メールマガジン「実践!作文研究」
第234号(2004.8.1)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第234号 2004年8月1日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。夏休みの方も多いと思います。
 今回は、峰本義明さんによる「高校での作文指導」をお送りしま
す。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「高校での作文指導」−−
                        新潟県・高校
                          峰本義明

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     第3回 マップを使って楽しく作文を書こう
     − 作文を書き始める前にマップを使う −
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■ はじめに

 「作文を書きなさい」と生徒に指示すると、まず彼らが浮かべる
表情は「えーっ!」というものです。嬉しそうな顔をする者はほと
んどいません。作文に対して生徒はよほど苦手意識があるのだなぁ、
と思います。

 作文を書かせる際に効果的なのがマップです。そこで、連載の当
初の予定を変更して、マップによる作文指導について2回に分けて
書きます。以下の予定です。これは、次節の「作文を書く際のハー
ドル」の2つに対応しています。

 第3回 マップを使って楽しく作文を書こう
  − 作文を書き始める前にマップを使う −
 第4回 マップを使って論理的に作文を書こう
  − 作文の構成を考える時にマップを使う −

■ 作文を書く際のハードル

 作文を書く際にはいくつかのハードルがあります。大きく分け
と2つです。
 1.何を書いたらよいのか分からない
 2.どのように書いたらよいのか分からない
 したがって、作文指導にはこの2つのハードルを軽減させる手
だてが必要です。つまり、1.に対しては発想を援助する手だて
を、2.に対しては構成を援助する手だてを、工夫します。マッ
プはその両方に効果的なツールです。

■ マップとは?

 マップとは、考察しようとするテーマや概念を示す言葉を紙の
中心に置き、その周囲に作成者の脳内にある関連した様々な概念
を同心円上に配置した図のことです。概念マップ、ウェビング、
イメージマップなどと同じものだと考えています。

 脳科学の知見によれば、人間の脳は、記憶している内容を2次
元的に脳内に配置して保存します。ですから、マップは人間の脳
内の記憶をそのままの形で紙の上に書き出したもの、とも言えま
す。

 私たちは物事を考えるとき、直線的には考えないで2次元的に
いろいろなことを考えていきます。あることについて考えていた
ら、それに触発されて他のことを思いつき、そのことについてボ
ーっと考えてしまって、慌てて元の考えていたことに戻る、とい
うことを私たちはよく経験します。これは、私たちの脳の働きを
よく表しています。脳内の記憶が2次元的に配置されているので、
あることについて考えていると、そのことに関連する別の記憶が
刺激されて、別の発想が出てくるのです。1つのことを考え終え
た後に次のことを考える、という直線的な考え方をしてはいませ
ん。

 マップはこのような脳の働きを阻害しないように工夫されたも
のです。直線的・発展的ではなく、空間的・同時多発的に考えて
いることを記録することにより、脳の働きを解放し、次の発想を
促していきます。そこで、マップを書いていると「楽しい」ので
す。脳が自由に働いて、生き生きと発想できるからでしょう。

■ 発想援助にマップを使おう

 発想を援助する手だてとして、マップは効果的です。

 作文を書かせる際に、そのテーマに関していろいろと発想させ
る必要があります。そのために、頭の中にある考えをまず一度紙
の上に書き出させます。そうすることにより、書こうとする素材
がたくさんあることを理解させ、書く意欲を引き出すことが
期待できます。

 池田修さんの授業(NHK教育「わくわく授業」7/22放送分)で使
っておられた「イメージの花火」(=マンダラート)は、この発
想を援助するものです。池田さんは「作文は料理に似ている」こ
とを生徒に示し、料理を始める際に材料をそろえるように、作文
を書くときも頭の中にある素材をまず書き出すことの必要性を教
えておられました。

 そこで、生徒に作文を書かせる際には、まずマップを書かせま
しょう。B4かA3の白紙を用意し、その中心に作文のテーマを
目立つようにして書きます。その周囲に、そのテーマから発想さ
れる単語を同心円上に次々に書いていきます。そして、その単語
の1つ1つの周囲にも、そこからさらに発想される単語を書いて
いきます。このようにして網目状に広がるように書いていきます。
マップを書く際の注意事項を次にまとめておきます。
 ・文より単語の方が良い(次の発想が生み出しやすい)
 ・質より量を重視(思いついたことを次々に書く)
 ・網目状に広がるように(直線に伸びる連想ゲームを避ける)
 ・色やイラストを積極的に使う(右脳を刺激させる)

 あるいは、池田さんのようにマンダラートを使うのも良いでし
ょう。マンダラートは3×3のマス目の中心にテーマを置き、周
囲の8つのマスに思いついた単語を書いていくものです。その8
つのマスに対応するように外側にさらに3×3のマス目をつ用意
し、それぞれの中心に発想された8つの単語を書き入れ、今度は
その単語から発想されるものを埋めていきます。

 マップはかなり自由度が高いので、生徒によっては書きにくい
と感じるかもしれません。その場合はマンダラートを使わせると
書けると思います。マンダラートは、とにかく8つ考えればいい
という制約があるため、逆に書きやすくなります。

■ おわりに

 この方法は、読書感想文でも小論文でも使えます。読書感想文
の場合は読んだ本の題名を、小論文の場合はそのテーマを、マッ
プの中心に据えて発想を書き出していけばよいのです。

 今回の内容をまとめる際に、私もマップを書きました。それを
以下のURLに載せておきますので、参照してくだされば幸いです。
 http://homepage.mac.com/beulah/kokugo/mm_map1.html

【今回の執筆者のプロフィールです】

 峰本 義明(みねもと よしあき)

 新潟県立新潟高等学校教諭
 (前 新潟県立教育センター指導主事)

 教育センターから久しぶりに現場に戻り、高校生に作文を取り入
れた授業を行おうと奮闘中。同時に、放送大学大学院に所属し、
「情報教育の観点を踏まえた国語教育のあり方」をテーマに修士論
文の執筆に悪戦苦闘中。

○共著書『「朝の読書」がもっと楽しくなるアイディア集』
 (メーリングリストでつながる「朝の読書」の項執筆)
 2001.10 林公推薦 穴見嘉秀編著 学事出版
○『MESE研修会レポート』
 2000.12 「学習ゲーム研究会」情報誌『m-age』MM版No.24
http://homepage.mac.com/nsanai/024.html

ホームページ:http://homepage.mac.com/beulah/kokugo/
    (blogによる授業日誌を公開中)

(「聖書の福音」もどうぞ。http://www1.linkclub.or.jp/~beulah/

       ◆       ◆       ◆

−−3.研究会情報−−

┌────────────────────────────┐
|     野口塾(野口芳宏先生と学ぶ会)in帯広     |
|日時:平成16年8月29日(日)            |
|場所:帯広市:啓北コミュニティセンター         |
|主催:鍛える国語教室・十勝支部             |
|詳細:                         |
http://blog.livedoor.jp/yo_mazda/archives/4537591.html
└────────────────────────────┘
┌────────────────────────────┐
|      授業づくりネットワーク 千葉2004      |
|     〜『確かな学力』を育てる授業づくり〜     |
|日時:8月7日(土)〜8日(日)            |
|場所:市川グランドホテル                |
|主催:授業づくりネットワーク              |
|詳細:http://www.jugyo.jp/yotei/2004natu.html      |
└────────────────────────────┘

−−4.編集後記−−

○次号は、宇宙エッセイスト協会会長さんの登場です。お楽しみに。
○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

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メールマガジン「実践!作文研究」No.234 2004/8/1 読者数2123
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2004 実践!作文研究会
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