メールマガジン「実践!作文研究」
第49号(2001.1.7)


調べ学習に役立つ作文技術の情報誌
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第49号 2001年1月7日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、あけましておめでとうございます。
 21世紀最初の「実践!作文研究」をお届けします。
 2週間前に発行した前号から、新しい読者の方が70人近くもい
らっしゃいました。
 新しい読者の方、どうぞよろしくお願いします。
 また、従来からの読者の方もよろしくお願いします。
 新世紀1発目の連載は「体験をレポートに書く」です。
 小学1年生への作文指導ですが、中学・高校でのブックトークや
スピーチなどの指導に応用できるのではないでしょうか。
 感想や追試報告など、お待ちしております。

         ◆     ◆     ◆

−−2.リレー連載・「体験をレポートに書く」−−
                        東京・小学校
                         木越 憲輝

============================================================
 体験をレポートに書く 第4回

   【好きな本紹介作文】
============================================================
 
■はじめに

 小学校1年生の授業である。
 「図書の時間」に自分の好きな本の紹介スピーチをした。そのた
めに、スピーチ原稿を作った。1年生の場合、スピーチをすると以
下の3点に問題があるからである。

 1.話の量が意識できない。
 2.時間を意識できない。
 3.話を忘れる。

 そこで、これらの問題を少しでも軽減するために、原稿を作る手
がかりとなるワークシートを作って、スピーチの原稿作りをした。

■本を紹介する

 前の日に自分の好きな本を1冊家から持ってくるか、図書館で借
りておくように指示を出す。
『今日は、みんなに好きな本を紹介してもらいます。』
┌────────────────────────────┐
│ 「わたしの好きな本は・・・です。」というふうに、頭の上│
│ に本を載せてみんなに見せながら言いましょう。     │
└────────────────────────────┘
 列指名で全員がみんなに紹介をした。
 『とてもおもしろそうな本がたくさん紹介されましたね』
 『それではその本がおもしろいことが他の人にもわかるように簡
単に本の話を紹介しましょう。』

■本の紹介スピーチの原稿づくり

 『プリントを配ります。次の5つの質問に答えて書きましょ
う。』
 以下のプリント(B4)を配布した。
┌────────────────────────────┐
│(1)すきな本のなまえはなんですか。          │
│     (                    ) │
│(2)どこにあった本ですか。              │
│     (                    ) │
│(3)本をかいた人のなまえはなんですか         │
│     (                    ) │
│(4)本のすきなところはどんなところですか。      │
│     (                    ) │
│(5)本をよんでおもったことをかいてください      │
│     (                    ) │
└────────────────────────────┘
 子どもたちは本を眺めながら(1)(2)を順番に書いている。
 ところが(3)で多くの子がつまずいた。
「先生、かんじが読めません」
「どこに書いてあるんですか」
「どっちかわかりません」
 読めない漢字がほとんどであり、さらに絵と作の字もわから
ない。一人一人に教えていたら、予想以上に時間がかかってしまっ
た。

 質問(3)では、子どもに本を書いた人が誰なのかは意識させた
かった。好きな本の作者を知ることで、同じ作者の本を読んでいく
という本の選び方を知ることができるからである。

 『次にプリントを裏返ししましょう。』
 先ほど配ったプリントの裏には以下のことが記されている。
┌────────────────────────────┐
│                ┌──────┐    │
│ わたし(ぼく)が、すきな本は、│      │です。 │
│                └──────┘    │
│ (もっている人は、ばっちりみんなに見せましょう)   │
│┌──────────────────────────┐│
││この本は、かんたんにいうと、            ││
││                          ││
│└──────────────────────────┘│
│  という本です。                   │
│┌──────────────────────────┐│
││わたし(ぼく)は、                 ││
││                          ││
│└──────────────────────────┘│
│ みなさん、ぜひよんでみてください。          │
└────────────────────────────┘
『四角が3つあります。その中に文を入れて本を紹介する原稿を完
成させましょう』
 1番目の四角は、質問の(1)に書いたことを写し、本の題名を
書くこと。
 2番目の四角は、本のお話はまとめていうとどんなお話か簡単に
短くこと。
 3番目の四角は、質問の(4)か(5)あるいは両方とも写して
よいことにした。
 できた子から見せにきて、その後は原稿を暗記するくらい読む練
習をするように指示した。

 子どもたちは、鉛筆を持って一斉に書き始めた。しばらくする
と、「こんなに書くんですか。」と子どもはプリントの四角の空欄
を指しながら言った。
『四角の大きさは気にしなくていいです。短く書きましょう。』
「あっ、なんだあ。短くていいのか。」
『「だれが」「なにを」「どうした」を使うといいですよ。』
 本をめくりながら書く子。上を向いてかなり考えながら書く子、
首を振りながらこれでいいのか自信なさそうに書いている子。みな
苦労しながら、作業を続けていた。

 一番最初に仕上げた子の作品はみんなの前で読み聞かせをした。
┌────────────────────────────┐
│ わたしがすきな本は、ちびくろさんぼのおはなしです。  │
│ この本はかんたんにいうと、ちびくろさんぼがとらたちにふ│
│くやくつ、ほかにかさをとられてしまったという本です。  │
│ わたしは、その本をよんでインドではとけたバターはなんて│
│いうかかいてあるのできにいっています。         │
│ みなさんぜひよんでみてください。           │
└────────────────────────────┘
 具体的にすきなところを挙げているのがとてもよい。
『3番目の四角に「その本をよんで」を入れているところがいいで
すね。』
『こんなかんじにみじかく書くといいですよ』
 
