メールマガジン「実践!作文研究」
第18号(2000.5.28)


論理的思考を鍛える「さくぶん情報誌」
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第18号 2000年5月28日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 こんにちは。『メールマガジン「実践!作文研究」』第18号を
お届けします。
 今週は「見たこと作文」の話題です。
 「見たこと作文」は「見たこと」を中心に作文を書きます。
 短くてもよいから(自学として)毎日書きます。
 教師は、子どもの作文に目を通し、いくつかを教室で読み聞かせ
します。そのうちクラスで一つテーマを決めて書きます。「たんぽ
ぽ」「くも」「かたつむり」等、学級全体で追究していきます。
 教室の中で、発見・交流・対決などが起こります。
 子どもたちは、よく見、よく聞き、よく調べるようになります。
 このメールマガジンでは、「見たこと作文」の小規模校での活用
にスポットを当てました。

−−2.特集・「見たこと作文」システムを小規模校に生かす−−

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■極小規模中学校で「見たこと作文」の可能性を探る
                   (1999年度実践の概要)

           旭川市立嵐山中学校教諭    石川 晋
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 中1二名、中2二名、中3三名の計七名。これで本校の中学生は
全員であった。
 国語の授業時間を使って、全学級の作文を交流する形で、「見た
こと作文」に取り組んだ。1999年10月からである。
 「見たこと作文」を開始して、2ヶ月半が経過したところで、冬
休みを迎えた。
 前任校の旭川市立北星中学校では、冬休み前に、追究爆発現象が
起こり、書けない生徒の意欲も一気に増すという、願ってもない状
況が起こった。しかし、現任校では、冬休みを前に、苦戦が続いた。
 苦戦の内容を端的に説明すると、
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「専門店化」が進んでしまう。
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ということにある。
 同じ対象を継続観察する生徒などは登場しているが、七名が七様
の作文に没頭している状態で、相互の関係が薄い。また、新たな切
り口に乏しいので、例えば、図鑑や辞書などによる調べ学習(「書
斎派」的活動)が生まれてこないのである。
 しかし、冬休み前には、若干状況に変化のきざしが見えた。まず、
辞書・図鑑による調べ学習が登場した。また、地域に出没する猫に
ついての「追究」が数人の作文から生まれた。
 しかし、どうしてもダイナミックな動きが生まれてこない。人数
が少ないというだけでなく、作文自体も、熱を帯びた追究とは、ほ
ど遠いものばかりだ。
 「見たこと作文」は、30名、40名という学級集団(学習集団)の
中でこそ、そのおもしろさを発揮する学習なのではないか、という
ことに気づき始めた。
 今年(2000年)は、さらに減って五名の生徒である。今年一年真
剣に取り組んで、自分なりの結論を出してみよう、と考えている。

【執筆者のプロフィール】

石川 晋(いしかわ しん)
北海道・旭川市立嵐山中学校教諭 
所属団体 授業づくりネットワーク
     日本児童文学者協会会員
     全国の学校図書館に人を!の夢と運動をつなぐ情報交流
     紙「ぱっちわーく」発行同人
     学習ゲーム研究会
主な著書 『中学校学級担任のための資料集』(民衆社、共著)ほ
     か。

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■「見たこと作文」システムの小規模校での活用の提案
〔2000年5月「ふろむA」5月号掲載のものを加筆修正〕

                    小学校教諭 松田善啓
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1.「見たこと作文」を知っているか?

 みなさんは、「見たこと作文」をご存知だろうか。当メールマガ
ジン主幹の上條晴夫氏が、10年ほど前に開発した作文指導システ
ムである。
 子どもが、あるもの(ネタ)について「見たこと」を作文に書い
ていき、その作文が次々と子どもの連続的な追究を生み出していく、
という作文指導システムである。
 このシステムは、子どもの「見る力」「書く力」「追究力」等の
力を育て、ひいては「生きる力」を育てるために有効だと私は考え
ている。
 「見たこと作文」については、次の本に詳しい説明があるので、
ぜひご覧いただきたい。
┌────────────────────────────┐
│上條晴夫『見たこと作文でふしぎ発見』(学事出版)    │
└────────────────────────────┘

2.「見たこと作文」システムの弱点           

 「見たこと作文」のシステムを実践できる条件としては、子ども
同士の「練り合い」を行える環境であることが重要な条件の1つと
して挙げられる。つまり、学級にある程度の人数の子どもがいると
いうことが、「見たこと作文」が実践可能である条件の1つである。
 逆にいうと、学級に子どもが1人とか2人とかの場合、実践する
ことが難しくなる。それがこの実践の弱点である。特に私の住んで
いる地域には、そういう学級が多い(つまり「ド田舎」である)た
め、なかなか「見たこと作文」を実践しにくい環境の学級が多い。
 もちろん、「見たこと作文」指導システムの中にある作文指導の
エッセンスには、1人や2人の学級でも活用できるものが多い。例
えば、次のようなものである。
┌────────────────────────────┐
|・作文は「予告」「事実」「考察」の三段階で書くという指導|
| 法。                         |
|・書く対象の細部に目を向けさせるために「よく見ると」「さ|
| わってみると」などの言葉を使って書かせるという指導法。|
|・見たことを作文に書く技術としての「スケッチ作文」、聞い|
| たことを作文に書く技術としての「鉛筆対談」、調べたこと|
| を作文に書く技術としての「資料活用作文」等の指導技術。|
└────────────────────────────┘
 小規模の学級の場合、特に「見たこと作文」のシステムを使用し
なくても、他の方法で子どもの追究力を引き出せばいい。しかし、
私はここで敢えて、システムとしての「見たこと作文」を丸ごと、
小規模学級でも活用できる道の模索にこだわってみたい。そのよう
な学級でも「見たこと作文」システムを実践できる道はないものか。
 実はこれについて、私がかなり以前から温めていた構想がある。
その構想を今回発表したい。

