メールマガジン「実践!作文研究」
第216号(2004.3.28)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第216号 2004年3月28日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、「宇宙エッセイスト協会会長」さんの連載「作文がらみ
エッセイ」第3回をお送りします。ご意見・ご感想をお待ちして
います。
       ◆       ◆       ◆

−2.「宇宙エッセイスト協会会長による作文がらみエッセイ」−

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   第3話 『作文コンクール応募』
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<はじめに>
皆様こんにちは、宇宙エッセイスト協会会長です。
今回は、大好評売れ残り中の私のエッセイ集PART4の掲載作品
「作文コンクール」
です。
すでにお読みくださった皆様、ごめんなさい。

<作文コンクール>
歌のコンクールだけじゃ物足りなくなって、作文コンクールにまで
手を出してしまいました・・・・ってわけでもないのですが・・・

夏休み明けの9月初旬。
職員室の回覧ボックスの書類に「募集」の文字を見つけた私は、そ
のクリップで挟まれた何枚かのパンフレットを箱から取り出した。

私は「募集」「コンクール」「オーディション」の文字に大変敏感
で、新聞・雑誌・テレビなどにこの文字を発見するとすぐ脳に引っ
掛けることが出来る。今回も何の募集だかよく知らないが、とにか
く募集だから私の脳が
「それを手に取ってみよ」
と私に命令したわけだ。
以下にかいつまんで内容を紹介してみよう。

****************************** 
    第12回 読書指導体験記コンクール

・・・(略)日頃から熱心に取り組んでいらっしゃる読書指導の体
験、成果の記録を募集いたします。・・・・・(略)

<応募枚数>400字詰め原稿用紙5枚以内。(ワープロ原稿可)
<応募資格>全国の中学校の教職員(団体も可)
  ・
  ・  (略)
  ・
<審査員>三木 卓(作家)・・・・ごめんなさい、私この作家知
                 らない。本あんまり読まない
                 から。
  

     文部科学省初等中等教育局視学官
             ・・・・どんなことしてる人かなあ。
                 自分の肩書き書くとき大変だ
                 ろうなあ。とにかく、とても
                 偉いのだろう。

     全日本中学校長会会長
             ・・・・上の人よりどんなことしてる
                 人か判る気がしてほっとする。
******************************

パンフレットに目を通すと、私はすぐに応募することに決めた。
その理由は

・直感的に作文の題材を思いついた。
・作文の枚数が手ごろである。
・先生対象に募集されているから、一般公募よりはるかに競争倍率
 が低いと予想される。
・パンフレットにつけられていた昨年の優秀作品を読んで自信を持
 った。

 ・・・・・こんな風に書いて「身の程知らずのばかな自信家」と
誤解されると困るので言い訳をしておく。 
昨年の作品はどれも文章としては立派だが
「昔から文学少年少女だったんだろうなあ」
「本を読む気のない人間の気持なんてまず理解できないだろうなあ」
という感じの先生の文章だった。

これから私が書こうとしている文章はとは全くタイプが違っていて
もしかすると違った意味で審査員の目に止まることもあるかもしれ
ない。

そこで私はその日の夜さっさと作文を書き、翌朝にはポストへ投函
してしまった。以下がその全文である。(応募は原稿用紙に印刷)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

偉そうなこといえない先生の
         「読書のすすめ」

私ね、高校生になるまでほとんど本って読まなかったの。
絵本なら好きだったよ。保育園の頃読んだ『ぐりとぐら』とか『そ
らいろのたね』何て今でも好き。これ、みんなも読んだことあるで
しょ。おもしろいよねえ。
でね、私の読書能力はその保育園あたりからほとんど進歩してなく
て字だけの本を読む大人が不思議でしょうがなかったの。学校の教
科書だって、小学校1年生から3年生くらいまでの国語の本ならま
だたくさん絵も書いてあって好きだったけど、4年生以上になると
だんだん字が小さくなるし、絵は書いてないしで、だんだん読むの
が嫌になっちゃった。

5年生の道徳の時間、先生に
「今日は図書室で一冊ずつ本を借りましょう」
なんて連れて行かれた時、字ばっかりの本じゃなくて、絵本とか絵
がたくさん書いてあって字の大きい読みやすい本を借りたかったけ
ど、友達の手前、5年生にもなって、1,2年生が借りるような本
は恥ずかしくて借りられなくて・・・仕方なく、適当な本借りて帰
って、結局読まなかった。

