メールマガジン「実践!作文研究」
第245号(2004.10.17)


学力問題としての作文教育を考える
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 メールマガジン「実践!作文研究」
 第245号 2004年10月17日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、今宮信吾さんによる「「児童詩の書かせ方」コツ・ネタ」
第5回をお送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「「児童詩の書かせ方」コツ・ネタ」−−
                       兵庫県・小学校
                          今宮信吾

============================================================
     第5回「ことばを引き出す」
============================================================

 詩と作文の大きな違いは、詩は書き方を教える必要があるという
ことである。もう少していねいに書くと、低学年のようにくらしそ
のものが詩的である場合には、教師の指導性はさほど必要なく、く
らしを耕していればいいが、中学年以降になると、「どんなふうに
書けばいいのだろうか」という意識が芽生え始める。そこにこそ教
師は指導性を発揮しなければいけない。

 以下の点が指導をするときの教師の構えである。

1.子どもたちが書いた文章の中から、中心となることばを見つけ
 る。
2.そのことばを中心に教師との対話によって引き出していく。
3.対話した後、生かせそうな文章を子どもたちにピックアップさ
 せて詩として完成させる。
4.書き上げたものを声に出して読ませる。
5.仲間に呼んでもらいコメントをもらう。
6.コメントを読み返し、自分で自分の作品にコメントを加える。

 今回はその一部分を「教師の指導性」ということでお示しする。
賛否両論あるものだろうろ思うが、あえて議論の場に乗せてみたい。
次号では、子どもたち同士の伝え合いをお伝えする。

<事例1>

┌────────────────────────────┐
|○もう秋というあたらしいきせつがやってきました。トンボも|
| いっぱいとんでいてゆうびんマークのようです。冬までにい|
| ろいろたのしんでいきたいです             |
└────────────────────────────┘
 上の文章は「学習のまとめ」として書いてきたものである。

T「もう秋になってきたね。とんぼがとんでるんや。ゆうびんマー
  クというのは、いいことばをつかったね。いつとんでたん。」
C「昨日の夕方。」
T「昨日の夕方はどんな夕方だったかな。」
C「うーん、ちょっとくもっていたかな。」
T「雲がたくさん出てたの。じゃあ暗かったんだ。」
C「暗くはないけど・・・」
T「光はさしてたの。」
C「雲の間から線になって地面をさしてた。」
T「すごい場面をつかまえてるやんか。秋らしいなあ。それも書い
  といたらいいね。これ詩にできるよ。はじめのところを題名に
  したらどうかな。何て書こう。」
C「あたらしいきせつにしようかな」
T「それもいいなあ。でも秋ってわかるかな。」
C「あっそうか、じゃあ秋がはじめるにするわ。」
┌────────────────────────────┐
| 秋がはじまる                     |
|     四年 男子                  |
|夕方                          |
|とんぼが                        |
|ゆうびんマークのように                 |
|とんでいる                       |
|雲の間から                       |
|光が線になって                     |
|地面をさしている                    |
└────────────────────────────┘
 一日のふりかえりとして書いてきたものを詩にすることの是非は
あるだろう。しかし、私は作品を仕上げるという目的に向かってこ
とばをかわしたことに価値をおきたい。

