メールマガジン「実践!作文研究」
第57号(2001.3.4)


調べ学習に役立つ作文技術の情報誌
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第57号 2001年3月4日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。「実践!作文研究」第57号をお届けしま
す。今回は、佐内信之さんの新連載「総合的な学習のための作文技
術」です。
 「総合的な学習の時間」は現在、2002年度の完全実施を目指
して、移行期間に入っています。
 総合的な学習の面白さを支える指導技術には、「ウェビング」や
「ポートフォリオ」など様々ありますが、ここではその1つとして
作文技術を取り上げ、紹介していきます。この「番号作文」の実践
は、面白く読むことが出来ました。皆さんのご意見・ご感想も、お
待ちしています。

         ◆     ◆     ◆

−−2.新連載「総合的な学習のための作文技術」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

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総合的な学習のための作文技術 第1回

   番号作文
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■連載を始めるにあたって

 本連載は以下の著書を拠り所にしている。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃上條晴夫『総合的な学習のための教育技術         ┃
┃         ─調べ学習のコツと作文的方法─』健学社┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 総合的学習には以下の二点が不可欠であると上條氏は言う。
┌────────────────────────────┐
│◎豊かな授業企画力                   │
│◎堅実な教育技術力           (前掲書3ページ)│
└────────────────────────────┘
 その上で、上條氏は現状の総合実践事例を分析し「授業企画は豊
かだが、教育技術が貧弱である」とする。そこで、総合的学習を支
える教育技術の一つとして「作文的方法」を取り上げる。そして、
「総合的学習を創る作文的方法のヒント20」を提案している。

 このような上條提案を受け、本連載では「総合的な学習のための
作文技術」を一つずつ取り上げ、実践事例を紹介する。

■番号作文とは?

┌────────────────────────────┐
│ 番号作文とは要するに「番号付きの箇条書き作文」である。│
│                   (前掲書50ページ)│
└────────────────────────────┘
 「あるものを見たり体験したりしたこと」を「なるべくたくさん
書き並べる」作文である。このような作文を書かせるよさが三点に
集約されている。
 (1) 箇条書き的に短文を並べるので書きやすい
 (2) 見つけた順、思い出した順に書くので文章に勢いが生まれる
 (3) 観察力・思考力・創造性などが培われる

■授業のながれ

 五年生の総合の時間に、フィリピン人の保護者をゲストティー
チャーとして招いた。授業は以下、二つの活動を柱にして行った。
┌────────────────────────────┐
│(1) フィリピンのお菓子づくり(60分)          │
│(2) フィリピンについての質問(20分)          │
└────────────────────────────┘
 そして、最後の10分間は体験感想文で授業をふり返ることにし
た。そのとき採用したのが「番号作文」形式である。

 教師は授業の最初にあらかじめ配っておいたワークシートを出さ
せる。B5判の紙には箇条書きができるように「1〜10」の番号が書
いてある。
┌────────────────────────────┐
│今日の体験の感想文を10コ書きましょう。時間は5分です。  │
└────────────────────────────┘
「エーッ」「そんなにたくさん書けるかなぁ」
 普段から毎日のように授業感想文を書いている子どもたちである
が、さすがに10コの文というのは多く感じたようである。
『300秒で10コですから一文あたり30秒です。だから短く書くのが
コツです。思いついたことをドンドン書いていきましょう』

 5分経過したところで、教師は作業をやめさせた。
 五年生33人中、半分以上の17人が10コ書けた。クリアまであと少
しの子も多く、平均して8.6の文を書けていた。

 そして、教師は次の指示を出す。
┌────────────────────────────┐
│一人ずつ発表します。一つを選んで○をつけましょう。   │
└────────────────────────────┘
 全員の発表に対して教師が簡単にコメントしながら、お互いの感
想を聞き合った。

「春巻でバナナをつつむのはビックリした」
『ホント! 意外な組み合わせでしたね』
「この料理を最初に考えた人はスゴイと思った」
『きっと何百年も前にフィリピンの誰かが考えたんでしょうね』
「新宿御苑の2倍もある公園があるなんて知らなかった」
『子どものあなたでさえも知らなかったの? お母さんの授業を聞
いて良かったね』
 ……