そのまんま小学校も中学校も卒業して、高校1年生のある授業時間。
あっ、これ、自分の今の立場を考えるとあんまりいい例じゃないけ
ど、嘘つくのもなんだし正直に言うね。
何の授業だったか忘れたけど、その時間、隣の席のKちゃんが、机
に隠れてなんか読んでるわけ。私は当然マンガ本だと思って、Kち
ゃんにコソコソ
「何読んでるの」
って聞くと、彼女は私に本の表紙を見せてくれたの。それには
『ボッコちゃん』
て、知らない本の名前が書いてあって、また私は彼女に
「ねえ、字ばっかりで面白いの」
って聞くと、
「面白いよ、一話一話短いからすぐ読めるし。一つ貸してあげよう
か」
って言って
『おのぞみの結末』
って本を貸してくれたの。
「字だけの本なんて私に読めるかなあ」
なんて心配したのははじめの5行くらいで後は夢中で読んで、この
日の学校帰り
「星新一」
って人の書いた本を3冊買って帰ったの。

これが私が自主的に本を読み始めたきっかけ。
そのとき私が読んだ本みたいに、短いお話のことを
「ショートショート」
って言うんだけどね、読むうちに、この人だけがショートショート
を書いてるんじゃないって知って、他のいろいろな人のも読むよう
になったの。
今日ね、昔読んだ本、私はもう読まないから持って来たの。前の棚
に入れとくから、読みたい人は自由に読んでね。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

このコンクールへの応募を同僚の国語教師Mさんへも勧めると、彼
も早速書き始めた。
私は彼に言った。
「二人でワン・ツーフィニッシュだね」

私は心の中で
「『ワン・ツ−』の『ワン』は、私だけどね」
と、つぶやいていた。

<後日談>

ある日、学校に文庫本が100冊、集英社から送られてきた。
Mさんあてだった。
彼は図書担当なので、様々な出版社からダイレクトメール的な書類
手紙が届く。その文庫本にも文書が添えられていたようだが、彼は
それをさっさとゴミ箱に捨ててしまったらしい。
「どうしてMさん宛に届いたのかなあ。同じ学校から二人も出した
からご褒美にくれたのかなあ?」

家に帰った私は、インターネットで集英社を検索し、あのコンクー
ルのページを開いた。
すると、なんと、最優秀、優秀に続く入選の欄に
「○○中学校 M」
彼は入選したんだ!!!!!!!!
そういえば、最優秀、優秀にはオーディオ関係の賞品で、入選者に
はその勤務する学校へ文庫本が贈られると書いてあったことを思い
出した。

翌朝学校に着くとすぐに
「Mさん、あなた入選だったのよ!」
と話した。

彼はあの文章をよく見もせず捨ててしまったことを悔やみながらも
「インターネットで自分の名前を発見した時、思わず涙ぐみました」
と話してくれた。
私が入選できなかったことはちょっと悔しいけれど
「あなたが入選できたのは、私のおかげよ」
と、たっぷり恩を着せながら、私もちょっと涙ぐんでしまった。

<あとがき>
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
次回(5月)もどうぞお楽しみに。

ちょっと自慢。
私の祖父は、3月末で100歳になります。
畑仕事も少ししてます。

******************************
宇宙エッセイスト協会会長 プロフィール

「応募」「コンクール」がマイブーム中にインターネットを検索し
ていて「作文研究会」を知り、作文は素人だが、いつのまにか入会。
そのうえ、調子に乗って書きためたエッセイ集を自費出版。
ここにちゃんとしたプロフィールを書いてもよいのだが、そうする
とエッセイ集が売れなくなるので、書かないようにしている。
つまり私のエッセイ集は長大なプロフィールなのだ。
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※エッセイ集をご希望の方は、第203号をご覧の上、松田善啓あてに
 メールを下さい。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/203.html

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

○次号は、峰本義明さんの登場です。お楽しみに。
○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

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メールマガジン「実践!作文研究」No.216 2004/3/28 読者数2178
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2004 実践!作文研究会
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