メールマガジン「実践!作文研究」
第19号(2000.6.4)


論理的思考を鍛える「さくぶん情報誌」
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第19号 2000年6月4日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 こんにちは。『実践!作文研究』第19号をお届けします。まず
お詫びです。今週号で執筆予定だった池内清さんがご病気のため、
「作文キーワード事典」は休載させていただきます。池内さんの連
載を楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、また元
気になって戻ってこられると思いますので、今後の登場にご期待く
ださい。今週号は、私の実践記録をお届けします。

−−2.「メール作文」を書こう−−

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■「メール作文」を書こう!
                    小学校教諭 松田善啓
〔『授業づくりネットワーク』2000年2月号に掲載のものを加筆修正〕
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1 拓ちゃんについて

 この実践に登場するのは、私の学校の「やまびこ学級」にいる拓
ちゃんである。実践当時、小学6年生の男の子。1998年度まで
一学年上の女の子・みったんが一緒だったのだが、みったんが3月
に卒業して中学校に進学したため、拓ちゃん一人で1999年度の
スタートを切った。普段の授業は私とマンツーマンで行っているが、
学校行事や委員会活動等の他、交流学級での授業や町内の学級同士
の交流会などにも積極的に参加する元気な子である。前から、みっ
たんにお手紙を書こうと言っていたのだが、なかなか実現しなかっ
た。しかしようやく「メール作文」として実現することができた。

2 メール作文とは?

 ところで私はインターネット上で、授業づくりネットワークHP
群の一つである「実践!作文研究」を運営している。作文指導の情
報交流を行うページで昨年5月に開設された。Yahooで「今週
のオススメ」に紹介されたこともあり、順調にアクセス数を伸ばし
ている。6月3日現在のアクセス数は14700である。
 このホームページの「作文指導・アイデアブック」というコーナ
ーの中に「メール作文」が紹介されている。ホームページの主幹で
ある本誌編集代表、上條晴夫氏の提案だ。その提案によると「メー
ル作文」は石田佐久馬氏による「手紙作文」実践の改訂版である。
 これが楽しそうだったので、みったんへのお手紙を拓ちゃんが書
くときに実践することにした。

・「メール作文」
 http://www.jugyo.jp/sakubun/info/idea/mail.html


3 実践!お手紙を書こう。

 ある日の「やまびこ」での授業。
 この時間にお手紙を書くことを告げた。
『今日、みったんにお手紙を書こうよ』
 前からお手紙を書く意欲はあったので、やる気十分である。
 話し合って、どんなことを書くかを決めた。
 次のように、話し合った結果を板書した。
┌────────────────────────────┐
│誰に…みったん                     │
│どんなことを書くか…                  │
│○みったんに会ったら英語を教えてほしい。        |
│○先週拓ちゃんが入院したこと。             │
└────────────────────────────┘
『今日書くお手紙には、いくつか約束があります。』
「えっ?何?」
 私は、次の五点を板書して説明した。
┌────────────────────────────┐
│1.1行目上段に相手の名前を書く。           │
│2.2行目に「題名」を書かせる。            │
│3.書き方のなかみは次のどちらか。           │
│ ・一番言いたいことを先に書く。            │
│ ・相手が知りたいと思うことを先に書く。        |
│4.書き方の方法は次の3つ。              │
│ ・話し言葉に近いやさしい言葉を使って         │
│  書く。                       │
│ ・描写表現をたくさん使う。              │
│ ・「なぜかというと」という言葉をなるべくたくさん使う。│
│5.時間は20分間(延長は認める)。          │
└────────────────────────────┘
 書き始める前に、40字、60字、80字、百120字、140
字、200字、240字、320字、400字と、様々な字数の原
稿用紙を拓ちゃんの前に店開きした。
 自分が書けそうな字数にあった原稿用紙を、自分で選ばせたいと
考え、上條氏の著書にあった「システム原稿用紙」を使用したので
ある。
『さあ、好きなの選んでいいよ』
 拓ちゃんは二百字詰の作文用紙を選んだ。
 途中途中でアドバイスを聞きながら書いていった。
 こうして出来上がった手紙が次のものだ。
┌────────────────────────────┐
│美里様                         │
│ 美ったんに会ったらの巻                │
│ 美ったん、こんにちは。                │
│ どうですか勉強は。                  │
│ むずかしいところもあるけど、がんばっているね。    │
│ 英語もたくさん覚えているかい。            │
│ 僕もがんばっているよ。                │
│ 国語は「きつねの窓」をやっています。         │
│ 算数は「分数」をやっています。            │
│ 今後12月1日に上小で、学習発表会がありますよ。   |
│ その時に、会えるよ。                 │
│ 美ったんはどんな発表するのかな。           │
│ 僕たち歌と楽器をするよ。               │
│ もし美ったんに会ったら英語を教えてもらいたいです。  │
│ どうしてかというと、教えてもらえれば外国人と話すことが|
|できるからです。                    │
│ 英語を覚えたら美ったんとお話したいな。        |
│ 話は変わるけど、10日に入院しました。        │
│ どうしてかというと、熱があって、せきもして、ひどかった|
|からです。                       │
│ 3日間入院しました。                 │
│ 松田先生が2回来てくれました。            │
│ 3日目に点滴を外しました。              │
│ 4日目に退院をしました。               │
│ 美ったんもかぜに気をつけてね。            │
│ もう少しで冬になって、寒くなりますね。        |
│ これからもかぜに負けるなよ。             |
│ さようなら。                     │
│ 勉強がんばってね。                  │
│                    11月18日  │
│                          拓也│
│ 美里様                        │
└────────────────────────────┘

