メールマガジン「実践!作文研究」
第187号(2003.9.7)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第187号 2003年9月7日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、佐内信之さんの「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」
をお送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

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国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ 第7回

   「三つある式」練習法─調べる綴り方その後─
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■連載について

 国分一太郎は「全国の綴方教育を実践する教師の先導的指導者」
として知られた人物である。代表作『新しい綴方教室』(日本評論
社 一九五一年二月)は「多くの教師に感動を与え、綴方教育に意
欲を持たせる」ものであった。

 戦後は理論家としての活動が多かった国分一太郎も、戦前は実践
家として全国的に活躍していた。山形の小学校教師時代に作成した
文集「もんぺ」「もんぺの弟」は「綴方教育を志す多くの教師たち
に、多大の影響を与える」ほど評価の高かったものである。

 このような「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」べきものは何
か? この連載を通して、綴り方教育の過去の遺産から、現在の作
文教育に生かせるものを探っていきたい。

(国語教育研究所編『国語教育研究大辞典』明治図書 一九八八年
 三四四ページ)

■前回の要旨─構成を立てて書く─

 昭和戦前期に流行した「調べる綴り方」実践に取り組む過程で、
国分は「番号をつけて」書く方法を編み出した。しかし、子どもの
作品が「羅列的」になる構成上の問題は解決できなかった。

 「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ 第6回
   構成を立てて書く─調べる綴り方3─」
  http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/182.html

■戦前の反省─『新しい綴方教室』より─

 戦後まもなく出版された『新しい綴方教室』は、戦前に盛んだっ
た生活綴り方運動の復興をめざしたものである。その中で国分は、
「すっきりした文をかかせるため」には「箇条書か、数節にわけて
文をかくことにもなれさせよう」として、次のように述べている。
┌────────────────────────────┐
│ これも、実用的な文章や科学的な文章には、必要だろう。そ│
│して、子どものばあいも、こういう技術を用いさせると、文章│
│にまとまりやしまりのつくばあいがなかなか多い。1234の│
│番号をつけてかいたり、長い文章を、一、二、三とわけてかい│
│たり、そのそれぞれの部分に、「小さいみだしをつけてかいた│
│りすることは、このごろの子どもの文章にも、よくみうけられ│
│だした。むかし、「調べる綴方」がはやったときは、あまりに│
│これが多すぎて、なかには、文章表現(?)らしくない感じさ│
│えするものもあった。でも、必要なことは指導しなければなら│
│ないというのが、このごろの教育の考えかただとすれば、これ│
│もみおとしてはならないだろう。             │
│(同前書 三二二ページ)                │
└────────────────────────────┘
 「1234の番号をつけて」「一、二、三とわけて」書く方法は
必要としながらも、消極的な姿勢がうかがえる。おそらく、国分自
身が戦前の実践をふり返ったとき、必ずしも上手に指導できなかっ
た反省を踏まえていたのだろう。

■戦後の提案─『みんなの綴方教室』より─

 さて、『新しい綴方教室』から約二十年後『みんなの綴方教室』
(新評論 一九七三年九月)が出版された。その中で「構成・構想
の指導」として、国分は「『三つある式』練習法」の提案を行って
いる。
┌────────────────────────────┐
│ (イ)まず、すべての子どものつづりかた用箋、原稿用紙、│
│ノートのはじめに「私のくせ」と題を書かせ、ついで、   │
│ ☆わたしにはわるいくせが三つある。          │
│と「書きだし」の文を書かす。その下につづけて、「なにする│
│こと」と「なにすること」と「なにすること」であると、その│
│くせをあげさせる。                   │
│ (ロ)つぎに行をべつにし、新しい段落をつくることにし │
│て、「第一のくせ」の説明をしなさい。こういいつける。  │
│ (ハ)つぎにおなじようにして「第二のくせ」の説明。  │
│ (ニ)つぎにやはり「第三のくせ」の説明。       │
│ (ホ)自分の「わるいくせ」について、まとめて考えている│
│こと、感じていることがらがあったら、それを書かせる。ま │
│た、よい「くせ」もあるというなら、それもかかせる。   │
│(同前書 二一六ページ)                │
└────────────────────────────┘
 戦前のように、ただ「1234の番号をつけて」「一、二、三と
わけて」書くだけではない。その前後に「書きだし」と「まとめて
考えていること、感じていることがら」をセットにした構成が提示
されている。

 特に、「書きだし」という予告の文が新たに示されているところ
に、国分における思考の変遷がうかがえて興味深い。

■上條晴夫の場合─授業感想文・調べ学習のコツ─

 上條晴夫は『子どものやる気をひきだすノート指導』(学事出版
 一九九五年一〇月)で国分の「三つある式」に触れている。ここ
では「『授業感想文』指導のコツ」として取り上げている

 また、『総合的な学習のための教育技術─調べ学習のコツと作文
的方法─』(健学社 二〇〇〇年七月)では「番号作文の発展系」
として扱っている。桜沢修司著『論理的な作文の指導技術』(明治
図書 一九九六年三月)の実践を紹介しながら「基礎的な作文指導
が調べ学習をサポートする」と述べている。

 過去の「調べる綴り方」と現在の「総合的な学習」をつなぐ教育
技術の一つに、「番号作文」系列の指導があると思われる。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭(茨城大学大学院に在学中)
 所属団体:授業づくりネットワーク
      全国教室ディベート連盟
      学習ゲーム研究会など
 主な著書:『ワークショップ型総合学習の授業事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      以上学事出版
      『5分間でできる学習遊びベスト50』(共著)
      たんぽぽ出版

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

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 ていて、3000部を突破することが殿堂入りの条件です。
 本誌は2000年創刊なので、1つめの条件はクリアしています。
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メールマガジン「実践!作文研究」No.187 2003/9/7 読者数2174
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C) 2000,2003 実践!作文研究会
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