メールマガジン「実践!作文研究」
第191号(2003.10.5)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第191号 2003年10月5日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、佐内信之さんの「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」
をお送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆


−−2.連載「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

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国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ 第8回

   四百字綴方─規模を意識して書く─
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■連載について

 国分一太郎は「全国の綴方教育を実践する教師の先導的指導者」
として知られた人物である。代表作『新しい綴方教室』(日本評論
社 一九五一年二月)は「多くの教師に感動を与え、綴方教育に意
欲を持たせる」ものであった。

 戦後は理論家としての活動が多かった国分一太郎も、戦前は実践
家として全国的に活躍していた。山形の小学校教師時代に作成した
文集「もんぺ」「もんぺの弟」は「綴方教育を志す多くの教師たち
に、多大の影響を与える」ほど評価の高かったものである。

 このような「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」べきものは何
か? この連載を通して、綴り方教育の過去の遺産から、現在の作
文教育に生かせるものを探っていきたい。

(国語教育研究所編『国語教育研究大辞典』明治図書 一九八八年
 三四四ページ)

■「くはしくかく」と「四百字綴方」─「もんぺの弟」より─

 現在の作文でも「くわしく書きましょう」と指導する機会は多い
だろう。国分一太郎が作成した文集にも、何ページにもわたる作品
が数多く掲載されている。

 たとえば、国分が小学四年生のために作った文集「もんぺの弟」
第五号(一九三五年一一月一五日発行)に「ガス鉄砲」という作品
が載っている。(二五〜二六ページ)七六〇字と比較的短い作品だ
が、国分は「コレデヨイカ?」「『くはしくかく』と言ふのは?」
という言葉を添える。そして、「くはしく書く」という「そのわけ
と」「その方法と」を、続きのページの中で丁寧に解説しているの
である。(二七ページ)

 ところが、「くはしくかく」とともに「四百字綴方」という項目
も目次に見える。今回は「くはしく」に相反すると思われる「四百
字綴方」の実際を見てみよう。

■実際の作品─「豆名月」─

┌────────────────────────────┐
│雲にかくれたお月さまがすぐ出た。私が豆をもつてそつとあけ│
│ると、お月さまはぱつとあかりを出した。くたそうにあちらこ│
│つちをみてゐる。私は豆をもつてそらけるといつて、手をはな│
│したら豆はそこらにおちた。お月さまはくもにかくれて別の方│
│にいつてしまつた。私は目をはなさず、向をみてをつた。そば│
│にゐたべこ(牛)が、がたら/\とする。豆のからを「そら │
│豆」といつて、牛にかせると、めーとないた。あまりかせたの│
│で、おれの手に口を出した。豆からいきふはり/\と出てゐ │
│る。お月樣はあちら、こちら光らせながらゐる。      │
│(文集「もんぺの弟」第五号 五七〜五八ページ)     │
└────────────────────────────┘
 約二五〇字の作品である。この他、月に豆を供える一一編の作品
が掲載されている。全体の平均は約三二〇字である。冒頭に添えら
れた副題「かみいちまいのつかひくら」から判断すると、「四百字
綴方」とは原稿用紙一枚以内という条件で書いたものと思われる。

■字数の提案─『新しい綴方教室』より─

 このような自らの実践を踏まえながら、国分は戦後『新しい綴方
教室』を書いた。その中で「すっきりした文をかかせるため」には
「かぎられた字数でかく文章になれさせる」として、次のように述
べている。
┌────────────────────────────┐
│ 実際の生活や学習活動のなかにはこうした文章をかく必要も│
│生じてくる。二〇〇字とか三〇〇字で、「このあいだ、この学│
│級におこった暴力事件をまとめよう」とか「あなたのうちで │
│は、税金をどうしたかかきなさい」といってかかせるのだ。 │
│(同前書 三一八〜三一九ページ)            │
└────────────────────────────┘
 このような文章を書く機会として「学級しんぶん」「カベ新聞」
「時間をかぎられてやる発表会の原稿」「子どもたちがつくる回覧
雑誌の原稿」などを挙げている。つまり、新聞や原稿のように、字
数制限のある文章にも慣れさせる必要性を訴えているのである。

■藤原与一の場合─二百字限定作文─

 藤原与一は『国語教育の技術と精神』(新光閣書店 一九六五年
七月)で「短作文教育」を提唱している。「なんとなく、作文はか
なり長いものを書くべきもの、書かせるもの」という従来の通念を
破るために、「『書くこと』の小作業・小課題の教育」を訴えたの
である。(同前書 一〇六〜一〇八ページ)

 短作文教育の具体例に「二百字限定作文」がある。「テン・マル
をも含めて、字数一定の(さしひきなしの、その数きっかりの)作
文」である。漠然と「何百字以内」と要求するのではなく、「以上
も以下もいけない。かならずこの字数に」と制限する。すると、子
どもたちは自然に「推敲」「構想」「句読点」などを意識するとい
うのである。(同前書 一二〇〜一二二ページ)

 このような藤原の提案を踏まえて『二百字限定作文で作文技術の
トレーニング』(村野聡 明治図書 一九九六年九月)という実践
報告も行われている。字数(規模)を意識した作文指導についても
考えていく必要があるだろう。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭(茨城大学大学院に在学中)
 所属団体:授業づくりネットワーク
      全国教室ディベート連盟
      学習ゲーム研究会など
 主な著書:『ワークショップ型総合学習の授業事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      以上学事出版
      『5分間でできる学習遊びベスト50』(共著)
      たんぽぽ出版

       ◆       ◆       ◆

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ぜひ実践!作文研究会へどうぞ。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/mitasaku/03aki/

−−4.編集後記−−

○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。
 本誌は2000年創刊なので、1つめの条件はクリアしています。
 ぜひお知り合いにおすすめください。
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 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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(C) 2000,2003 実践!作文研究会
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