4 お返事が来たよ!

 約2週間後、みったんからお返事が届いた。
みったんの担任の先生も、上條氏の「メール作文」の指導法を参考
にして指導してくださったとのことで、ご協力をいただき感謝に堪
えない。
┌────────────────────────────┐
│ 拓也様                        │
│ 手紙どうもありがとう。うれしかったよ。        |
│ 私は最高に元気だよ。                 │
│ 拓ちゃんはがんばりやだね。              │
│ どうしてかというと、小学校五年の時、がんばり屋だったか|
|らだよ。                        │
│ あさってだね。学習発表会。              │
│ ドキドキしてきたよ。                 │
│ 私は先生と2人で、ジングルベルとサンタが街にやってくる|
|をやるよ。楽しみにしててね。              │
│ 英語ぜひおしえるからね。               │
│ 私も外国人と英語で話したいな。            │
│ きっとおぼえられそうだと思うよ。           │
│ 拓ちゃんは10日に入院したのか。           │
| お母さんも入院したんだよ。              │
│ せきとねつがあったんだ。かわいそうに。        |
│ 3日間入院したんだ。                 │
│ 松田先生がお見まいに来てくれたんだ。         │
│ 点滴いたくなかった?                 │
│ 13日に退院したんだって、お母さんから、聞いたよ。  │
│ 拓ちゃんもかぜには気をつけてね。           │
│ なんか今日、ぬれ雪みたいだよ。さむそうな感じもしたよ。|
│ だいじょうぶ、私はかぜに負けないから。        |
│ 委員会、クラブ、がんばってね。            │
│                    11月30日  │
│                          美里│
│ 拓也様                        │
└────────────────────────────┘
 往信、返信とも、お互いの相手の気持ちを思いやったいい手紙に
なったと思う。皆さんも実践してみては。

5 伝言板

1. HP「実践!作文研究」のURLはこのマガジンの一番下に。
2. 「手紙作文」の石田佐久馬氏の原実践についての詳細は、石田
  佐久馬著『新しい作文指導のアイデア〜「手紙作文を中心とし
  て」〜』(東洋館出版)を参照のこと。
3. 実践で使用した「システム原稿用紙」は、上條晴夫編著『学習
  探検カード』(民衆社)に収録されている。

〔後日談〕
 その後、拓ちゃんは中学校に入学し、中学校のパソコンを使って
私にEメールを送ってくれるようになった。「メール作文」が「E
メール作文」に進化した!

【執筆者のプロフィール】
 松田善啓(まつだ よしひろ)
 小学校教諭。月刊雑誌『授業づくりネットワーク』編集委員。
 現在、当メールマガジン「実践!作文研究」で編集長を担当。
 「松田善啓 教育実践のページ」
  http://www.geocities.co.jp/NeverLand/3804/

         ◆     ◆     ◆

−−3.編集後記−−

 次号(No.20)は、佐内信之さんの「名人の作文授業を追試する」
をお届けします。お楽しみに!

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メールマガジン「実践!作文研究」No.19 2000/6/4 読者数939
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
まぐまぐID:0000023841
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究 2000
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