メールマガジン「実践!作文研究」
第260号(2005.1.30)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第260号 2005年1月30日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、上條晴夫さんによる「創作文への憧れと作文指導」をお
送りします。
 みなさんぜひ、ご意見ご感想をお寄せください。

−−2.「創作文への憧れと作文指導」−−

          メールマガジン「実践!作文研究」編集主幹
                          上條晴夫

■創作文へのあこがれと挫折

 小学校教師を10年務めた後、児童ノンフィクション作家をしばら
くやっていた。児童文学の学校に通って、同人誌を作って勉強した
。その後、学習研究社の「5年の科学」で子ども向け科学読み物を
2年半ぐらい書いていた。
 たとえば「ガリガリ博士とホッポちゃん」等の作品を書いていた。

 しかしまったく売れずに挫折し、3年目に教育ライターに転身を
した。
 児童文学の仲間には若い女性が多かったので、同人誌「にじゅう
まる」を立ち上げた時には代表役を仰せつかった。その「にじゅう
まる」からは複数のプロ作家も生まれている。たとえば、みおちづ
るさん。「ナシスの塔の物語」でデビューし、児童文芸新人賞、椋
鳩十児童文学賞を受賞。シリーズモノの作品「少女海賊ユーリ」な
どがある。彼女は最初から文章がうまかった。

■実践!作文研究会の仲間の先生から著書をいただく

 「実践!作文研究会」に所属する原和久さんからご著書をいただ
いた。
 岩波ジュニア新書の一冊で『創作力トレーニング』である。原さ
んは筑波大学大学院を卒業した後、米国ウィスコンシン州公立学校
で日本を教えていた。そのときに見聞した米国教育の中に「創作文
づくり」があったという。

 原さんは「まえがき」で次のように書いている。
「実際に、(米国の)学校の中の様子を見るのははじめてのこどだ
ったので、いろいろと学ぶところがありました。なかでも一番びっ
くりしたのは、教室や図書館で子供たちがごく自然に小説や詩、あ
るいは日記や漫画などを楽しみながら書いている姿でした。/「先
生、こんな物語を書いたんだよ。将来は小説家になりたいんだ」/
「私は漫画を描いているの。日本のMANGAって面白いよね?」
/「僕は毎日、詩を書いているんだ。ノートも見てほしいな……」
/小学生から高校生まで程度の差はあれ、どの子供も「書くこと」
が本当に好きらしく、いろんなジャンルの作品を作ってはわたしに
見せにきました」
 こういう光景は決して特別な学校の出来事ではないという。

 もう一つ、と原さんは言う。「私が、言葉を教える教師として、
アメリカから学んだことがあります。それは、文学作品を子供たち
に教えるときには必ず、そこで使われている表現の技術を教え、そ
の技術を使って自分自身の作品を創作させるという、いわば実践ト
レーニングを、「美術」「音楽」「社会科」などの他教科とも連携
しながら行っているということです。/つまり、文学作品を読解し
た後には、必ず表現の技術を分析し、そして分析した後には、その
技術を本当に自分のものにできたかどうかを確認するためにオリジ
ナルの作品の創作をする、という一連の流れがあらかじめ用意され
ているのです」
 どの地域でもこうした訓練が12年間続くのだそうである。

 たとえば、この本の中で紹介されているものとしては、以下のよ
うな創作文づくりの課題がある。課題文に関する具体的な分析もあ
って勉強になる。

 【課題】『夕鶴』の木下順二の文体をよく観察し、その文体を模
倣しながら「つう」が「与ひょう」に始めて出会うシーンを脚本の
形で書いて下さい。

 【課題】好きな文学作品を読んで、登場人物の視点からポピュラ
ーソングの歌詞を書いてください。音のくり返しやリフレインにも
工夫をほどこすこと。

 【課題】文学作品の「続編」を書いてみましょう。原作にはない
独自の視点で結末を発展させるように、また、原作の中のなにげな
い言葉(細部)が伏線として働くよう工夫して下下さい。

 以上のうちの1つ目、3つ目は、小学校の作文教育では「書き換
え作文」「続き話作文」などと呼ばれて実践されているものである
。創作文トレーニングは日本も小学校では、ある程度行われている
表現指導の方法のようである。

