メールマガジン「実践!作文研究」
第5号(2000.2.27)


論理的思考を鍛える「さくぶん情報誌」
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第5号 2000年2月27日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−− 
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 メールマガジン「実践!作文研究」第5号をお送りします。毎号
お届けしている「リレー連載」、毎月第4日曜の号では、月替わり
のゲストに作文情報の執筆をお願いしています。今月のゲストは、
都留文科大学教授の鶴田清司さんです。
 では鶴田さん、よろしくお願いします。

         ◆     ◆     ◆

−−2.リレー連載・ゲスト論考(第一回)−−
                        都留文科大学
                          鶴田清司

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  文学教材で「表現の技術」を教える
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先の教育課程審議会答申で「文学的な文章の詳細な読解に偏りが
ちであった指導のあり方」が問題にされた。が、この指摘を待つま
でもなく、今までの文学教材の扱い方は「読解」一辺倒だった。今
後は、表現(作文)教材としても活用していきたい。

こう言うと、すぐに思い浮かぶのが「読み書きの関連指導」であ
る。その必要性は前から言われてきたし、実践も積み重ねられてき
た。特に説明文教材の場合は「はじめ・なか・まとめ」という文章
構成を生かした市毛式作文指導法や「説得の論法」を学ぶという文
芸研の関連指導などがある。

 しかし、文学教材ではまだまだ不十分である。「文章表現の原理
・方法を教える」という〈教科内容〉論が欠落した、安易な関連づ
けにとどまっているものが多い。例えば、小学校でよく見られるの
は、文学教材の読解のあとで「主人公に手紙を書く」「物語の続き
話を書く」「本の帯紙を作る」「脚本を作る」といった表現活動に
つなげる方法である。しかし、その教材との必然的な関連性がほと
んどない。また、それを通して何を学んだかということも不明確に
なりやすい。

そうではなくて、例えば「題名」や「書き出し」の工夫、「感覚
表現」や「色彩語」や「オノマトペ」の使い方、「視点」の設定と
いうように、作品を特徴づける表現方法・技術を学んで自分の作文
に生かすこと――これが本来の読み書きの関連指導である。

『のはらうた』(工藤直子)の「おれはかまきり」を読んで、そ
の面白さに気づき、その仕組みを明らかにした後で、身近なものに
なってみて、その視点から書くという方法(なりきり作文・変身作
文)もその一例である(豊かな想像力がないと失敗するが…)。

私の大学の講義では、〈ぞろぞろとちょこちょことゆく七五三〉
〈はふはふとはふはふと食ふおでんかな〉といった作品を紹介した
後で、学生に「オノマトペ俳句」を作らせることがある。なかなか
面白い作品が出来上がる。

   《わくわくが秋にはがっくりタイガース》

今後は、すぐれた表現技術(虚構の方法)に学ぶこと、そして、
それを自分の表現に応用していくという関連指導をもっと推進すべ
きである。その意味で注目されるのが、中西一弘氏の『文学言語を
読むI「ごんぎつね」〜書く立場からのアプローチ〜』(1997年、
明治図書)である。ここには読み書きの関連指導のあり方を考える
上で多くのヒントが含まれている。

 特に注目したいのは、「すぐれた表現の模倣」という観点から、
「ごんぎつね」の「反復表現」「空間と行動の表現法」「時間表現」
「視覚・聴覚表現」「会話文の連続」などの表現技術を子どもの
「練習作文」や「スケッチ作文」に生かしていることである。読み
の段階で学んだ語彙・レトリック・文章構成法が作文力に転移する
ということが本書の最大の眼目である。

 これは「すぐれた表現技術に学ぶ」ということに他ならない。特
に「模倣」が「言語を学ぶ基本的態度だ」という指摘(p.44)は、
私たちを勇気づけてくれる。模倣は創造の源である。「個性を奪う」
「型にはめる」といった非難は的はずれである。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 鶴田 清司(つるだ せいじ)
 都留文科大学教授 
 所属団体:日本言語技術教育学会(編集委員長)
      日本教育技術学会(理事) 
      全国教室ディベート連盟(関東支部長)
      授業づくりネットワーク(編集委員)
      学習ゲーム研究会など
 主な著書:『「ごんぎつね」の〈解釈〉と〈分析〉』
      『言語技術教育としての文学教材の指導』
      『文学教材の読解主義を超える』
            (以上明治図書刊)など多数

         ◆     ◆     ◆

−−3.ホームページ進化情報−−

 特筆すべき進化は、このメールマガジンへの感想をHPに掲載し
たことです。メールマガジンやHPを使って、双方向の情報交流が
できるといいなと思っております。
http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/
いろいろなご意見・ご感想をお待ちしています。

         ◆     ◆     ◆

−4.編集後記−−

 来週号(No.6)のリレー連載は、池内 清さん(東京・小学校)
の「作文キーワード事典」(第二回)をお送りします。
 再来週号(No.7)のリレー連載では、佐内信之さん(東京・小
学校)の「名人の作文授業を追試する」(第一回)をお送りします。
お楽しみに!
〔訂正〕前号のリレー連載の中で、川上靖雄さんのお名前を誤りま
した。お詫びして訂正します。

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 ちしています。ご感想などは、本メールマガジンやホームページ
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