■添削を行う

 2番目の四角に何を書いたらよいのかを相談に来る子が7、8名
いた。
 その子たちには以下のような対応をした。
 1.なぞなぞの本やまちがえさがしの本を選んだ子たちには、
   「〜という問題が出ている本です」と好きな問題を一つ写すこ
  とを提案した。
 2.聖書を選んだ子には、「好きなところをみじかくまとめて書
  くこと」と「〜というお話などがたくさん書いてある」など文
  を与えて書かせた。
  3.「どうかいていいかわからない」という子もいた。
  『先生にその本のお話をしてくれる?』と言って話しをしても
  らった。それを教師が文章化して書かせた。

 添削では、以下の2つの点に注意して行った。
 1.二番目の四角(要約)の部分は短く一文で書くように見て
  いった。
 2.「〜して〜して〜して〜したというお話です」と書いている
  子には、『最後の「〜した」だけを使って短く書きましょう』
  と指示した。

 以下に子どもの作品を二点紹介する。いずれも作文を苦手とする
子である。
┌────────────────────────────┐
│ わたしがすきな本は、ぐるんぱのようちえんです。    │
│ この本はかんたんにいうと、ぐるんぱがたびに出たという本│
│です。                         │
│ わたしは、えがかわいいとおもいました。        │
│ みなさんぜひよんでみてください。           │
└────────────────────────────┘
 絵がすきという子は6名いた。絵本の場合は好きな理由になるの
だ。
┌────────────────────────────┐
│ わたしがすきな本は、ぶたこテレビです。        │
│ この本はかんたんにいうと、ぶたがテレビにでるという本で│
│す。                          │
│ 私はぶたこが「いまにわかるってば」のところがおもしろい│
│とおもいました。                    │
│ みなさんぜひよんでみてください。           │
└────────────────────────────┘
 引用しているのがよい。「何が」「どうする」の形で本の要約は
充分できている。

 次の授業で班ごとの紹介スピーチを行うことを予告して終えた。

■授業後の考察

 この時間は、本の紹介というより、ワークシートを使って、本の
要約をするということに重点の置かれた授業になった。
 ワークシートの中で、「かんたんにいうと〜」を入れたので、一
文で要約するのにはとてもよかったと思う。子どもたちは一文を短
く書くことを心がけたり、書いたりできるようになった。
 今までの練習の積み重ねもあったせいか「本の好きなところ」は
子どもたちは簡単に書けたが、「本を読んで思ったこと」がかなり
苦労していた。感想を書くことに今後配慮する必要を感じた。
 この授業の中では、ワークシートの表と裏との相関関係が明確で
なかったのが反省点である。表の(2)(3)(5)の質問は、そ
の後ほとんど活用されなかった。
 今後作文ワークシート作成にあたっては以下の3点を検討をして
から使用したい。
 1.内容は、授業中や前後の学習に関連しているか。(質問項目
は最小限に)
 2.子どもが文を書くスペースは、想定した字数と比べて適当
か。
 3.子どもの力でできるレベルか。(読めるか・調べられるか)

■参考文献

 上條晴夫著「子どもを本好きにする読書指導50のコツ」
                     (学事出版)P.66
 上條晴夫編「教室スピーチ実践事例集」 
           (学事出版)P.22 杉村「わたしの宝物」

【今回の執筆者のプロフィールです】

 東京・私立聖学院小学校教諭
 所属団体   学習ゲーム研究会
 所属サークル 実践レポート研究会ジュニア

         ◆     ◆     ◆

−−3.ホームページ進化情報−−
 http://www.jugyo.jp/sakubun/

□アクセス数が2万9千を突破しました。もうすぐ3万に届きます。
 日頃のご愛顧ありがとうございます。
□「看図作文」という中国の作文指導法について情報をお持ちの方、
 「どくしゃの声」でお待ちしています。
□これまで本誌は、発行から一週間後にHPに掲載していました。
 しかし速報性と読者の便利を考え、今号から発行と同時に掲載す
 ることにしました。今後ともよろしくお願いします。バックナン
 バーのページは編集後記に記してあります。
□前号で、読者層把握のためのアンケートを募集したところ、早速
 何人かからご回答をいただき、ありがとうございました。
 いただいたご回答の中から1つご紹介します。
┌────────────────────────────┐
|Q「実践!作文研究」HPの中で一番利用するコンテンツは?|
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└────────────────────────────┘
 嬉しいじゃありませんか。
 読者アンケートは、次のURLで引き続き募集中です。気軽に回
答してください。辛口のご意見も大歓迎ですので、よろしく。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/an.html

         ◆     ◆     ◆

−−4.編集後記−−

★予告
 1/14 第50号「百万人のインターネット作文術」松田善啓(小学)
 1/21 第51号「型から入る小論文指導」寺田 弘氏(高校)

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メールマガジン「実践!作文研究」No.49 2001/1/7 読者数1359
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究 2001
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