<事例2>

 次の詩も教師との共同制作である。
┌────────────────────────────┐
|  心に石がたまる                   |
|        二年 女子               |
└〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┘
『どんな時に心に石がたまるの』
「ええっとね。いじわるされた時になるの。むねのまん中らへんが
 重くなる」
┌〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┐
|いじわるされたとき                   |
|心がおもくなんねん                   |
|むねのまん中らへんがおもくなる             |
|心に石がたまんねん                   |
└〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┘
『こんな時がそうだったって思う出せる事ってある』
「幼稚園の時に一人の男の子にいじめられてたこと。タイヤのとこ
 ろに連れていかれていじわる言われたり、キックされたりした。
 バンドエイド持って来いって言われて、こわいから持っていった」
┌〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┐
|ようちえんのとき                    |
|一人の男の子に                     |
|いじめられた                      |
|タイヤのところにつれていかれて             |
|「かわいいバンドエイドもってこないと10ぱつたたくぞ。」|
|て いわれた                      |
|キックもされた                     |
|わたしこわいからもっていった              |
└〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┘
『他にもそんなことはなかったの』
「内緒話をされたりした」
『どんなこと言われたの』
「まみちゃんにうそつくんやでって」
『そのときどうしてたの』
「聞こえてたけど、聞こえないふりしてバスの外見てた」
『どんなこと考えながら見てたの』
「いじめられたらさむけがするし、わたしのきずの上に石がのかっ
 てくる」
『その子のことどう思ってるの。』
「たぶん、その子石がたまってたんだと思う。お母さんが言ってた
 もん。いじめられるといじわるしたくなるって」
┌〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┐
|バスの中では                      |
|ないしょばなしで                    |
|「まみちゃんにうそつくんやで。」            |
|て いわれた                      |
|わたしきこえてたけど                  |
|きこえないふりして                   |
|バスのまどからそとみてた                |
|いじめられたら                     |
|さむけがする                      |
|わたしのきずのうえに                  |
|石がのかってくる                    |
|だんだんふえてくる                   |
|その子たぶん                      |
|心に石がたまっていたんだとおもう            |
|おかあさんが                      |
|「いじめられるといじわるしたくなるんだよ。」      |
|て いってたもん                    |
└〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┘
 この後、教師の発話を待たずに、自分から話し始めた。ここまで
の対話の中で、自覚的に話そうという気持ちが芽生えたのではない
だろうか。教師との対話を進めて行く中で、もっと言葉で伝えたい
という気持ちが高まっていったと思われる。
┌〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┐
|でもね                         |
|かわいそうな人やねんから とおもって          |
|いじわるな人をゆるしても                |
|いじわるしかえさなくても                |
|やっぱりわたしの心に                  |
|石がのこるねんで                    |
|                            |
|石がいっぱいたまったら                 |
|いじわるしたくねるんやろか               |
|がまんしてても                     |
|石がたまってくるもん                  |
|でも                          |
|しかえししたらあかんねん                |
|かわいそうな人やねんから                |
|しあわせじゃない子どもは                |
|心に石がたまってねんから                |
|そして                         |
|だんだんとその石のことが                |
|わからなくなっていくねんな               |
|わからんうちに いじわるしてしまうねんな        |
└〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┘
『もう他に思い出したことないの。これで全部』
「あっ思い出した。このごろな。石なくなったと思う。私を無視し
 なくなったもん」
┌〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┐
|そうや                         |
|りな子ちゃんな                     |
|石なくなったとおもうで                 |
|だってこのごろ                     |
|わたしをむししなくなったもん              |
└〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┘
『男の子へのメッセージないの』
「はやく石がなくなったらいいのになと思う」
┌〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜┐
|あの男の子も                      |
|はやく石なくなったらいいのにな             |
└────────────────────────────┘

【今回の執筆者のプロフィールです】

今宮信吾(いまみや しんご)

神戸大学発達科学部附属住吉小学校勤務
1964年 兵庫県神戸市生まれ
兵庫教育大学学校教育学部卒業
同上 学校教育研究科終了
国語教育探求の会、全国大学国語教育学会、日本国語教育学会
日本作文の会、臨床国語教育研究会 など会員
著書 
子どもといっしょに読みたい子どもの詩
「こころの展覧会」 桐書房
共著
「子どもとひらく国語科学習材」作文編 明治図書
「教科と総合の調和 教師の支援のポイントはこれだ!」明治図書
「音読・朗読・群読の指導ハンドブック」 あゆみ出版
「音読・群読・ことばあそびハンドブック」 あゆみ出版
「日本の教師」15 教師として私を変えたもの ぎょうせい
「小学校1年生の大研究」 子どもの未来社
「小学校3年生の大研究」 子どもの未来社
「小学校5年生の大研究」 子どもの未来社
                           など

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

○次号は、堀 裕嗣さんの登場です。お楽しみに。
○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
メールマガジン「実践!作文研究」No.245 2004/10/17 読者数2122
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2004 実践!作文研究会
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「「児童詩の書かせ方」コツ・ネタ      
「第245号の感想」を書く 戻  る トップページへ

メールマガジンのご案内へ