メールマガジン「実践!作文研究」
第178号(2003.6.1)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第178号 2003年7月6日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、佐内信之さんの「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」
第5回です。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

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国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ 第5回

   番号をつけて書く─調べる綴り方2─
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■連載について

 国分一太郎は「全国の綴方教育を実践する教師の先導的指導者」
として知られた人物である。代表作『新しい綴方教室』(日本評論
社 一九五一年二月)は「多くの教師に感動を与え、綴方教育に意
欲を持たせる」ものであった。

 戦後は理論家としての活動が多かった国分一太郎も、戦前は実践
家として全国的に活躍していた。山形の小学校教師時代に作成した
文集「もんぺ」「もんぺの弟」は「綴方教育を志す多くの教師たち
に、多大の影響を与える」ほど評価の高かったものである。

 このような「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ」べきものは何
か? この連載を通して、綴り方教育の過去の遺産から、現在の作
文教育に生かせるものを探っていきたい。

(国語教育研究所編『国語教育研究大辞典』明治図書 一九八八年
 三四四ページ)

■前回の要旨─目的・相手意識─

 昭和戦前期に流行した「調べる綴り方」実践に取り組む過程で、
国分は「教える綴り方」を導き出した。この考え方は「何のために
かくかの目的性」「級の人達に教へようとする協働意識」を子ども
たちに持たせようとするものである。こうした綴り方は国分にとっ
て「目的・相手意識の発見」と言えるものであった。

 「国分一太郎の綴り方教育実践に学ぶ 第4回
   目的・相手を意識して書く─調べる綴り方1─」
  http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/173.html

■調べる綴り方の題材探し─番号をつけて─

 国分は「調べる綴り方ヘの出発とその後」(『調べる綴り方の理
論と指導実践工作』千葉春雄編『綴り方倶楽部』特別号 東宛書房
 一九三四年三月)という実践報告で、題材探しの方法についても
触れている。

 冬が近づいて来た雪国の子どもたちに、国分は「冬のしたく」
「冬のようい」という課題を示して言う。
┌────────────────────────────┐
│さあ、これで誰が詳しく、色々のものを逃さず、細かく調べる│
│かの競争だ。どれ位澤山調べたかわかるやうに、1234の番│
│號をつけて、その次に文をかくやうにしよう。       │
│(同前誌 五〇ページ ※次の文献にも所収『国分一太郎文集│
│ 5 生活綴方とともにI』新評論 一九八四年三月)   │
└────────────────────────────┘
 すると、子どもたちは「俺あ、8番目だ」などと言いながら目を
輝かせて取り組んだそうである。その結果、3年生49人で述べ212
項目もの題材が集まったと報告されている。
 次に示すのは、国分が作成した表の一部である。
┌────────────────────────────┐
│  冬のしたく(調べた事がら)   尋三男四十九人   │
├──────┬──────────────┬──────┤
│ 生活の姿 │ 内 容  ( )内は人員 │計(延人数)│
├──────┼──────────────┼──────┤
│生産活動  │豆つけ豆うち(13)など19項目│   69  │
├──────┼──────────────┼──────┤
│防寒雪勞作 │すだれあみ(4)など9項目 │   35  │
├──────┼──────────────┼──────┤
│衣服    │足袋(8)など7項目    │   29  │
├──────┼──────────────┼──────┤
│食物    │菜大根洗ひ(34)など6項目 │   73  │
├──────┼──────────────┼──────┤
│その外   │冬の買物(2)など3項目  │   6  │
└──────┴──────────────┴──────┘

