メールマガジン「実践!作文研究」
第36号(2000.10.1)


論理的思考を鍛える「さくぶん情報誌」
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 メールマガジン「実践!作文研究」
 第36号 2000年10月1日発行(毎週日曜日発行)

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。「実践!作文研究」第36号をお届けし
ます。
 通常、毎月第1週号は「作文キーワード事典」ですが、しばらく
休載し、「体験をレポートに書く」をお届けします。池内清さんを
はじめ、何人かのリレー連載です。こちらのリレー連載も、よろし
くお願いします。よかったら、ご意見をいただきたいと思います。

−−2.リレー連載・「体験をレポートに書く」−−
                        東京・小学校
                          池内 清

============================================================
 体験をレポートに書く 第1回

   【テレビCM日記】
============================================================

■「テレビ日記」を書く

 小学校3年生である。
 テレビやラジオ、新聞など、メディアの情報を一方的に受け入れ
るのではなく、情報の価値を自ら判断する能力を育てようとするメ
ディアリテラシーの授業をした。
 その中で、今回はテレビの分析をするために、子どもたちに「テ
レビ日記」を書いてもらうことにした。
 
 帰りの会で、「テレビ日記」を書いてくるように、以下の課題を
与える。
┌────────────────────────────┐
│ テレビを見て「あれ、おかしいなぁ」と思ったことを書いて│
│きてください。                     │
└────────────────────────────┘
 これだけでは、イメージがわかないと思い、例として、『アニメ
で、頭をぶつけたらすぐにバンソウコウがはってある。CMなど
で、風呂から上がった人が汗をかいていない。(女の人がきれいな
化粧顔である)』を教師があげる。
「うん、あるある」とうなずいく子どもたちがいる。

■読み聞かせで日記を交流する

 次の日である。
 アニメ、ドラマ、CMといろいろなテレビ日記が教室に持ち込ま
れる。
 全員の日記を読み、「自分の体験とテレビの内容とのズレが書い
てある」日記を帰りの会で読み聞かせる。
 3つ選んだ中の1つを紹介する。
 1日目の作品である。
┌────────────────────────────┐
│ わたしは、CMを見ました。              │
│ それはカップラーメンのCMで、CMを見ると、ちゃんとぐ│
│がきれいにならんでいて、すぐに食べたくなります。    │
│ でも本当はそうではありません。ぐはぐちゃぐちゃんになっ│
│ているのです。                     │
│ わたしはこのことから、「なぜ、CMはうそをつくのか  │
│なぁ」と思いました。                  │
└────────────────────────────┘
 CM一つに限定して書かれているのがいい。
 違いに気づいているのがいいと思う。
 このようにして、日記の読み聞かせを毎日行い、具体的にその日
記のいいところをほめる。
 およそ、次の3つの観点でほめた。
 1)一つに限定した書き方をしている。
 2)内容の場面が書かれている。
 3)疑問が書かれている。
 このように読み聞かせをしてほめると、まねをしてくる子どもが
現れるようになる。
 1日、2日と上記のように読み聞かせを続ける。
 3日目になると次のような作品が生まれ始める。
┌────────────────────────────┐
│ 月曜日の夕方に、アメリカン・ホーム・ダイレクトのCMを│
│見たんです。                      │
│ 場面は、駅で、通りがかりの人に、男の人がいきなり、「保│
│険料が半額になるのは?」ときくと、きかれた人はみんな「ア│
│メリカン・ホーム・ダイレクトと答えるんです。     │
│ おかしいところは、駅でいきなり「保険料が半額になるの │
│は?」ときかれて、すぐに答えられるわけがありません。なの│
│にきかれた人はみんな「アメリカン・ホーム・ダイレクト」と│
│答えるのはおかしいと思います。             │
│ 本当だったら、いきなり「保険料が半額になるのは?」とき│
│かれて、すぐに答えられなくて、考えてしまうと思います。 │
└────────────────────────────┘
 CMの内容が見事に書かれている。
 CMのセリフを引用して書くことで、具体性を高めているからで
あろう。
 また、その疑問に対する自分の考えを書いているのがいい。
 
 初日の日記ではドラマ、アニメを対象にした日記が半数を占めて
いたが、3日目にはCMを書く子がほとんどであった。CMは短い
時間で放送されるので、書きやすかったからだと思う。
 また、子どもたちの日記はCMを対象としたものにいい日記が多
かった。テレビドラマ、アニメを書いてくる子は、どうしてもス
トーリーを紹介してしまい、焦点がぼけてしまう日記が多いからだ
ろう。

■生活の中からCMを捉え直す 

 CMを意識的に何度も視聴体験することによって、子どもたち
は、普段何気なく見ていたCMに新たな疑問を見い出していく。
 子どもたちは繰り返し日記を書くことで、自分たちの生活の中か
らCMを捉え直す。それは、自分たちから得たCMへの疑問を意識
し、それに対して追究する動機付けとなる。
 

 
参考文献
 授業づくりネットワーク2000.10月増刊
 藤川大祐編著「メディアリテラシー教育の実践事例集 情報学習
の新展開」「ぼくらはCMたんてい団」拙論文
 

------------------------------------------------------------
 下記アドレスにご意見、ご感想をいただけると幸いです。   
 池内 清 ikeuchi@air.linkclub.or.jp           
------------------------------------------------------------

【今回の執筆者のプロフィールです】

 池内 清(いけうち きよし)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:授業づくりネットワーク(事務局員)
      全国教室ディベート連盟(理事)
      学習ゲーム研究会(HP担当)
      メディアリテラシー教育研究会(事務局員)

 主な著書:『小学校はじめてのディベート授業入門』
      『ディベートで学級会づくり』
      『論理的な表現力を育て学習ゲーム』(共著)
       以上学事出版刊 など多数

         ◆     ◆     ◆

−−5.ホームページ進化情報−−

○北海道の中学校教師、堀裕嗣さんのページ『「メタ認知能力」を
 鍛える国語教室』と相互リンクしました。
 http://homepage2.nifty.com/HOLY/
○アスキーから12月に発行される『ホームページベスト5000 個
 人ユーザーのための厳選国内サイト集(仮題)』への掲載が決定
 しました。

−−4.編集後記−−

○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、本誌へ
 の感想をお待ちしています。
 本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○無断転載をお断りします。転載希望の方は松田までご相談を。
○本誌への読者登録・解除・アドレス変更はこちらです。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/
○本誌は次の配信システムを利用して発行しています。
 「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ ID:0000023841
 「Pubzine」 http://www.pubzine/com/ ID:8460
 「melma!」 http://www.melma.com/ ID:m00014780
 「ココデ・メール」 http://mail.cocode.ne.jp/ ID:0700300256
 「macky!」 http://macky.nifty.com/ ID:23841
 「メルマガ天国」 http://melten.com/ ID:1930
 「E-Magazine」 http://www.emaga.com/ ID:sakubun
 「カプライト」 http://kapu.cplaza.ne.jp/ ID:851

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
メールマガジン「実践!作文研究」No.36 2000/10/1 読者数1181
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究 2000
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「体験をレポートに書く         」

「第36号の感想」を書く 戻  る トップページへ