メールマガジン「実践!作文研究」
第193号(2003.10.19)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第193号 2003年10月19日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、石川晋さんの連載「文学を使って作文をしよう」の第4
回をお送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「文学を使って作文をしよう」−−

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文学を使って作文をしよう
     第4回 ドラマを使って、モンタージュ作文
             広尾町立広尾中学校教諭  石川 晋
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 今回は「文学を使って」行う作文ではなく、「文学を作る」授業
である。と言っても、ただ「物語」や「詩」を書くのではない。
「カメラワーク」や「モンタージュ」などの「映像の文法」を教え
る中で、映像を使って「物語」を作る試みである。

 メディアリテラシー学習が注目を集めるようになった。特に国語
科でメディアリテラシーを教えることへの関心が高まっており、数
冊の書籍も刊行されている。国語科でメディアリテラシーを教える
中で、従来の文章ではなく映像を扱う方法が模索されており、これ
もいくつかの成果を生んでいる。中でも中村純子氏がご自身に手に
よる総務省委託の研究論文の中や、井上尚美・中村敦雄編『メディ
ア・リテラシーを育てる国語の授業』(明治図書)の中で提案され
ている「絵コンテ」を用いて「カメラワーク」「モンタージュ」を
指導する方法は、大変生徒にわかりやすく、教師も取り組みやすい。

【授業の流れ】

 ドラマの一部分(二つないし三つのシーンが組み合わさっている
程度の長さ)を用意し、生徒に音声なしで見せる。本時では、FN
N系列昼のドラマ「はるちゃん6」の第21話を利用した。昼のド
ラマは高度な映像表現などが使われていないので、扱いやすい。
 次いで、「絵コンテ」を使って、生徒に「カメラワーク」「モン
タージュ」の基本を教える。
 ドラマ(無音)をコマ送りで見せながら、「カメラワーク」や
「モンタージュ」の基本を確認していく。
 最後に、ドラマのストーリーを作らせる。
 書き出しにくい生徒も多いので、最初の部分だけ書き出しを与え
た。
 書き出しは「はるちゃんがバケツを持って廊下を歩いてくると、」
である。書く時間は10分。量は問わない。

 おおよそ、「カメラワーク」や映像の組み合わせで、実際のストー
リーと当たらずとも遠からずの作文が出来上がった。目的は音声が
なくてもカットをよく見て、シーンのつながりを見ていけば、ストー
リーを類推できるということを知ることなので、これで十分である。
後は多少飛躍のあるストーリーの方がおもしろい。
 実際の話は、次のようなものである。

┌────────────────────────────┐
|旅館のおかみさんの部屋の前を通りかかったはるちゃん(仲居|
|さん)が、部屋から聞こえてくる口論(おかみさんと支配人。|
|支配人は実はおかみさんの息子)に気づき思わず立ち止まって|
|しまう。支配人がおかみさんが取った従業員二人への態度につ|
|いて、夢をあきらめて支配人をしている自分の現状に重ね合わ|
|せながら抗議をしている。やがて怒って出てきた支配人がはる|
|ちゃんに鉢合わせし「盗み聞きか」という一言を残して出て行|
|く。そのまま追いかけようとするはるちゃんをおかみさんが止|
|めた。おかみさんも部屋を出て行くがその後をはるちゃんは追|
|っていく。フロント横で、「なぜおかみさんの気持ちを支配人|
|はわかろうとしないのだろう」と嘆くはるちゃん。おかみさん|
|は「全部わかっているからこそ、ああいう言い方をするのよ」|
|という趣旨のことを言い、当惑顔のはるちゃんを残して奥の部|
|屋へ引っ込んでしまう。                 |
└────────────────────────────┘

【生徒の作品】

  Sくん
┌────────────────────────────┐
| はるちゃんがバケツを持って廊下を歩いてくると、話し声が|
|聞こえたので、その方を見ると、おかみさんと息子の支配人 |
|が、はるちゃんのことについて話し合っています。     |
| 息子「はるちゃんクビにしてよ!」           |
| おかみさん「いいえ、駄目です」            |
| そして息子が歩いてきて「ぬすみぎきはしないでくれ」と |
|いってどこかにいってしまいました。           |
| するとおかみさんが出てきてはるちゃんとロビー横のところ|
|まで歩いてきて                     |
| はるちゃん「支配人、私のことよく思っていないみたいです|
|       ね」                   |
| おかみさん「わからないわ」              |
|と言っておかみさんはどこかにいってしまいました。    |
└────────────────────────────┘
 「ぬすみぎきはしないでくれ」という辺りはドンぴしゃり。

 Hさん
┌────────────────────────────┐
| はるちゃんがバケツを持って廊下を歩いてくると、話し声が|
|聞こえて、横を見る。                  |
| そしておかみさんと支配人の話を聞いている。      |
| 少ししてから、支配人が怒って行ってしまう。      |
| はるちゃんが止めるけれど、支配人はそのまま行ってしま |
|う。                          |
| 追いかけようとするけれど、おかみさんに止められる。  |
| 角の所まで話をしていたけれど、行ってしまう。     |
| はるちゃんが、どうしようと思って困っている。     |
└────────────────────────────┘
 「話し声が聞こえて、横を見る」という辺りは、映像のつながり
だけで、よく物語を類推している。「追いかけようとする」はる
ちゃんが「おかみさんに止められる」というところも、おかみさん
のカットとはるちゃんのアップショットのつなぎに注目した結果で
ある。

 最後に、もちろん音入りでこの場面の映像を見せる。生徒からは
笑い声や納得の表情。

【今回の執筆者のプロフィールです】

石川 晋(いしかわ しん)
    北海道・広尾町立広尾中学校教諭
    日本児童文学者協会会員
    学校図書館に人を・・・情報誌「ぱっちわーく」発行同人
    教育サークル「ぱいおにあ」代表
    『授業づくりネットワーク』編集委員

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。
 本誌は2000年創刊なので、1つめの条件はクリアしています。
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○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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(C) 2000,2003 実践!作文研究会
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