■創作文の指導をしたら楽しいだろう

 2005年度後期にある大学で「国語科教育特講」という講義を
させてもらうことになった。内容は国語教育に関係すればほぼ何で
もOKという。「論理的な文章」を中心にした訓練をしようと考え
ていたが、この本を読んだら、こうい「創作文」の訓練も少しやっ
てみたくなってきた。楽しそうである。
 
 中学校・高校で創作文指導がなくってしまうのはなぜだろう。確
かに受験があって、長時間、創作文に打ち込ませる余裕がないとい
えば、それまでだが、少し惜しい気がする。いずれにしろ表現教育
は楽しいが本文の結論である。

【今回の執筆者のプロフィールです】

上條晴夫(かみじょう はるお)
教育ライター・大学講師・ディベートトレーナー

1957年 山梨県生まれ。
山梨大学教育学部卒業。
小学校教師を経て、文筆・講演活動に入る。

教育研究団体「授業づくりネットワーク」代表。
学習ゲーム研究会代表。
メディアリテラシー教育研究会代表。
実践!作文研究会代表。
お笑い教師同盟(仮)代表。
全国教室ディベート連盟常任理事。
日本テレビ・ニュースアドバイザリー委員(2000年8月〜20
04年7月)
現在、『授業づくりネットワーク』(学事出版)編集代表、「実践
!作文研究」「学習ゲーム研究」「メディアリテラシー教育」「総
合的学習」メールマガジン編集主幹をつとめる。

【大学講義】

聖学院大学(日本語表現法I・II) 2001年9月〜
埼玉大学(生活科指導法・総合学習研究) 2002年4月〜
金城学院大学(討論技術・表現学) 2002年4月〜2003年
9月
聖心女子大学(国語科指導法・教育実習指導) 2004年4月〜

【所属学会】

日本言語技術教育学会
日本シミュレーション&ゲーミング学会

【主な著書】

『見たこと作文でふしぎ発見』
『中高校生のためのやさしいディベート入門』
『教師のためのインターネット仕事術』
『「勉強嫌い」をなくす学習ゲーム入門』
『シリーズ学習ゲーム 楽しみながら思考力を鍛える』
『授業をぐ〜んと面白くする中学国語学習ゲーム集』
(以上、学事出版)
『さんま大先生に学ぶ−子どもは笑わせるに限る』(フジテレビ出
版)
『実践・子どもウォッチング』
『小学校/朗読群読テキストBEST50』(以上、民衆社)
『総合的学習の教育技術−調べ学習のコツと作文的方法−』(健学
社)
『文章を上手につくる技術』(あさ出版)
『楽しく書ける作文・小論文(入門編・基本編)』(桐原書店)
『ワークショップ型授業で国語が変わる(小学校・中学校)』(図
書文化)
                          他、多数。

       ◆       ◆       ◆

−−3.ワークショップのご案内−−

■授業づくりネットワーク・連続ワークショップ第18回■
  Q-Uを活用した学級経営
 主催:教育研究団体「授業づくりネットワーク」

 四月からの学級経営を見直したいという方、じつは学級の荒れが
ちょっと心配という方、学級崩壊についての予防的な考え方を学び
たいという方、ぜひこの機会に本ワークショップに参加してみて下
さい。

 いま「学級の荒れ」対策として大注目の心理学的手法です。
 五分程度の簡単なアンケートで学級の荒れの芽を発見し、早めに
対処することが可能になります。教育現場を熟知した臨床心理のプ
ロが、アンケートのコツ(実施法・読解法)と対処の仕方を直接指
導します。

 QUは都留文科大学の河村茂雄先生の発案による「荒れの早期発
見対処プログラム」です。いじめ、学級崩壊対策の切り札的な実践
理論として注目を集めています。本ワークショップの講師は、その
河村先生の右腕的存在である粕谷貴志先生です。ソフトタッチの講
座が評判です。

 ぜひこの機会にQUの実践手法を学んでみてください。
 多くの方の参加をお待ちしています。

●QUの研修のようす
 http://www.tym.ed.jp/c21/totocentken16/seminer16/qu/qu16.htm
●QUに関する河村茂雄氏の講義資料
 http://www.pat.hi-ho.ne.jp/soyama/qu-unit/siryou/01QU.htm

