メールマガジン「実践!作文研究」
第212号(2004.2.29)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第212号 2004年2月29日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 第5日曜は上條編集主幹の登場です。今回は「大学生の作文指導」
をお送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

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大学生の作文指導 
                          上條晴夫
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■大学生の書くことへの苦手意識

 3年ほど前から埼玉の大学で講義をさせてもらっている。
 教育学部の学生たちに、将来教師になったときに役に立つだろう
実践的な授業づくりの考え方や技術について演習中心に指導してい
る。
 講義終わりには必ず10分レポートを書いてもらう。

 書き方は特に教えないが、みな熱心に書いてくれる。講義の最初
に、「レポートは質より量です。たくさん書く人がエライです」と
指導する。半期の授業の中で必ず10分ずつ書くと、それなりに書き
慣れてくる。書くスピードもメキメキと速くなる。書き方もだんだ
んうまくなってくる。

 ところが、今回、講義の最後の最後に、ふり返りアンケートをし
たところ、子どものころから書くことが苦手意識だったとする学生、
書くことの上達を実感できずにいるという学生が多いことに驚いた。
この作文に対する苦手意識を解消できたら、大学生はさらに文章が
上達するだろうと考えた。

■大学生の作文シラバスを設計するポイント

 半期ほどの長さの(集中)講義のシラバスを考えてみる。 
 シラバスの設計で一番大きな分かれ道は「卒業論文に向けた指導」
を組み立てるか、「仕事文に向けた指導」を組み立てるのか、であ
る。

 たとえば、教育学部の学生たちに対して、教育論文の書き方も大
事だが、実践記録の書き方を教えるのは、それ以上に大事だろう。
論文づくりを目標にするか、仕事文づくりを目標にするかで、シラ
バスは変わってくる。

 具体的に言うと、段落、言葉選びなどが違ってくる。論文は仕事
文に比べ、段落のかたまりが大きい。段落の規模は、内容の充実と
読みやすさの両方を勘案して決定するが、論文のように内容の充実
を重視すると、それに比例して段落は長くなる。しかし、読みやす
さという点では長すぎる段落は抵抗があって読みにくい。仕事文の
場合、読みやすさがより重視をされる。

 同様に言葉選びも違ってくる。たとえば小論文では、「部活」や
「ケータイ」のような友だち言葉で文章を書くことを原則禁じてい
る。これは、文章が、できるだけ、たくさんの人に長く読んでもら
うことを思想としてもっているからである。友だちの間だけ、その
ときにだけ通用するような言葉では、文章の持つ「長く広く伝える」
の思想とミスマッチを起こしてしまう。

 これが文章の原則である。しかし、いわゆる論文では、言葉の厳
密性を重視するために、専門家集団だけで通じる専門用語を使って、
文章を作成することが期待される。これは一般的な文章規範とは少
しずれる。論文指導の原則で用語選びをしようとすると、仕事文は
逆に読みにくくなってしまう。

 つまりシラバス設計の一番の押さえどころは、学生にどういう文
章の書き方を学ばせるかを考えることである。「卒論」「専門レポ
ート」だけを視野に考えるのではなく、「仕事文」「仕事レポート」
も考える必要がある。

 バランスを考えると、シラバスは以下のようになる。
┌────────────────────────────┐
|前半:一般的な文章原則を学ぶ              |
|後半:専門的な文章原則を学ぶ              |
└────────────────────────────┘
 文章原則の学び方は、口頭で理屈を教え、その理解を確認する演
習問題をすることが一般に考えられるだろう。しかし、学生の作文
上達を本気で考えるのであれば、「活動(書くこと)中心」がよい
だろう。学生たちが作文が苦手だとする理由は、知識不足以上に、
体験不足が大きいからである。
 
■興味・関心別の論文集を作ってみる

 後半の専門的な文章原則を教える場合、プロジェクト学習の発想
に立って、グループごと興味・関心別の論文集を作ってみる、のは
どうだろう。

  この方法がよいのは、自然に学生相互の「支援」活動を引き出す
ことができる点である。単発論文ではなく、興味・関心別論文集を
作ることによって、グループごとの文章の吟味・検討ということが
活性化されるからである。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 上條晴夫(かみじょう はるお)

 授業づくりネットワーク代表、埼玉大学非常勤講師。
 現在、「実践!作文研究会」代表、「ビジネスのための文章表現
養成講座」を実施するほか、企業その他で、文章上達講座を実施す
る。また、「ベネッセコーポレーション」進研ゼミの「作文教材」
(小1〜中3)の監修・協力などをつとめる。
 著書・編著書
 『見たこと作文でふしぎ発見』
 『書けない子をなくす作文指導10のコツ』
 『子どもが熱中する作文指導20のネタ』
        (以上、学事出版 http://www.gakuji.co.jp/
 『楽しく書ける作文・小論文(入門編)』*教材
 『楽しく書ける作文・小論文(基本編)』*教材
          (桐原書店 http://www.kirihara.co.jp/
 『文章を上手につくる技術』
            (あさ出版 http://www.asa21.com/
 ほか多数。

       ◆       ◆       ◆

−−3.研究会等のCM−−

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|          〜31道場〜            |
|サーティワンといってもアイスクリームではありません。  |
|毎日の時間の流れのなか、「あれ?」と気づいたりカンジた |
|「こころ」を31の文字でのこしてみませんか。      |
|むずかしいことはありません。思った事をそのまま。    |
|字足らず、余りOK!どんどんお送りください。      |
|みなさんの「いま。」をおまちしています。        |
|第16回「火星を詠む」結果               |
|    http://www.jugyo.jp/sakubun/tanka31/a-16.html  |
|第17回「春をよぶ」出題                |
|    http://www.jugyo.jp/sakubun/tanka31/q-17.html  |
└────────────────────────────┘
┌────────────────────────────┐
|■授業づくりネットワーク2004春           |
|「学力向上」と「発展的学習」のための授業づくりセミナー |
|                    ワークショップ30|
|日時:2004年3月27日(土)            |
|場所:成蹊大学(武蔵野市吉祥寺北町)          |
|内容:小論文の書き方(倉島保美氏)           |
|   作文&スピーチの授業づくり(鈴木啓司氏)     |
|   ユーモア詩で学級づくり(増田修治氏)       |
|   国語の学習ゲーム(佐内信之氏)          |
|                     などなど。  |
|詳細:http://www.jugyo.jp/yotei/20040327haru.html    |
└────────────────────────────┘

       ◆       ◆       ◆

−−4.編集後記−−

○次号は、松田善啓の登場です。お楽しみに。
○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

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メールマガジン「実践!作文研究」No.212 2004/2/29 読者数2208
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2004 実践!作文研究会
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