メールマガジン「実践!作文研究」
第214号(2004.3.14)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第214号 2004年3月14日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、石川 晋さんの新連載「簡単!中学校作文授業入門」第
1回「再話作文」をお送りします。石川さんの連載は、奇数月第2
週に掲載されますのでお楽しみに。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「簡単!中学校作文授業入門」−−

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簡単!中学校作文授業入門 その1
  「再話作文」〜かさじぞう、へっこきよめ、ゆきむすめ
            広尾町立広尾中学校教諭   石川 晋
                      zvn06113@nifty.com
            http://homepage1.nifty.com/maru-shin/
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1.授業の流れ

┌────────────────────────────┐
|1 原稿用紙配布。                   |
| 『これから昔話を一つ読みます。』           |
| 『聞き終わったら、聞いた話を再話(お話)にします。』 |
| 『メモを取っても構いません。』            |
|2 教師「へっこきよめ」を読む。5分程である。     |
|3 『分量は400字詰め原稿用紙1枚。できるだけ400字|
| に近く書いてください。時間は10分です。』       |
|4 『10分経ちました。鉛筆を置いてください。後ろから集め|
| てきてください。』                  |
|5 机間指導で見つけておいたよい作品を2,3読む。   |
└────────────────────────────┘

 以上が基本的に流れである。これを最初に何度か続けて行い、後
は、週に一回、あるいは月に二回といった具合で行っていく。取り
上げる物語は毎回帰るが、私の場合は後述するような考えがあり、
毎回日本民話を使う。

2.「再話作文」について

 「再話作文」(ナハ・エア・ツェールンク)とは、ドイツの基礎
学校(日本の小4まで)の中で行われている学習方法である。この
手法を日本に紹介したのは、三森ゆりか氏である。つくば言語技術
教室を主宰する三森ゆりか氏は『言語技術教育の体系と指導内容』
(明治図書)の中で、多くの頁を割いてこの手法について説明して
いる。
 かいつまんで説明すると、それは次のような内容と効果とを持っ
ている。

┌────────────────────────────┐
|1 これは本来民話を伝承する中で発達してきた手法。   |
|2 あるテキストの内容を自分の言葉で新たに別の文章形態に|
| 再編成する作業。                   |
|3 原典の基本理念や登場人物、筋の展開、結末などを話者が|
| 勝手に書き換えてはならない。             |
|4 語り方は話者の裁量に任せられる。          |
|5 ナハ・エアツェールンクには速効力はない。      |
|6 月に二回子供達に書かせたとして最低でも三ヶ月、長けれ|
| ば一年近くもかかる。                 |
|7 しかしその効果は絶大である。            |
└────────────────────────────┘

 三森氏は、以上を説明した上で、「方法が短純で、こんなに力が
つく作文訓練の方法は滅多にあるものではない、と私は考えている」
(P117)と述べている。
 私は、「再話作文」に取り組ませる意義を特に次の点に置く。

┌────────────────────────────┐
|1.どの生徒も書ける。                 |
|2.定期的に繰り返し行うことで、決められた時間内に聞き取|
|  った話の用紙をまとめられるようになる。       |
|3.民族の共有する物語を、その基本構造を含めて体得するこ|
|  とができる。                    |
└────────────────────────────┘

 「再話作文」について、三森ゆりか氏は前掲書の中で、様々なジ
ャンルの文章に触れさせる意義を説いておられるが、私は、日本の
昔話に力点を置き、日本の昔話を読み聞かせてそれを「再話」させ
ることで首尾一貫したいと考えている。

3.生徒の作品

 三森氏の指摘の通り、当初書けなかった生徒が確実に書けるよう
になる経過が見える。中学校1年生の3学級とも、初回に10分で
全文を書き切った生徒が5,6名であったが、3回目には3/4に
達する。
 同じ生徒の1回目と3回目の作品を掲載する。2週間に4回取り
組んだ実践である。

