メールマガジン「実践!作文研究」
第33号(2000.9.10)


論理的思考を鍛える「さくぶん情報誌」
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第33号 2000年9月10日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。「実践!作文研究」第33号をお届けしま
す。今回の「名人の作文授業を追試する」は、第3回として、青木
幹勇氏の実践についてお届けします。
 なお、佐内信之さんのリレー連載は、
 第1回…芦田恵之助氏の実践(第7号 3月12日発行)
 第2回…国分一太郎氏の実践(第20号 6月11日発行)
 となっております。次のURLにあるバックナンバーを読んでく
ださい。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

−−2.リレー連載「名人の作文授業を追試する」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

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名人の作文授業を追試する(第三回)

   【青木幹勇】・・・書替え
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■原実践の紹介

 青木幹勇は東京教育大学附属小学校に長年勤め、国語教育の各分
野で幅広く活躍してきた実践家である。その成果は『青木幹勇授業
技術集成』全五巻(明治図書 1976年)にまとめられた。しかし、
現場を退いた後も、青木はさまざまな実践的提案を行っている。そ
の一つが『第三の書く─読むために書く 書くために読む─』(国
土社 1986年)である。

 「第三の書く」というネーミングには、「書写(第一の書く)」
「作文(第二の書く)」の間に位置する、さまざまな「書く」を取
り上げる意図が込められている。たとえば、以下の活動である。

  視写 聴写 メモ 筆答 書抜き 書込み 書足し 書広げ
  書替え 書きまとめ 寸感・寸評 図式化 その他
                     (前掲書15ページ)

 この中の「書替え」については、「書くために読む」方法として
以下のように位置づけられている。

  書替え(作文化)
   ・物語(変身作文)
   ・詩歌(散文化)
   ・説明(伝達 解説)
   ・伝記(本作り)
   ・その他              (前掲書15ページ)

 つまり、与えられた教材を読みながら、それを題材にして作文を
書くのである。今回の追試は、「あなたへ」(光村図書 五上)と
いう詩教材を散文化する「書替え」の手法を取り入れた。

■授業のながれ

 教師は子どもたちとともに以下の詩を音読する。
┌────────────────────────────┐
│   あなたへ     小泉周二            │
│                            │
│やったあ                        │
│と 叫んでください                   │
│あああ                         │
│と くやしがってください                │
│わあ きれい                      │
│と うっとりしてください                │
│なんだ これ                      │
│と 首をかしげてください                │
│きらきらおしゃべりしてください             │
│むうむう黙っていてください               │
│                            │
│伝えてください                     │
│あなたを                        │
└────────────────────────────┘
 教師の範読の通りに子どもたちが読んだり、一行ずつ交互に読ん
だり、列ごとに読んだり……、全部で五回音読した。
 その後、教師の板書とともに、子どもは詩をノートに視写した。
┌────────────────────────────┐
│この詩を読んだり書いたりして気づいたことは何ですか?  │
└────────────────────────────┘
 教師は気づいたことをノートに書くよう指示する。その間、教師
は机間巡視をしながら指名計画を立てる。

 五分後、ノート作業から意見発表へ移る。
「気持ちの伝え方にはいろいろあるということだと思います」
「いろいろな方法で伝えてほしいと言っているんだと思います」
『さすが五年生、立派な意見ですね。でも、一年生でも分かるよう
な簡単なことにも気づいてほしいなあ』

 教師は「『ください』という言葉が多い」とノートに書いていた
子を指名してから問う。
『「ください」という言葉は何回出てきましたか?』「七回!」
『こんなふうに、一年生でも見れば分かることを探しましょう』
「点(、)や丸(。)がない」
『いいねえ! 見れば誰でも分かる』
「短い言葉と長い言葉が交互に出てくる」
『これは少し高レベルです。こうすると詩にリズムが出ますね』

 こうした意見のやりとりを続けた後、教師は題名について問う。
『ところで、題名にある「あなた」って誰のことですか?』
「詩を読んでいる人」「読者」「私たち」
『そうですね。何度も「○○してください」と繰り返して、あなた
たちみんなに「いろいろな方法で自分の気持ちを伝えてほしい」と
お願いしているんですね。そこで、……』
┌────────────────────────────┐
│いろいろな場面で自分の気持ちを伝えましょう。      │
└────────────────────────────┘
『ただし、小泉周二さんが書いたような詩ではなくて、あなたたち
は作文で伝えることにします』
 教師は以下の板書をする。
┌────────────────────────────┐
│私は○○したとき、「やったあ」と叫びます。       │
└────────────────────────────┘
『このように句読点を使った文で、小泉さんの詩に応えましょう』

 指導のポイントは「私は○○したとき」という書式を与えたこと
である。こうすることで、「やったあ」「あああ」「わあ きれ
い」「なんだ これ」などの感情について、具体的な場面を想定し
ながら自分を表現できるのである。
 こうして、以下のような文が出来上がった。
┌────────────────────────────┐
│・私は二千円札をもらったとき、「やったあ」と叫びます。 │
│・私は絵の具で絵を描いて他の色がついたとき、「あああ」と│
│ くやしがります。                   │
│・私は夕焼けの空を見たとき、「わあ きれい」とうっとりし│
│ ます。                        │
│・私は初めてスライムを見てさわったとき、「なんだ これ」│
│ と首をかしげます。                  │
│・私は友達と学校から帰るとき、きらきらおしゃべりします。│
│・私はお母さんとけんかするとき、むうむう黙っています。 │
└────────────────────────────┘
 喜怒哀楽、さまざまな状況について、それぞれの体験や願望の表
れた文になっている。
              *
 青木幹勇の「書替え」を使った実践については、秋田大学の大内
善一教授(当時)を中心とした秋田の実践者たちによる以下の本が
参考になる。
 『書き足し・書き替え作文の授業づくり』
 (『実践国語研究』No.156 明治図書 1996年)

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭
 所属団体:授業づくりネットワーク
      学習ゲーム研究会
      全国教室ディベート連盟など
 主な著書:『教室スピーチ実践事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      『小学校ディベート授業がてがるにできるモデル立論
       集』(共著)など
      以上学事出版刊

         ◆     ◆     ◆

−−3.編集後記−−

○作文に関する情報や、本誌への感想をお待ちしています。
 本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○無断転載をお断りします。転載希望の方は松田までご相談を。
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