3.小規模校での克服について

 その構想を一言で言うと、『学級間「見たこと作文」連携実践』、
あるいは『学校間「見たこと作文」連携実践』でも言うべきだろう
か。
 具体的には、1つの学級だけではなく、複数の学級、あるいは学
校で1つの実践を連携して行うという方式である。これまで発表さ
れた「見たこと作文」実践は、1つの学級での実践が主であった。
それに対して複数の学級・学校で実践を行おうという提案である。
 もっとも、今までに複数の学級で1つの実践が行われた例がない
わけではない。石川晋氏による前任校での実践がこの例に該当する
(「総合的学習で見たこと作文・こう活用する〜中学校でも、追究
爆発は起こる!〜」石川晋(『授業づくりネットワーク』1999
年6月号))。
 ただし、石川実践と私の提案とは、同じ「見たこと作文」実践で
ありながら、実践の意図が異なる。というのは、この実践において
石川氏は、当時1人で中学3年生の5学級の国語を担当し、その中
で「見たこと作文」の実践を行っている。それに対して、私の提案
は、違う学級において違う教師同士が連携し合って「見たこと作文」
の実践を行うというものである。また、石川氏の実践では、中学校
国語科の授業の中でも「見たこと作文」の実践ができることの可能
性を示したのに対し、私の提案では、小規模校において「見たこと
作文」システムが実践しにくいという状況を克服することの可能性
を示そうとしている。以上の点で、複数の学級で1つの実践を行っ
ていくという形態は同じなのだが、石川氏の前任校における実践と
私の提案とは実践の意図が異なる。そのことをご理解いただいた上
で、実践方法についての提案をお読みいただきたい。

4.「見たこと作文」連携実践の提案

 学校の中で複数の学級が1つの実践を行うときは、教師間の連携
が大切である。これは、何も「見たこと作文」の実践に限ったこと
ではなく、何を行う場合にも当てはまる原則である。では「見たこ
と作文」の実践を行うに当たって、更にどんなことが必要となって
くるか。
 「見たこと作文」実践では、子どもが自学として書いてきた「見
たこと」についての作文を読み聞かせた上で、次のような指導を行
う。
┌────────────────────────────┐
│A 作品の中に、「あいまいなところ」を見つけ出す。   |
| (最初は、教師が見つけてやる。)           |
|B 「あいまいなところ」を、「−か」の形に直す。    |
| (Aか、非Aかの形がよい。)             |
|C 「−か」にたいして、挙手させ、立場をとらせる。   |
| (理由は、その場では言わせない。)          |
|     (上條晴夫『見たこと作文でふしぎ発見』18頁)│
└────────────────────────────┘

 「連携実践」の場合は、子どもが自学として書いてきた作文を、
学級間あるいは学校間で交流する。具体的には、読み聞かせの際に
自分の学級の作文だけではなく、他学級の作文も読むようにする。
 上記A〜Cの指導によって出される具体的な「あいまいなところ」
や「―か」の内容については、学級によって異なっても構わないが、
出た意見を学級間で情報交換して、後日につなげていくようにする。
 この方法は、学校の中の学級同士であれば、交流は容易である。
 では、学校が異なる場合はどうするか。これについては、インタ
ーネットを活用することで、離れた学校間による交流が可能である。
1対1の電子メールを利用すれば2校間の交流が可能であり、メー
リングリストを活用すれば3校以上の交流が可能である。ホームペ
ージに掲示板を設置し、それを利用して実践を勧めても良い。各学
級の子どもたちの数が5〜6人ぐらいまでなら、すべての子どもの
作文を交流しても大きな負担にはならないと考える。
 まだ提案段階ではあるが、わたし自身のこれまでの教室実践の経
験から、きっと成功すると確信している。この提案に賛同し、企画
に参加される学級を募集したい。参加条件は、上條晴夫著『見たこ
と作文でふしぎ発見』(学事出版)を読むこと。ぜひ私までメール
をお寄せいただきたい。
 1学期中には、ぜひ実施したいと考えている。

【執筆者のプロフィール】
 松田善啓(まつだ よしひろ)
 小学校教諭(今年度は障害児学級担任)。月刊雑誌『授業づくりネ
ットワーク』編集委員。 作文に関する実践記録や論文を発表して
いる。現在、ホームページ「実践!作文研究」を製作している。ま
た、同名のメールマガジン「実践!作文研究」でも編集長を担当し
ている。
「実践!作文研究」
  http://www.jugyo.jp/sakubun/
「松田善啓 教育実践のページ」
  http://www.geocities.co.jp/NeverLand/3804/

         ◆     ◆     ◆

−−3.編集後記−−

 次号(No.19)は、池内清さんの「作文キーワード事典」をお届
けします。お楽しみに!

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発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
まぐまぐID:0000023841
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究 2000
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