┌────────────────────────────┐
| かさじぞう         A子           |
| 昔、貧乏なじさまとばさまがいました。         |
| ある日、じさまが町に年こしのもちを作る米を買いに行く途|
|中、六じぞうが雪をかぶって寒そうにしていました。じさまは|
|町で米を買わず、かさをかぶせて家に帰りました。ばさまはお|
|こりもしないで喜びました。               |
| それからじさまとばさまは米がないので、からのうすを前に|
|もちをつくまねをしました。               |
|「米もちひとうすぺったりこ」ともちをつくまねをして、ねて|
|しまいました。                     |
| その夜の                       |
└────────────────────────────┘

 200字。最後まで書けなかった。

┌────────────────────────────┐
| ゆきむすめ         A子           |
| とんと昔、山の村にふうふが住んでいた。しかし子供が生ま|
|れないまま、じいさまとばあさまになってしまった。    |
| あるふぶきの日、じいさまはわらじを作り、ばあさまは糸と|
|りをしていた。すると戸をたたく音がして、色白の小さな娘が|
|立っていた。じいさまは中に入れて、火をたいた。「こっちへ|
|よれ」と言っても「ここでいい」とそばによらない。あわメシ|
|も「しゃっこくていい」と言う。その日はみんなねてしまっ |
|た。                          |
| 次の日も次の日も娘は泊まっていった。じいさんとばあさん|
|は喜んだ。しかし娘はふろに入ろうとしない。そのうちに黒 |
|く、細くなっていったので、じいさんは心配して無理やりふろ|
|に入れた。ばあさんは歌を歌ってやった。何度も何度も歌って|
|やった。「もういいぞ」といっても出てこない。見にいってみ|
|ると、ゆぶねの中に小さな雪のかたまりと、赤いくしだけがあ|
|った。                         |
└────────────────────────────┘

 367字。10分間で完全に書き切った。ある程度の段落分けも
できている。話の要旨も充分に押さえている。

4.文献

 「再話作文」は、三森ゆりか著『言語技術教育の体系と指導内容』
(明治図書、2107円)に詳しい。
 聖学院小学校の池内清氏と私が、『授業づくりネットワーク』誌
に追試実践を報告している。池内実践は、ドイツの昔話を使ったも
のである。私の主張は前掲の通り、日本では日本の昔話を取り上げ
るべきと考える。
 私が「再話作文」に活用しているのは、日本民話の会編『特選オ
ールカラー版日本の民話全10巻』(世界文化社)。古本屋で手に入
れたが、松谷みよ子氏の関わる「日本民話の会」の精鋭が再話した
ものであり、大変よい文章が多い。長さもどれも10分弱で読み聞か
せることができるので大変よい。ちなみに、日本の民話を子供によ
い文章で伝える仕事を行ってきた代表格が、瀬田貞二氏と松谷氏で
ある。

 なお、本連載原稿は、2004.2.2に札幌市教育文化会館で行われた
第4回累積科学国語科教育研究会「やる気をひきだす作文の授業」
で提案したものの加筆補正である。

【今回の執筆者のプロフィールです】

石川 晋(いしかわ しん)
    北海道・広尾町立広尾中学校教諭
    日本児童文学者協会会員
    学校図書館に人を・・・情報誌「ぱっちわーく」発行同人
    教育サークル「ぱいおにあ」代表
    『授業づくりネットワーク』編集委員

       ◆       ◆       ◆

−−3.研究会やメルマガのCM−−

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|日時:2004年3月27日(土)            |
|場所:成蹊大学(武蔵野市吉祥寺北町)          |
|内容:小論文の書き方(倉島保美氏)           |
|   作文&スピーチの授業づくり(鈴木啓司氏)     |
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       ◆       ◆       ◆

−−4.編集後記−−

○次号は、中村健一氏の登場です。お楽しみに。
○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
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メールマガジン「実践!作文研究」No.214 2004/3/14 読者数2191 
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2004 実践!作文研究会
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