メールマガジン「実践!作文研究」
第229号(2004.6.27)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第229号 2004年6月27日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、堀 裕嗣さんの連載「やる気をひきだす看図作文の授業」
第3回をお送りします。
 なお、堀さんの第2回の連載の時もお知らせしましたが、堀さん
の連載では、毎回絵が登場します。このマガジンのシステム上、絵
を載せることができません。そこで、マガジンでは絵へのリンクを
張っています。HPに載せる際には絵を同時に見ることができます
ので、よろしくお願いします。
 なお、前回は転勤したばかりでスキャナが学校のどこにあるかわ
からず、やむなく私の自作の絵を載せましたが、今回は堀さん指定
のものを用いることができました。
 皆さんのご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.「やる気をひきだす看図作文の授業」−−
                       北海道・中学校
                          堀 裕嗣

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 第3回「〈タイトル〉を与える」
   堀 裕嗣(札幌市立向陵中学校)
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 まずは,次の絵図をじっくりとご覧ください。

 (鹿内信善『やる気をひきだす看図作文の授業』春風社、p113
  より)

 読者の皆さんは,この絵図からどんなことを発見しましたか?
 
 さて,「看図作文」の第二時はこの絵を用いて授業をするとしま
す。前号(No.220/2004.04.25)のパターンで展開すれば,次のよ
うになります。

 1.絵に関する〈問い〉を出していく
(1)女の子はなぜリュックを背負っているのですか?
  (2)女の子は笑っているのですか?泣いているのですか?
  (3)女の子は何を持っているのですか?また,それは何に使
    うのですか?
(4)なぜまわりに小鳥が飛んでいるのですか?
  (5)左側の草は何ですか?
などなど……
2.〈問い〉に答えることによってイメージされた場面設定にし
  たがって,「物語」を創作させる

 前回の「サボテン」の授業で学習した事柄がいま一つ定着してい
ない……という場合には,同じ授業展開で授業をして,定着をさせ
るということは大切なことです。
例えば,私の受け持っている生徒の一人は,これらの質問に次の
ように答えました。

  (1)女の子はなぜリュックを背負っているのですか?
       → 遠足ではぐれてしまい道に迷ったから
  (2)女の子は笑っているのですか?泣いているのですか?
       → 疲れていたところに小鳥が来て,いやされて笑
        っている
  (3)女の子は何を持っているのですか?また,それは何に使
    うのですか?
       → 竹 途中で拾って杖がわりにしている
  (4)なぜまわりに小鳥が飛んでいるのですか?
       → 女の子に危険を知らせようとしている
  (5)左側の草は何ですか?
      → 人食い植物「シタナメーズリー」
  (6)右側の草は何ですか?
      → 毒草「ポイズニア」
  (7)右下の白いものはなんですか?
      → 人食い動物「モコモコ」

 この生徒が設定した場面がおわかりでしょうか。
 そうですね。遠足からはぐれて山の中を歩き回った少女が,拾っ
た竹を杖にして,疲れて座り込んでしまいました。しかし,そこは
毒草や人食い植物,人食い動物などの巣であり,女の子は危険にさ
らされているわけです。それを二羽の小鳥が知らせようとしていま
す。しかし,女の子は小鳥が来たと喜ぶだけで,危険には気がつい
ていない……そういう場面になるわけです。
この生徒は女の子を狙う者たちが一斉に襲いかかったとき,二羽
の小鳥が女の子の肩をくわえて飛び立ち,女の子を逃がしてあげる
という結末までを,原稿用紙5枚の作品として書き上げていました。

 もちろん,この授業はこの授業なりに楽しいものにはなります。
しかし,私がこの絵を用いて行う授業では,次のように授業を展開
します。

 1.絵図を配布し,物語をつくることを予告する
 2.生徒達を3人一組に分ける
 3.3人でじゃんけんをさせ,Aさん・Bさん・Cさんを決めさ
  せる。
 4.タイトルを強制的に与える
    Aさん … たぬきの病気
    Bさん … 「悪魔の花嫁」脱出計画
    Cさん … 宇宙船地球号を救え!
 5.絵をタイトルにしたがって分析させる
 6.物語を書かせる

 つまり,あらかじめ教師によってタイトルを提示し,そのタイト
ルに整合した物語を創作させるわけです。つまり,生徒からみれば,
そのタイトル(例えば「たぬきの病気」)にあった材料を絵図の中
から探さなくてはならない状況に追い込まれるわけです。
 この際,「多少こじつけでもかまわないよ」と伝えてあげること
が大切です。この一言があると,生徒達は目の前の霧が晴れたよう
な表情を示し,一気に「遊び心」を発揮し始めます。そして,実は
この作文指導の意図は,その「遊び心」を発揮させることにこそあ
るのです。
いかがでしょうか。皆さんも「たぬきの病気」「『悪魔の花嫁』
脱出計画」「宇宙船地球号を救え!」というタイトルで,この絵を
一場面として物語をつくってみてください。その楽しさがおわかり
になるはずです。
 次号では,その「楽しさ」がどこから生まれるのか,について語
っていきたいと考えています。

【お知らせ】
 私達は二ヶ月に一度,鹿内信善先生とともに札幌市内で「看図作
文」の学習会を開いています。その名も「看図作文研究プロジェク
ト」。会の名称は硬いのですが,15人程度で少人数で楽しく勉強に
いそしんでいます。また,年に3回ほど,「累積科学国語教育研究
会」という50人規模の学習会を開催して,「看図作文」を中心に作
文指導法の交流の機会ももっています。ちなみに,次回は10月30日
(土)の予定です。北海道にお住まいの方は,興味があればご参加
ください。案内はこちらに掲載しています。
    http://homepage2.nifty.com/higemaru/ruiseki7.htm

【今回の執筆者のプロフィールです】

堀 裕嗣(ほり・ひろつぐ)
札幌市立向陵中学校・教諭(国語・現在3年担任)
「研究集団ことのは」代表/「実践研究水輪」研究担当
「日本言語技術教育学会」北海道支部・事務局
著書
『全員参加を保障する授業技術』
『〈教室プレゼンテーション〉20の技術』
『発信型授業で「伝え合う力」を育てる』
『絶対評価の国語科テスト改革・20の提案』
『生徒・保護者にわかりやすい絶対評価の通知表』中1〜3
                以上すべて明治図書・他多数
 現在,「学級経営を高める」シリーズ全6巻を編集中
 また,このたび,『中学教育』7月増刊号『通知表所見文例集』
(小学館)を編集しました。お手元にとって御覧いただければ幸い
です。
 HP http://homepage2.nifty.com/higemaru/

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
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○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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(C) 2000,2004 実践!作文研究会
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