メールマガジン「実践!作文研究」
第222号(2004.5.9)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第222号 2004年5月9日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、石川 晋さんの連載「簡単!中学校作文授業入門」第2
回「中学校:見たこと作文」をお送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「簡単!中学校作文授業入門」−−

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簡単!中学校作文授業入門 その2
  「中学校:見たこと作文」
            広尾町立広尾中学校教諭   石川 晋
                      zvn06113@nifty.com
            http://homepage1.nifty.com/maru-shin/
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1.授業の流れ

┌────────────────────────────┐
|1 次の時間までにノートを用意するように言う。普通の「大|
|  学ノート」である。                 |
|2 次の時間の最初、ノートを開かせて次のように指示する。|
|  『したことではなく、見たことを書きなさい。』    |
|  『今日は、学校に来る途中で見たものを書きなさい。』 |
|3 書けた生徒の作文からどんどん教師が読み上げていく。 |
|  『「車。」いいですね。これでいいです』       |
|  『「友達を見ました」いいですね。短くていいのです』 |
|4 全員が書き終わったのを確認して、次のように指示する。|
|  『次の時間に、見たことを書いて持ってきなさい』   |
└────────────────────────────┘

 ここまでの流れは、上條晴夫氏の『見たこと作文でふしぎ発見』
(学事出版)にある流れとほぼ同じである。原実践では、これに
「毎日欠かさず、見たことを、文や絵で書きなさい」という指示が
続く。私も、同様の指示を出す。
 しかしここからは若干異なる。私は中学校国語の教師である以上、
国語の時間で行いたい。例えば今年は中学校2年生3学級の国語を
担当している。だから3学級全てで行いたい。そうすると、小学校
教師であった上條晴夫氏の原実践のように「毎日提出」は難しい。
さらに中学校では受験との関係で特に重要視される「評価」の問題
がある。
 そこで、私は、次の二つのルールを決めている。

┌────────────────────────────┐
|1 週一回必ず提出すること。              |
|2 提出は、関心・意欲・態度の「評価」とすること。   |
└────────────────────────────┘

 提出すればOKなので、生徒にとって高いハードルではない。事
実だいたい全員が提出してくる。前記の中2なら85名全員がほぼ
毎週一回提出する。

2.「作文指導」としての難しさ、ユーモア作文としての可能性

 上條氏の原実践「見たこと作文」では、集められた作文の中から
秀作を数本選んで「一枚文集」にする。一つ一つの作文には、教師
のコメントがつけられる。そのコメントは内容賞賛的なものという
よりは、「よさの認定評価」であり、言語技術指導的なものである
と私は捉えている。例えば『「○○○・・・」のように「引用」の
鍵カッコが使われていてわかりやすいです』といったコメントが、
それだ。そして、これを読み聞かせる。この一連の方法は、優れた
作文技法を使って書いてきた作文について、そのよさを全体にシェ
アできる点で大変よい。
 事実私は、当初から、「見たこと作文」を「作文技術指導」とし
て活用してきた。しかし、「見たこと作文」原実践が持つすぐれた
システムを持ってしてもいくつかの点で難しい面もあると思う。例
えば次の二点。

┌────────────────────────────┐
|1 作文指導の系統性を意識した指導は、取り立て指導を取り|
|  入れないと難しい。                 |
|2 週一回の提出(つまり週一回の一枚文集)では、継続的な|
|  作文指導としてはややインパクトが低い。       |
└────────────────────────────┘

 しかし、一方で、別なもっと大きなメリットを感じている。
 私は中学校では教科指導の中で行っていくので、「一枚文集」は
学級の枠を越えて作る。そうすると、読み聞かせの最中、学級の垣
根を越えた言わば学年の共有感、連帯感が生まれるのである。こう
した学習が国語の授業の中で、日常的に行われることはほとんどな
い。また、一枚文集はたいてい授業の冒頭に読むが、事前にもらっ
た作文に対して、教師が軽い突っ込みやボケをコメントの形で入れ、
それを読み上げるので、教室が大変和やかな雰囲気になるのである。
 私は今、中学校での見たこと作文を、ある種のユーモア作文と捉
え始めている。教室をなごやかに楽しく進める大変すぐれたシステ
ムなのではないか、と感じている。