■実際の作品─「冬のしたく」─

 このような題材探しの一部として、次の作品が示されている。
┌────────────────────────────┐
│     ◆冬のしたく          横尾辰夫   │
│  1 だいこんつけ                  │
│ だいこんは大きなこが(桶)につけます。それから一本まゝ│
│つけます。それに大きな石を上げます。それを人が來る度、に│
│はやして出すのです。                  │
│  2 なつぱ洗ひ                   │
│ この間私もなつぱ洗ひをしました。それからほこら、こゝら│
│に行くとつめたさうにして洗つてゐます。それを見るとかはい│
│さうになります。                    │
│  3 ふしぬき(註、草履表の原料)          │
│ ふしぬきは私の人皆でしますが、私より小さい人はしませ │
│ん。私が朝起きて見るとおぢいさんが毎日のやうに、ふしぬき│
│をしてゐます。みんなで十そくばかりぬきました。それでもき│
│づをつける事は時々します。そしてかうやくをつけてします。│
│(以下、項目のみ引用)                 │
│  4 ふしきり                    │
│  5 なわなひ                    │
│  6 かやつけ                    │
│  7、こたつかけ                   │
│  8 はきもの                    │
│  9 冬のかぶりもの                 │
│  10 すだれあみ                   │
│  11 だいこんもろ(土室)              │
│(同前誌 五二〜五三ページ)              │
└────────────────────────────┘
 この作品に対して、国分は「説明があつたけれども生活の精密な
描寫はなかつた」「生活素材に對する作者の考といふべきものも、
入るにはむづかしかつた」と反省している。しかし、「ことがらに
よる分節的な文の進め方は、割合に子供達の文を確實に、又平明に
した」「題材の探り方の指導期の成果として僕はこの作品を愛して
ゐる」と評価もしているのである。(同前誌 五三ページ)

■副田凱馬の場合─番号作文─

 ところで、国分の「番号をつけて」書く方法から「番号作文」を
連想する方も多いだろう。『総合的な学習のための教育技術─調べ
学習のコツと作文的方法─』(上條晴夫著 健学社)などで推奨さ
れる「番号付きの箇条書き作文」の元祖は、副田凱馬の「番号作文
について─低学年の作文指導─」(博報児童教育振興会編『国語教
育実践の開拓』明治図書 一九八三年二月)に示されている。
┌────────────────────────────┐
│ 「番号作文というのはね」と、わたしは子供たちに文話す │
│る。                          │
│ 「一つ一つの文の頭に番号が付いている作文のことだよ。そ│
│の番号は作文するとき、見付け出したり思い出したりして書き│
│並べる文の順番の数だよ。それはまた、君たちが見付け出した│
│り思い出したりした事柄(文材)の数でもあるんだ。(中略)│
│だいじなことは、事柄(文材)をできるだけたくさん集めて書│
│き並べることだ。先生は、番号数の多いのに『よい点』を付け│
│てあげる。」と。                    │
│ すると子供たちは、見付け出し思い出して書いた事柄の数を│
│友だちと競いながら、見付け出した喜び、思い出した喜びに胸│
│を躍らせながら、文材集めに、その書き並べに張り切るのであ│
│る。(同前書 六五〜六六ページ)            │
└────────────────────────────┘
 「番号数の多いのに『よい点』を付けてあげる」という教師の呼
びかけや「文材集めに、その書き並べに張り切る」という子どもた
ちの反応に、国分実践との共通点がうかがえて興味深い。

 副田実践や、それを発展させた上條実践との異同関係を明らかに
しながら国分実践をたどると、何かが見えてきそうである。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭(茨城大学大学院に在学中)
 所属団体:授業づくりネットワーク
      全国教室ディベート連盟
      学習ゲーム研究会など
 主な著書:『ワークショップ型総合学習の授業事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      以上学事出版
      『5分間でできる学習遊びベスト50』(共著)
      たんぽぽ出版

       ◆       ◆       ◆

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−−4.編集後記−−

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 ていて、まぐまぐで3000部を突破することが殿堂入りの条件です。
 本誌は2000年創刊なので、1つめの条件はクリアしています。
 ぜひお知り合いにおすすめください。
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 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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(C) 2000,2003 実践!作文研究会
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