メールマガジン「実践!作文研究」
第210号(2004.2.15)


学力問題としての作文教育を考える
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 メールマガジン「実践!作文研究」
 第210号 2004年2月15日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、今宮信吾さんの新連載「「児童詩の書かせ方」コツ・ネ
タ」第1回をお送りします。児童詩を指導しようとしている方もさ
ることながら、これから詩を書いてみようという方にも大切な連載
となっていくことでしょう。偶数月第3週に掲載しますので、お楽
しみに。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−2.連載「「児童詩の書かせ方」コツ・ネタ」−
                       兵庫県・小学校
                          今宮信吾

まず連載の6回分の予定を書きます。
┌────────────────────────────┐
|第1回「詩を書かせる意味と初めての指導」        |
|第2回「行の切り方」                  |
|第3回「題名のつけ方」                 |
|第4回「対話詩で聞く力を」               |
|第5回「推敲学習のすすめ」               |
|第6回「自分の作品にコメントを書く」          |
└────────────────────────────┘
で考えています。おそらく進めていく中で変更してしまうでしょう。

============================================================

     第1回「詩を書かせる意味と初めての指導」
============================================================

◎なぜ詩なのか

 作文ではなく、なぜ子どもたちに詩を書かせるのか。その答えは
明確である。「読みやすい」「楽しい」「子どもらしさ」の3点。

 これを少し教育的意味に解釈し直してみると、「読みやすい」は、
感じたことを端的に表現できるという表現の簡潔さであり、「楽し
い」「子どもらしさ」は、発見的な生活をしなければ詩が書けない
こと、詩では、今まで誰も思いついていない、新鮮な表現が求めら
れることである。

◎ まずはことば集めから

 作文(散文)指導と児童詩の指導との大きな違いは、学校におけ
る認知度の低さである。最近でこそ「詩人の詩を読む」という活動
は盛んに行われるが、「詩を書く」ということは一部の物好きな教
師の指導であったことは、事実である。したがって、4年生であっ
ても、詩を書くという点に関しては常に「入門期」なのである。子
どもたちは何を書けばいいのかということから、始めていかなけれ
ばいけない。

 そこで、「何を書くのか」をどのように子どもたちに知らせてい
くのか。私は二つの言葉集めから迫っていこうとしている。
┌────────────────────────────┐
|1 「言葉貯金ノート」による子ども自身の言葉集め    |
|2 メモ、録音による教師の言葉集め(言葉ひろい)    |
└────────────────────────────┘

1 「言葉貯金ノート」

 お店で売っている一番小さなメモ帳を子どもたちに手渡す。ポケ
ットに入るサイズのものがいい。そして子どもたちには、「この言
葉しらない」「おもしろい言葉だな」と思ったことを書き留めてお
きましょう、と語り、1週間集めて来させる。そして、次の週の月
曜日に「言葉の発見ベスト○○」として、発表会を設定する。それ
を1ヶ月くりかえすとかなりの数の言葉が集まる。

 その時点で、「みんなが見つけた言葉を手がかりにして、短い文
5行で書こう。」(この時点では、詩という言葉は使わない)と言
って、白紙を渡す。何を書いていいのかという子どもには、「いつ」
「どこで」「何を」「なぜ」に気をつけて書こうと話す。この「言
葉貯金ノート」は子どもたちのネタ帳として、継続して持たせる。

(事例)

 言葉貯金ノートに「しもやけ」と書いた子に対して
「どうしてしもやけという言葉がおもしろいと思ったの。」
「私のしもやけは、春になったら直るから」
「しもやけがなおったら春になるの」
「うん」
「じゃあそれをそのまま書いてごらん」
┌────────────────────────────┐
|   しもやけ                     |
|                  1年 女子           |
|先生                          |
|私の足の                        |
|しもやけがなおったよ                  |
|だから                         |
|もうすぐ                        |
|はるだよ                        |
└────────────────────────────┘

