メールマガジン「実践!作文研究」
第32号(2000.9.3)


論理的思考を鍛える「さくぶん情報誌」
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第32号 2000年9月3日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。2学期が始まりましたが、お元気でしょう
か。今週号から、「メルマガ天国」「E-Magazine」のシステムでも
『メールマガジン「実践!作文研究」』を配信します。これで、合
計7社のシステムからの発行になります。
 なお、今までのバックナンバーはこちらにあります。今後とも、
よろしくお願いします。

 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

 さて今回は、「作文キーワード事典」をお送りします。

−−2.リレー連載・「作文キーワード事典」−−
                        東京・小学校
                          池内 清

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作文キーワード事典 第七回

   【引用】・・・要約をしない
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■引用とはなにか

 引用とは、「自分の説のよりどころとして他の文章や事例または
古人の語を引くこと。」広辞苑第4版(岩波書店1991年)とある。
 主張をするには、根拠がいる。その根拠が他人の文章のとき、そ
の文章のからの引用が必要不可欠となる。
 
■引用は要約しない

 他人の文章を根拠として使うとき、正確に引用しなければならな
い。要約をするとおきる弊害を2点あげる。
┌────────────────────────────┐
│1)要約をすると、筆者の考えが混ざる可能性がある。   │
└────────────────────────────┘
 結果、もとの文に対して正確かどうか分からなくなってしまう。
 相手の文章に自分の考えを混ぜないためには、正確に引用する必
要がある。
┌────────────────────────────┐
│2)要約すると、限定が弱くなる。            │
└────────────────────────────┘
 相手の文章を要約すると、どの部分に対して言及しているのかが
分かり難くなる。正確に引用することによって、その引用に限定し
て論を進めていることが明示される。

■引用の作文指導の現状

 私の知っている限り、小学生の作文で引用を指導している文献は
多くない。
 井上敏夫他3名編「作文指導事典」(第一法規1971年)では索引
に引用の項目はない。
 また、国語教育研究所編「作文技術指導大事典」(明治図書1996
年)では、項目としてはあげていないが、「意見文」の作文技術の
項目で「引用の技術」として、
┌────────────────────────────┐
│ア 本からの引用                    │
│ 本文を要約しないで、文章そのままを引用させるようにす │
│る。                          │
│ 引用部分は、短い場合は「 」で書き、そうでない場合は枠│
│囲みで示すようにさせる。また、引用した文献も、(「○○図│
│鑑」)や「『○○年鑑』によると」のように書く約束を理解さ│
│せる。                         │
│イ 話からの引用                    │
│ 家の人や先生などから聞いた話を引用すると効果的である。│
│この時も、「 」書きで示すなどして、自分の意見とは明確に│
│区別させる。                      │
│ウ 数字の引用                     │
│ たとえば、「学校でけがをする人がたくさんいます。」と言│
│うよりも、「保健室で調べたら、四月にけがをした人は三六人│
│いました。」と書いたほうが、より明快な文書になることを理│
│解させる。                       │
└────────────────────────────┘
をあげている。引用の書き表し方の技術として参考になる。
 高校では中村敦雄著「コミュニケーション意識を育てる発信する
国語教室」(明治図書1998年)で「国語科教育において、ブックガ
イドや本の紹介スピーチについての先行実践はいくつかあるが、引
用をきちんと意識させる実践はあまりお目にかからない。」とあ
る。
 このようなことから、小学校から高校までの国語科では作文指導
に引用の指導があまりないことがわかる。
  
■引用の作文指導

 その中でも、上條晴夫の著作には、引用を扱った実践例が多い。
 上條晴夫著「書けない子をなくす作文指導10のコツ」(学事出
版1992年)では、「引用の指導をする」という項目を立ている。
 簡単に紹介する。
┌────────────────────────────┐
│ 子どもが書いてきた「テレビの宣伝」についての作文を読み│
│上げる。                        │
│  作文の内容に賛成か、反対かを問う。         │
│ 以下の書式で作文を書かせる。             │
│┌──────────────────────────┐│
││ Aさんは、宣伝について、こう書いている。     ││
││┌────────────────────────┐││
│││  (引用)                  │││
││└────────────────────────┘││
││(この後に「賛成」「反対」の意見を書く。)     ││
│└──────────────────────────┘│
└────────────────────────────┘
 上條氏は引用の必要性を子どもたちに、次のように説明してい
る。
 「いきなり、賛成、反対と書き出さないこと。引用なしでは、意
見文として弱くなるからです」
 意見文を書くとき、引用をすることによって、説得力が増すこと
を指導していることがわかる。また、この実践を行うことによっ
て、引用として一つの枠囲みを指導することで、事実と考察の区別
がきちんとできる。
 
 他に上條晴夫編著「教室スピーチ実践事例集」(学事出版1998
年)に筆者の「図鑑紹介スピーチ」の実践がある。この実践は、
 1)子どもが問いを立てる。たとえば『「ぞうの鼻のやくめ」を
   知っていますか。』
 2)図鑑からその説明部分を引用する
 3)そこから何がわかるかを説明し、その図鑑を紹介する。
というものである。
 参考にしていただけると幸いである。
 
■参考文献
 井上敏夫他3名編「作文指導事典」   (第一法規1971年)
 国語教育研究所編「作文技術指導大事典」(明治図書1996年)
 中村敦雄著「コミュニケーション意識を育てる発信する国語
       教室」          (明治図書1998年)
 上條晴夫著「書けない子をなくす作文指導10のコツ」
                    (学事出版1992年)
 上條晴夫編著「教室スピーチ実践事例集」(学事出版1998年)
 
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 下記アドレスにご意見、ご感想をいただけると幸いです。   
 池内 清 ikeuchi@air.linkclub.or.jp           
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【今回の執筆者のプロフィールです】

 池内 清(いけうち きよし)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:授業づくりネットワーク(事務局員)
      全国教室ディベート連盟(理事)
      学習ゲーム研究会

 主な著書:『小学校はじめてのディベート授業入門』
      『論理的な表現力を育て学習ゲーム』(共著)
       以上学事出版刊 など多数

         ◆     ◆     ◆

−−3.ホームページ進化情報−−

○9月1日、2万1千アクセスを突破しました。
○皆さんの都道府県のお国自慢の作文を募集しています。こちらの
 要項をご覧の上、応募してください。HPの「お国自慢大作戦」
 で発表します。

         ◆     ◆     ◆

−−4.編集後記−−

 来週号(9月10日発行)は、佐内信之さんの連載「名人の作文
授業を追試する」をお送りします。お楽しみに!

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発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究 2000
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