メールマガジン「実践!作文研究」
第188号(2003.9.14)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第188号 2003年9月14日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は木越憲輝さんの連載「算数科や社会科の授業での作文的方
法」の第4回です。「算数授業レポート」についてお送りします。
 みなさんからのご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「算数科や社会科の授業での作文的方法」−−
                        東京・小学校
                          木越憲輝

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算数科の授業での作文的方法
        算数授業レポート(1)
                聖学院小学校  木越 憲輝
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■算数授業レポートとは

 「授業中に学んだこと」や「分かったこと」を書き、最後に簡単
な感想を入れる。授業感想文の一種である。 
「学んだこと」や「分かったこと」を3つ選び出し、図やイラスト
を交えながら、授業を振り返って書いていく。規模は400字以内

■算数授業レポートの指導例

(1)授業感想から始める

 小学校5年生である。
 授業時間終了5分前に授業をやめて、感想用紙を配布する。
┌────────────────────────────┐
│ 今の授業について、次のことからいくつか選んで書いてみま│
│しょう。                        │
│(1)学んだ事(2)分かった事(3)分からなかった事  │
│(4)気づいた事(5)疑問に思った事(6)質問     │
└────────────────────────────┘
5分ぐらいで書かせる。書き終えられなかった児童は、次の日の朝
までに出すように伝える。
 感想用紙に書かれた感想には、1枚1枚短いコメントをつけて
返却する。また、質問には、みんなの前で答えるようにする。
 授業感想を書かせる活動は、慣れるまで3回続けた。

(2)授業レポートの書き方を教える

 次に限定して書かせることにした。
 授業時間終了5分前に、授業レポート用紙を配布する。
┌────────────────────────────┐
│ 今日の算数の授業で、「学んだこと」や「分かったこと」は│
│3つあります。                     │
│ 1つめは、                      │
└────────────────────────────┘
『今日の授業について、次のような書き方で書いてみましょう。
 必ず「学んだこと」や「分かったこと」を3つ見つけましょう』
 用紙を配布された児童は、「えー」という反応。
 字数の規模は、400字程度を想定した用紙だった。前回までは
200字程度だったので、書くスペースが2倍になったのが一因。
『とにかく今日の授業から必ず3つ選び取りましょう。』
3つに限定することで、授業を細分化して、振り返ることができる。
「3つもない」と言う児童がいたので、「今日はね。まず○ページ
の問題の答え方を学んだね。次に・・・」と話していった。すると、
なんとか鉛筆を動かし始めた。

(3)授業レポートの内容を検討する

 次の算数の時間の最初に、前回書いた授業レポートを二人分を
名前を伏せて、紹介する。
 一人目は、図をいっぱい書いていた。
『昨日、字数が多いと言っている人がいたけれど・・・
 算数は、文の代わりに、図を書いた方がよく分かることが多い。
 昨日の授業が、これを見るだけでもよく分かるからいいね。』
 二人目は、式をいっぱい書いていた。
┌────────────────────────────┐
│(前略)                        │
│ 1つめは、102ページの4の問題です。        │
│私は、最初14×9÷2=63という式で答えを求めました。│
│そして、だんだんその形を見ているうちに、他の求め方も頭に│
│うかんできました。その式は、              │
│6×12÷2=36  8×12÷2=48        │
│14×3÷2=21  36+48−21=63      │
│そして、他の友達の式は、                │
│14×12÷2=84                  │
│84−(3×8÷2+3×6÷2)=63         │
│という式です。すごく細かい求め方をしたり、簡単に求めたり│
│できることが分かりました。               │
│ 2つめは、・・・ 3つめは・・・           │
│(後略)                        │
└────────────────────────────┘
『友達の書いた式と自分で考えた式がしっかり書けていますね。
 式を書くと、授業でどんなことを学んだのかが分かりやすくなり
 ます。黒板に書いてあることも写していくと、活用できますね』
 このように、書き方の良い点ほめながら、授業で「学んだこと」
「分かったこと」の書き方について指導していった。
 次回は、レポートの最後の部分の書き方について考えたい。
 
■考察
「算数授業レポート」を始めて気づいたことを以下に4点挙げる。
(1)算数の授業で子どもたちがどう理解したのかを把握するのに
   非常に役立つ。特に算数を苦手とする児童の文章に注目し、
   誤解や間違った解釈をしている場合は、次の時間の授業に活
   かすことできる。
   ティームティーチング、習熟度別学習、個別課題学習などと
   並んで、算数の苦手な子に、有効な方法だ。
(2)一時間の授業を、ぼうっと終わることがなくなる。振り返り
   活動を行うことによって、子ども自身が何を理解し、何を理
   解していないのかを言葉で確認することができる。
   また、その言葉から、児童は、教師の言葉をどう受け取った
   のかを見直すことができる。
(3)子どもたちが何を学びたいのか知ることができる。
   また児童から、算数に関する質問が多くなる。
(4)今回、「算数授業レポート」と名付けたが、インターネット
   上で紹介されているものには「算数日記」として、児童が文
   章に書いて、授業の振り返りをしている取り組みは多い。
   しかし、書き方の指導や指示の仕方についての情報が少ない
   今後、情報交換できる時があると嬉しい。

■参照文献
http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/126.html
 メールマガジン「実践!作文研究」2002.7.7.発行126号
 「実践!授業感想文(3)」 

http://www.shiga-ec.ed.jp/kenkyu/h14kiyou/sansuusugaku.pdf
 小学校では、子どもが1時間に学習内容や学習状況を自ら振り返
る記述形式の自己評価(算数日記)を取り入れる。毎時間授業の終
わりに記入することで、学習を振り返り、次時の学習へとつなげる
ことができる有効な方法である。

http://www.ikeda-e.oku.ed.jp/math2/teacher/research/page/report.htm
『「算数的活動」の誕生の精神と授業改善のポイントを探る』
「算数日記による自己評価活動」
・・・(前略)・・ポートフォリオの精神を板書に求めた。板書に
は,児童の解決した図絵や式,答えに留まらず,授業の過程に表れ
たつぶやき,指導者の評価,児童の相互評価も適時,表記する。
児童は,授業を振り返る場面で,VTR を操作するように板書から、
印象的な授業場面へ立ち返り(フィードバック)自分なり成長をと
らえる自己評価活動「算数日記」を書いていく。・・・(後略)

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。
 本誌は2000年創刊なので、1つめの条件はクリアしています。
 ぜひお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
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メールマガジン「実践!作文研究」No.188 2003/9/14 読者数2192
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2003 実践!作文研究会
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