 友達の言葉にうなずいたり、意外な感想に笑ったりする子どもた
ちの姿が見られた。
 次時以降の参考にするため、体験感想文を集めて授業を終えた。

■作品の考察

 短時間で書いたものなので内容は玉石混交である。しかし、それ
らの中から「玉」を取り出していくのが教師の役割である。
 以下、感想文の実例をもとに考察を試みる。
┌────────────────────────────┐
│ 1 バナナを春巻の皮で巻くなんて思わなかった。     │
│ 2 砂糖がききすぎて甘かった。             │
│ 3 家でも作れるので作ってみたい。           │
│ 4 油であげるなんて知らなかった。           │
│ 5 これからもフィリピンの他の人たちと交流したい。   │
│ 6 フィリピンにはいろんな行事があることが分かった。  │
│ 7 フィリピンはキリストを信じている国だと分かった。  │
│ 8 フィリピンには日本と似ているところがあると分かった。│
│ 9 もっとフィリピンのことを学習したい。        │
│10 他に簡単でおいしい料理があったら作ってみたい。   │
└────────────────────────────┘
 1〜4はバナナを使ったお菓子についての感想である。特に3の
「作ってみたい」という意欲が注目である。

 バナナ料理についての感想を一通り出しつくしたのか、5〜9は
フィリピン全般についての感想である。交流を広げる・日本との比
較など、今後の課題づくりのヒントがうかがえる。

 最後の10は再び料理に話題を戻している。しかし、今度は他の料
理に目を向けているのが違う点である。

 このように10コの体験感想文を丁寧に読んでいくと、一人一人の
興味・関心の方向が見えてくる。そうすると、一人一人に適した課
題づくりの道筋が見えてくる。

 子どもたちに楽しい「体験」をさせるのは比較的容易である。し
かし、その体験から追究に値する一人一人の「課題」を見つけるの
は難しい。そのとき活用できるのが「番号作文」である。

 子どもは自分の体験をふり返り、短く・思いつくまま・たくさん
書く。番号作文に書き留めることで、自らの興味・関心の方向を確
かめることができる。
 また箇条書きで読みやすく、教師も内容を取捨選択しやすい。

 子どもと教師、どちらにもメリットがある番号作文を総合的学習
における「体験をもとにした課題づくり」のために活用したい。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭
 所属団体:授業づくりネットワーク
      学習ゲーム研究会
      全国教室ディベート連盟など
 主な著書:『ワークショップ型総合学習の授業事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      『小学校ディベート授業がてがるにできるモデル立論
       集』(共著)など
      以上学事出版刊

         ◆     ◆     ◆

−−3.ホームページ進化情報−−
 http://www.jugyo.jp/sakubun/

 「投稿!おもしろ作文道場」第4回の「もし、○○だったら…」
も、面白い作文が集まりました。
 次は、第5回「タイムマシン作文」です。
┌────────────────────────────┐
| タイムマシンに乗って、○○時代にやって来ました。   |
└────────────────────────────┘
 この書き出しで、作文を書いて下さい。
 ぜひご参加を!→ http://www.jugyo.jp/sakubun/toko/

 「投稿!おもしろ作文道場」は、次のねらいをもって始めました。

1.いろんな作文が集まることで、おもしろいコーナーができれば
  いいな。
2.コーナーを利用して、おもしろい作文のネタが紹介できればい
  いな。
3.あらゆる方にとって、楽しみながら文章修行の場になればいい
  な。

 詳細は、ホームページの中の「運営者より」#36に書きました
ので、そちらもご覧下さい。
   → http://www.jugyo.jp/sakubun/relay/unei.html

 これまでのところ、毎週金曜の午後11時に、前回の作品と次回
の課題が発表されています。
 ぜひ、あなたの挑戦をお待ちしています。

         ◆     ◆     ◆

−−4.編集後記−−

 次号(3月11日号)は、安藤 豊さん(北海道・大学)による、
「大学における学生のレポート指導について」をお送りします。
 お楽しみに!

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 の感想をお待ちしています。
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発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究 2001
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