メールマガジン「実践!作文研究」
第252号(2004.12.5)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第252号 2004年12月5日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、峰本義明さんの連載「高校での作文指導」第5回をお送
りします。
 なお、「高校での作文指導」は今回で最終回です。
 峰本さん、1年間ありがとうございました。
 みなさんぜひ、ご意見ご感想をお寄せください。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「高校での作文指導」−−
                        新潟県・高校
                          峰本義明

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       第5回 高校での作文指導を考えよう
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■ はじめに

 これまで4回にわたって、リレー物語、掲示板による句会、マッ
プを使った発想指導、マップを使った文章構成指導について紹介し
てきました。最終回では、これらの取り組みの背景となる、高校で
の作文指導についての考えを述べます。そして、これからはどんな
指導が必要になるか、私見を述べます。

■ 高校での作文指導の実際

 私の勤務する新潟高校では、1年生に国語総合を履修させていま
す。今年度の私はその国語総合を担当しています。

 この国語総合では、残念ながら表現指導に十分な時間を割いてい
るとは到底言い難い状況です。「話すこと・聞くこと」の指導の一
環として、ディベート指導を2時間(本校は65分授業)行いました。
これは、本校の歴史ではおそらく画期的なことだったでしょう。し
かし、これ以降は目立った取り組みはなされていません。「書くこ
と」の指導においては、組織的な取り組みは特にありません。

 このような状況に陥る理由は2点あります。1点目は、高校によ
く見られる「共通進度、共通テスト」です。2点目は、大学受験対
策との関係です。

 1点目について、高校では一般的に同学年・同課程の場合、授業
は各クラス共通の進度が設定されます。したがって、定期試験も共
通の問題が出題されます。この共通進度のために、必ず授業担当者
同士で調整を行わなければなりません。

 そこに2点目が関わってきます。大学受験に対応するために、ど
うしても読解指導や古典の文法指導が中心になり、こなすべき内容
はかなりの分量になります。しかも共通進度が設けられているので、
私の今年1年の実感としては、これらの読解中心の指導をこなすだ
けで精一杯でした。表現指導に本格的に取り組む余裕があまりあり
ませんでした。

■ 作文指導の意義

 表現指導・作文指導は大学受験対策に関係ないものとされて(小
論文指導は別にして)、その意義があまりないように思われていま
す。しかし私は、読解指導は作文指導と合わせることによってより
よい指導ができ、結果的に受験にも対応できると考えています。

 授業はインプットとアウトプットの両方があるべきです。生徒は
教師の教える内容や教科書等から多くのことをインプットします。
しかし、インプットだけでは単なる知識として頭の中に蓄積されて
いくばかりです。それを自らの知恵として活用するためには自分な
りに整理・処理し、その結果を他人に分かりやすいように伝える必
要があります。つまり、アウトプットする場面を授業の中に設定す
るべきです。

 また、アウトプットの方法を理解することによって、インプット
がしやすくなるということもあります。

 パラグラフ・ライティングというものがあります。文章をパラグ
ラフを単位として書くものであり、1つ1つのパラグラフの構成法
やパラグラフの配置法にも一定のルールがあります。

 このパラグラフ・ライティングを読解に応用すると、内容がより
理解しやすくなります。パラグラフ・ライティングでは、筆者の主
張が置かれる位置やパラグラフの論理展開が定まっています。それ
を目の前の文章に当てはめていくことにより、筆者の主張や文章の
構成がよく読み取れるようになります。

■ 今後求められる指導

 大学受験に対応できる力を授業でつけさせるために、読解指導が
高校での授業の中心になるのは致し方ないことです。しかし、それ
らは作文指導と組み合わせることによって、より一層効果を上げる
はずです。

 多くの高校においては国語総合・現代文・古典などの読解指導が
中心の科目が設定されているでしょう(国語総合は正確には読解中
心の科目ではありませんが……)。これらの科目では、普段の読解
指導の中に生徒に文章を書かせる場面を設定するとともに、その過
程で少しずつ作文指導を行うことになると思います。

 私が今年取り組んできた例を以下にあげます。
(1)評論の、序論ー本論ー結論の全体構成を押さえる。
(2)小説の、導入ー展開ー山場ー終結の全体構成を押さえる。
(3)評論の、序論ー本論ー結論各部の要約文を書かせる。
(4)評論文の、全体の要約文を書かせる。
(5)短歌を生徒に作らせ、その鑑賞文を書かせる。

 多少場当たり的な感があって、反省しています。もっと全体の指
導の流れを考えて、どのような作文指導をするかを考えるべきだっ
たと思います。

 このように、作文指導という観点から国語の年間指導計画を立て
ることも必要です。つまり、年間でこれこれの作文の力をつけさせ
るという計画のもとに、この評論では何を書かせ、この小説では何
を書かせようかと考えるわけです。

■ おわりに

 高校の現場は忙しいです。取り入れればいいと分かっているもの
でも、なかなかすぐには取り入れられません。しかし、たとえ少し
ずつでも、作文指導を普段の指導に取り入れていく授業を行ってい
きたいと考えています。

 5回にわたってささやかな見聞・実践を紹介してきました。お付
き合いくださいましたことを、心より感謝いたします。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 峰本 義明(みねもと よしあき)

 新潟県立新潟高等学校教諭
 (前 新潟県立教育センター指導主事)

 教育センターから久しぶりに現場に戻り、高校生に作文を取り入
れた授業を行おうと奮闘中。同時に、放送大学大学院に所属し、
「情報教育の観点を踏まえた国語教育のあり方」をテーマに修士論
文の執筆に悪戦苦闘中。

○共著書『「朝の読書」がもっと楽しくなるアイディア集』
 (メーリングリストでつながる「朝の読書」の項執筆)
 2001.10 林公推薦 穴見嘉秀編著 学事出版
○『MESE研修会レポート』
 2000.12 「学習ゲーム研究会」情報誌『m-age』MM版No.24
(http://homepage.mac.com/nsanai/024.html)

ホームページ:http://homepage.mac.com/beulah/kokugo/
    (blogによる授業日誌を公開中)

(「聖書の福音」もどうぞ。http://www1.linkclub.or.jp/~beulah/)

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

○次号は伊達木新子さんの登場です。お楽しみに。
○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

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発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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