2「言葉ひろい」

 話し言葉を書き言葉にしていくことをねらいとしている。子ども
たちは日常的に詩的な言葉を口ずさむ。しかし、それは多くの場合
その場限りの音声として消えていく。それを教師が書き留めて、
「こんなおもしろい言葉を話しているよ。」と言ってメモ書きを手
渡してやる。例えば、「せんせい、つゆって春と夏のトンネルやな」
とつぶやいた子どもに、「ひらがなの練習」と言って、清書させる。
それを学級通信に載せて、「詩とはこんなことです。」と紹介する。
メモ書きを貯めておいて、「先生書くことないわ」と言ってきた子
どもにそっと手渡してやる。「詩とは何か」を言葉で説明しても子
どもたちには分からない。具体例で伝えていくしか方法はない。時
に、休み時間の会話を録音して聴かせることもある。「こんなおも
しろい言葉を言ってるよ。これが詩なんだよ。」ということを子ど
もたちに伝えていく。昆虫採集をするように、子どもたちの言葉を
採集するのが入門期の教師の役割である。

◎ これだけは、常に心がけて

 子どもたちの詩を読む時に、次の3点だけは、いつも心に留めて
おきたい。
┌────────────────────────────┐
|1 比喩表現としての有効性               |
|2 省略の文学としての簡潔性              |
|3 言葉の発明としての新鮮さ              |
└────────────────────────────┘
 詩人の竹中郁は、「飾らず」「正直に」「短く」ということを詩
を書くときの心得として、大阪の「こども詩の会」(雑誌「きりん」
の母体となったもの。現在も、会は月1回定期的に開催)で、子ど
もたちに語っていた。

 子どもたちの書いてきた文章を読む時に、「この詩の中心は何か
な」と考えて、コメントを返してやりたい。このことについては、
第5回の「推敲学習」のところでくわしく述べる。

【今回の執筆者のプロフィールです】

今宮信吾(いまみや しんご)

神戸大学発達科学部附属住吉小学校勤務
1964年 兵庫県神戸市生まれ
兵庫教育大学学校教育学部卒業
同上 学校教育研究科終了予定(2004年3月)
国語教育探求の会、全国大学国語教育学会、日本国語教育学会
日本作文の会、臨床国語教育研究会 など会員
著書 
子どもといっしょに読みたい子どもの詩
「こころの展覧会」 桐書房
共著
「子どもとひらく国語科学習材」作文編 明治図書
「教科と総合の調和 教師の支援のポイントはこれだ!」明治図書
「音読・朗読・群読の指導ハンドブック」 あゆみ出版
「音読・群読・ことばあそびハンドブック」 あゆみ出版
「日本の教師」15 教師として私を変えたもの ぎょうせい
「小学校1年生の大研究」 子どもの未来社
「小学校3年生の大研究」 子どもの未来社
「小学校5年生の大研究」 子どもの未来社
                           など

       ◆       ◆       ◆

−−3.研究会CM−−

┌────────────────────────────┐
|「実践!作文研究会」                  |
|  〜21世紀教育の基礎となる作文教育の活性化を目指す〜  |
|          只今会員募集中!          |
|  HPも見てね http://www.jugyo.jp/sakubun/jsk/   |
└────────────────────────────┘
┌────────────────────────────┐
|第1回累積科学国語科教育研究大会「さっぽろ夏の陣」   |
|        〜基礎学力を保障する新国語科の授業改革〜|
|日時:2004年7月29日(木)            |
|場所:札幌市教育文化会館                |
|講師:阿部 昇氏・宇佐美寛氏・大内善一氏・小森 茂氏・ |
|   高橋俊三氏・鶴田清司氏・野口芳宏氏        |
|詳細:http://homepage2.nifty.com/higemaru/ruiseki1.htm |
└────────────────────────────┘
┌────────────────────────────┐
|第7回累積科学国語科教育研究会in札幌          |
| やる気をひきだす作文の授業              |
|          〜どの子も書ける作文指導の在り方〜 |
|日時:2004年10月30日(土)           |
|場所:札幌市教育文化会館                |
|講師:大内善一氏・鹿内信善氏              |
|詳細:http://homepage2.nifty.com/higemaru/ruiseki7.htm |
└────────────────────────────┘

       ◆       ◆       ◆

−−4.編集後記−−

○次号は、堀 裕嗣氏の<やる気をひきだす看図作文の指導>第1
 回をお送りします。お楽しみに。
○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。ぜひ本誌
 をお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌はインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を利用してします。
 http://www.mag2.com/

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
メールマガジン「実践!作文研究」No.210 2004/2/15 読者数2189 
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2004 実践!作文研究会
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「「児童詩の書かせ方」コツ・ネタ      
「第210号の感想」を書く 戻  る トップページへ

メールマガジンのご案内へ