも文章にうるさいか

    どの教科だろうと授業の目的は、知識を習得させることを
   通して子どもを賢くし、思考を鍛えることです。しかるに、
   文章を書かせることは、子どもの思考を鍛える最大の手段で
   す。したがって、子どもの思考を指導できるためには、文章
   の書き方の最低限のルールを身につける必要があります。
    また、社会科教育の目的は、社会認識(社会についていろ
   いろ知っている)の形成です。ところで、この認識は言語に
   よって行われます。さらに、社会はそれ自体一つのテキスト
   (ディスクール/言説)といえます。ですから、社会認識を
   深める、社会について考えるとは言語技術を鍛えることにほ
   かならないのです。

■読書課題レポートについて    (略)

■期末試験について  (略)

■単位認定について  (略)

〈〈                          〉〉

                          以 上。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 安藤 豊(あんどう ゆたか)
 昭和19年生まれ
 北海道教育大学旭川校勤務
 社会科教育担当
 自由主義史観研究会副代表
 全国教室ディベート連盟北海道支部長

         ◆     ◆     ◆

−−3.ホームページ進化情報−−
 http://www.jugyo.jp/sakubun/

○学習研究社『パソティア』4月号(3月15日発行)に本HPが
 登場します。第1特集「学校で役立つホームページ100選」です。
 ぜひ書店でご確認ください。

○「投稿!おもしろ作文道場」第6回は「Q&A作文です」
┌────────────────────────────┐
|      キリンの首はなぜ長いのですか?       |
└────────────────────────────┘
 この問いに答えてください。ただし、答えはウソでも構いません。
 面白い答えをお待ちします。ぜひご参加を!
 http://www.jugyo.jp/sakubun/toko/q-6.html

○「どくしゃの声」では、原稿用紙の表記の仕方についてのお話が
 でています。行末の句読点(、。)や閉じカッコ(」)はどこに
 書くのか、そしてその根拠は何か。ご意見をお待ちしています。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/mail/reader3.html

         ◆     ◆     ◆

−−4.編集後記−−

 「大学における学生のレポート指導について」いかがでしたか?
 安藤先生はご寄稿の冒頭で「なぜ私なのか定かではないのだが」
と仰っています。実はこのMMの編集会議で、大学では学生にどの
ように論文やレポートを指導しているのだろうか、という話がでま
した。そして編集同人の中に、学生時代にレポート指導で安藤先生
に鍛えられたという方がいました。それで安藤先生に、レポート指
導についてのご寄稿をお願いしたわけです。
 さて、このMMは、大学の先生の皆さん、学生の皆さんも多数読
んでいらっしゃると思います。皆さんの方ではレポート指導、どん
な感じですか?情報をお待ちしております。    (松田善啓)

         ◆     ◆     ◆

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 「めるぼっくす」 http://www.merubox.com/ ID:00000162

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メールマガジン「実践!作文研究」No.58 2001/3/11 読者数1538
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究 2001
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