■日時 2月6日(日) 午後1時〜5時(受付12時45分)
■会場 成蹊大学 9号館302教室(武蔵野市吉祥寺北町)
 *JR中央・総武線、井の頭線、地下鉄「吉祥寺駅」下車。
  吉祥寺駅前より関東バスで成蹊学園前下車(約10分)。
■日程(予定)
午前の部 10:00〜12:00<ワークショップ道場>
      いくつかのミニワークショップを行い、ワークショッ
プ型授業について検討します。
午後の部 13:00〜17:00<連続ワークショップ>
■日程(予定)
13:00〜14:30 Q-Uの理論と実際
      実際にQ-Uをためしに使ってみながら、Q-Uの基本的な
     考え方から、どんなことがわかるか、どんな活用法があ
     るかについての紹介します。
14:40〜16:20 Q-Uをつかった事例研究会の実際
      Q-Uを担任が一人で使うだけでなく、教師集団の中でみ
     んなで活用している学校では、その効果が大きい。Q-Uが
     教師集団が問題を共通理解して連携し、お互いに力を高
     めあうツールになればと考えています。そのための一つ
     の方法として、K-J法による事例研究会の実際を体験して
     いただきます。
16:30〜17:00(質疑)

■講師:粕谷貴志(都留文科大学)
   かすやたかし 都留文科大学文学部講師。公立小中学校教員、
  専修大学北上福祉教育専門学校講師を経て、現職。日本教育心
  理学会理事、NPO日本教育カウンセラー協会上級教育カウンセラ
  ー、学校心理士。現在は都留文科大学の河村茂雄教授のもとで、
  Q-Uを使った学級集団の理解と集団育成の研究をすすめながら、
  大学の地域交流研究センター教育相談部のスタッフとして、学
  校現場の教師サポートに取り組んでいる。著書:「授業スキル」
 「Q-Uを使った学級経営スーパーバイズ・ガイド」(共同編著)図
 書文化社他。

■定員:30名(満員になり次第締め切ります)

■参加費:2500円(授業づくりネットワーク会員:2000円)
★申込・問い合せ先

1)氏名、2)会員・一般の別、3)〒・住所、4)電話・FAX番号、
5)勤務先、 6)メールアドレスを明記の上、下記あてにFAX、Eメ
ールまたはハガキでお申し 込みください。
 授業づくりネットワーク事務局 担当:鈴木宣昭
 〒162-0814 新宿区新小川町6-12 TEL/FAX:03-3269-3715 
 Eメール:KFD02107@nifty.ne.jp

┌────────────────────────────┐
| 学級づくりで困っている方にぜひ、QUの考え方と手法を知|
|ってもらいたく、現在、このワークショップの声かけをていま|
|す。(1980年代以降、「処方」の技術はたくさん広がりま|
|したが、「診断」の技術はまだまだ知られていません。湿地的|
|な要素の強くなった教室ではぜひ診断技術が必要であると考え|
|ています。他の学級でうまくいったからといって、自分の学級|
|でもうまくいくとは一概にいえない学級状態が広がってきてい|
|るからです)                      |
|                      (上條晴夫)|
└────────────────────────────┘

−−4.HPリニューアルのお知らせ−−

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 授業づくりネットワークのホームページは3/13にリニューアルの
予定です。現在、リニューアルの作業を行っています。ご期待くだ
さい。また、ご利用にご不便をおかけしているページもございます
が、リニューアルまでしばらくお待ちください。
          http://www.jugyo.jp/
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 実践!作文研究のホームページも3/13にリニューアルの予定です。
現在、リニューアルの作業を行っています。ご期待ください。
        http://www.jugyo.jp/sakubun/
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 お笑い教師同盟(仮)のホームページも3/13にリニューアルの予
定です。
 現在、リニューアルの作業を行っています。ご期待ください。
       http://www.jugyo.jp/owarai-kyousi/
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−−5.編集後記−−

○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

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メールマガジン「実践!作文研究」No.260 2005/1/30 読者数2123
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
(メールを送る際は@を@に換えてください)
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2005 実践!作文研究会
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