3.一枚文集

 今年の一枚文集を紹介する。

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見たこと作文 2年 一枚文集4号     2004.4.27

┌────────────────────────────┐
|  犬                 ただよし    |
| 犬にもちをあげた。                  |
| 何回も口からだしていた。               |
| なんでだろう。                    |
| 次は犬に理由をきいた。                |
| すると鼻をなめられた。                |
└────────────────────────────┘
 犬にもちをあげても、食べません。犬に理由を聞いても、答えま
せん。

┌────────────────────────────┐
|  天才とバカ             まさたか    |
| なぜ同じ人間なのに                  |
| 天才とバカがいるのか                 |
| どちらかというと僕は                 |
| バカな方だ。                     |
└────────────────────────────┘
 これは、すごい傑作。「どちらかというと僕はバカな方だ」とい
う分析をしている君は、全然バカではなく、どちらかというと天才
詩人だ。

┌────────────────────────────┐
|  そら                ゆかり     |
| 空をみた。                      |
| くもりなのに太陽がでてた。              |
| 天気予報はどっちかな。                |
└────────────────────────────┘
 最後の一文が、予想外の展開。普通、天気を見てから天気予報は
見ないのだ。「視点のずらし」がいい。

┌────────────────────────────┐
|  H先生               あやか     |
| H先生を見た。笑ってた。いきなりダジャレを言った。  |
|「草は・・・くさかった」って!!            |
└────────────────────────────┘
 「草は・・・くさかった」・・・・・・・・・・・・。許せん。

┌────────────────────────────┐
|  タンポポ              じゅんき    |
| 学校のげんかんの前でタンポポを見た。         |
| そのタンポポをつかさが引きちぎった。         |
| 一つの命が失われたしゅんかんだった。         |
└────────────────────────────┘
 つかさは、残忍だ。でも、タンポポは負けない。

┌────────────────────────────┐
|  セノビーごはん           しょうた    |
| 今日、ほっかほかのごはんの上に「セノビー」をかけてたべ|
|てみた。ぬるかった。きもち悪くなった。でもやみつきになっ|
|た。また食べよー。                   |
└────────────────────────────┘
 セノビーとごはんは別々にいただきましょう、よろしく。

┌────────────────────────────┐
|  N先生               ゆうこ     |
| 朝、N先生を見た。                  |
| うでに緑の何かつけてた。               |
| 緑のオバサン化してた・・・。             |
└────────────────────────────┘
 「緑のオバサンではありません」by N

┌────────────────────────────┐
|  一番星              あやこ      |
| 一番星を見た。                    |
| 月の近くで光っていた。                |
└────────────────────────────┘
  ぼくも見ました。あの星はなんですか?

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4.一枚文集は全職員に

 もう一つ、見たこと作文の一枚文集は毎号管理職を含めた全教職
員に配布している。生徒の作文は、おもしろい。私のコメントを楽
しみにしてくださる教師もいる。職員室がなごやかな雰囲気になる。
また、こうした中で、自然と、生徒の話が職員室で出てきたりする、
副次的な効果も大きい。

【今回の執筆者のプロフィールです】

石川 晋(いしかわ しん)
    北海道・広尾町立広尾中学校教諭
    日本児童文学者協会会員
    学校図書館に人を・・・情報誌「ぱっちわーく」発行同人
    教育サークル「ぱいおにあ」代表
    『授業づくりネットワーク』編集委員

       ◆       ◆       ◆

−3.イベント情報(残席20だそうです。お急ぎ下さい!)−

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┃☆┃第20回 授業改革セミナー 東京国際フォーラム大会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

日時  平成16年5月29日(土曜日)13:20〜16:40
場所  東京国際フォーラム会議室 G402
    http://www.t-i-forum.co.jp/japanese_r/index.html
参加費 2,000円
定員  80人 
日程   13:10〜16:40
講師  上條晴夫,佐藤幸司,土作彰,桃崎剛寿
申込  桃崎剛寿 momochan@mb.infobears.ne.jp
詳細  http://www2.infobears.ne.jp/athome/momochan/

       ◆       ◆       ◆

−−4.編集後記−−

○次号は、中村健一さんの登場です。お楽しみに。
○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
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○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

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メールマガジン「実践!作文研究」No.222 2004/5/9 読者数2176
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2004 実践!作文研究会
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