メールマガジン「実践!作文研究」
第185号(2003.8.24)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第185号 2003年8月24日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、倉島保美さんのミニ連載「ディベート立論原稿の書き方」
(全3回)の第3回をお送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.ミニ連載−−

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ディベート立論原稿の書き方(3)
    ジャッジに伝わる表現方法
        ライティング・インストラクター  倉島 保美
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 「ディベート立論原稿の書き方」の第3回目は、自らの主張を正
確にジャッジに伝える方法について説明します。ディベートにおい
て、いかに伝えるかは、何を伝えるいかと同程度に重要です。また、
同程度に難しいことです。


■伝えられなければ勝てない

 どんなに論理的な主張であっても、ジャッジに伝わらなければディ
ベートには勝てません。ジャッジは、自らが聞き取った内容でジャッ
ジするのです。ディベータが述べたことでジャッジするのではありま
せん。

 言い換えれば、ディベートの勝敗は、何を述べたかで決まるので
はなく、何を聞き取ってもらえたかで決まるのです。述べたのだか
ら、評価されるはずと考えるのは早計です。早口でたくさん述べる
のは、時として何も述べなかったのと同じです。


■コミュニケーションの責任はディベータ側にある

 意見を伝える責任は、ディベータ側にあります。つまり、ミスコ
ミュニケーションが生じたら、それはディベータの責任です。これ
をジャッジ押しつけてはいけません。

 たとえば、自分が述べたことを、ジャッジに誤解されてしまった
り、述べていないかのように扱われたりした場合、悪いのはディベ
ータです。分かるように話さないディベータが悪いのです。これを
「あのジャッジは下手!」のように、ジャッジのせいにしてはいけ
ません。


■ジャッジに伝わる表現方法

 しっかりとジャッジに伝わるように話すには、次の5つのポイン
トに注意しましょう。

 1.最初にアウトラインを述べる(立論では不要)
 2.ナンバリング利用する
 3.ラベリング利用する
 4.先に要点を述べる
 5.最後に要点を繰り返す


◇最初にアウトラインを述べる

 話の始めには、全体の構成を述べます。これにより、聞き手は話
を聞く心積もりができて、理解しやすくなります。ただし、立論で
は話の構成が事実上決まっているので、特にアウトラインを述べる
必要はないでしょう。

例:「まず、これまでの議論をまとめ、次にデメリットをアタッ
   クしてから、メリットを補強します。」 (反駁の場合)


◇ナンバリング利用する

 列挙して述べるとき、まずいくつの項目があるかを述べ、その後、
各項目に番号をつけて順に述べます。これには以下の利点がありま
す。
 ・聞き手は話を聞く心積もりができて、理解しやすくなる。
 ・各項目の境目がはっきりわかる。
 ・その後の議論で参照しやすい。

例:「メリットは二つあります。一つ目は、........になるという
   ことです。二つ目は、.......」


◇ラベリング利用する

 メリット/デメリットを述べるときには、各メリット/デメリッ
トに小見出しをつけて述べます。聞き手は話を聞く心積もりができ
て、理解しやすくなりますし、その後の議論で参照しやすくなりま
す。ラベルは、できるだけ短く具体的なものがよいでしょう。

例:「メリットの1つ目は、『交通事故の減少』です。」


◇先に要点を述べる

 ある程度まとまった話をする場合は、まず要点を先に述べてから、
詳しく説明します。これにより、聞き手は話し手がこれから何を話
そうとするのかわかり、話を聞く心積もりができて、理解しやすく
なります。逆にこれをしないと、聞き手は話し手が結局何を言おう
としているのかを、考えながら聞くので、理解しづらくなります。

 このポイントは、データの引用時に特に重要です。データを引用
するときは、そのデータで何を言おうとしているのかを先に述べて
から、データを引用しましょう。いきなりデータを読み始めると、
ジャッジは、そのデータのどこを聞き取れば(=書き取れば)よい
のかが分かりません。

良い例:「職業裁判官は、一般市民より事実認定能力にまさるとい
     うデータを示します。出典は...」

悪い例:「データを引用します。出典は... 以上のように、職業
     裁判官は、一般市民より事実認定能力にまさるのです。」


◇最後に要点を繰り返す

 ある程度まとまった話をする場合は、最後にもう一度、要点を繰
り返します。聞き手の頭の整理に役立ちます。また、最初に述べた
要点を、聞き手が聞き逃したり、 忘れてしまったりしている場合も
あるので、それを補うこともできます。

例:「以上のように、一般市民は事実認定能力に劣ること、マスメ
   ディアの影響を受けやすいことの2点から、デメリットの一
   番目『誤審の増加』が発生します。」


■伝わっているかを確認する

 自分のスピーチがジャッジに伝わっているかは、ジャッジを見れ
ばわかります。ジャッジが、一所懸命にフローシートを取っていれ
ば、伝わっている証拠です。一方、ジャッジのペンが止まっている
ようだと、伝わっていません。ジャッジを見ながらスピーチするの
は、訴求力を高めるためばかりではないのです。


■コミュニケーションにもっと注意を

 口頭での、しかも一方通行のコミュニケーションは、非常に難し
いものです。筆者は、ディベートの中で最も難しいとのは、伝わる
ように述べることと思っています。相手の論点の穴を見つけること
の方がまだ簡単と感じます。

 今回は、表現方法からのポイントを述べましたが、他にもコミュ
ニケーション上、大事なことはたくさんあります。十分に理解でき
る程度の速さで話すことや明瞭に話すこともその一つです。多くの
ディベータが早口すぎて、損をしているのが現状です。

 もっと、コミュニケーションに注意を払えば、ディベートの勝率
が上がることでしょう。




【プロフィール】

 倉島 保美(くらしま やすみ)

 NECエレクトロニクス(株)勤務 兼
 早稲田大学アジア太平洋研究センター特別研究員 兼
 京都大学霊長類研究所非常勤講師
 
 LSIの開発を本業とするかたわら、企業や大学で日本語/英語
 のライティング、ディベート、論理的思考、プレゼンテーション
 などを指導。

 著書:『書く技術・伝える技術』あさ出版
    『理系のための英語ライティング上達法』講談社

 ホームページ:http://www2u.biglobe.ne.jp/~kurapy/

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、まぐまぐで3000部を突破することが殿堂入りの条件です。
 本誌は2000年創刊なので、1つめの条件はクリアしています。
 ぜひお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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(C) 2000,2003 実践!作文研究会
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