メールマガジン「実践!作文研究」
第176号(2003.6.22)


学力問題としての作文教育を考える
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 メールマガジン「実践!作文研究」
 第176号 2003年6月22日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、倉島保美さんのミニ連載「ディベート立論原稿の書き方」
(全3回)の第1回をお送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

============================================================
ディベート立論原稿の書き方(1)
    立論の構成と各パートのポイント
        ライティング・インストラクター  倉島 保美
============================================================


■連載にあたり

 3回にわたって、「ディベート立論原稿の書き方」について解説
していきます。各回は以下のようなテーマを予定しています。
  1.立論の構成と各パートのポイント
  2.発生過程の2つのパターン
  3.ジャッジに伝わる表現方法

 内容的には、ディベート初級者を対象としますが、それ以外の方
にも配慮したいと思っています。ディベートを授業に導入する予定
がない方でも、ディベート立論は意見を的確に第三者に伝えるため
の文章として、参考にしていただきたいです。また、ディベート中
級者以上の方のために、よくあるわかりにくい例もあげていきたい
と思います。

 なお、ここでいうディベートとは、教室ディベート連盟主催の全
国中学・高校ディベート選手権(通称:ディベート甲子園)で行わ
れているディベートを指しています。それ以外のディベートでは、
そぐわない部分もありますが、ご了承願います。


■立論とは

 立論とは主張の論証です。つまり、プランを採用するとメリット
/デメリットが発生することを、理由付けとデータで証明するので
す。

 論証できなければ、メリット/デメリットの発生が認められませ
ん。したがって、その後の議論に関わらず、その時点でほぼ負けが
決まります。全国大会ですら、論証できていないと感じる立論を見
ることがありますので、注意してください。


■立論の構成

 政策論題における典型的な立論は、次のような構成を取ります。
  1.論題で使用されている言葉の定義
  2.プラン
  3.プランから発生するメリット/デメリット
  4.メリット/デメリットの発生過程
  5.メリット/デメリットの重要性/深刻性

 これ以外の構成も可能ですが、上記の構成を強くお薦めします。
ほとんどのジャッジは、上記の構成を期待しています。したがっ
て、別の構成ですと、ジャッジが戸惑います。理解されない危険が
生じます。


■言葉の定義

 論題について議論するにあたり、論題で使われている言葉を定義
します。言葉を定義することなしに議論をはじめると、互いに自己
に有利なように言葉を定義して議論を進めようとします。その結果
かみ合わない議論となりがちです。

 言葉の定義は肯定側によってなされ、不合理な定義でない限り、
否定側はその定義を受け入れます。

具体例
 「日本とは日本政府を指します。積極的安楽死とは...」(肯定
  側)
 「定義は肯定側に従います。」(否定側)


■プラン

 肯定側は、論題の政策がメリットを生じるよう、プランを提示し
ます。プランは複数になるのが普通なので、箇条書き的に述べるの
が理解しやすいです。議論の展開を予想して、肯定側が有利になる
ようなプランを立てるようにします。ただし、論題と無関係なプラ
ンは立てられません。

 一方、否定側には通常、プランはありません。現状の維持を主張
します。しかし、肯定側のプランにまさるカウンタープランを提案
できることもあります。カウンタープランは、オリジナルプランと
は明らかに異なり、より大きなメリットがえられ、オリジナルプラ
ンと同時に実行できないものでなければなりません。

具体例
 「プランは3点あります。1点目。法整備、十分な周知活動の上
  2005年4月から...」(肯定側)
 「プランはありません。現状維持です。」(否定側)


■メリット/デメリット

 肯定側はメリットを、否定側はデメリットを端的な言葉で表現し
ます。短い言葉で表現した方が理解しやすく、後の議論で参照する
にも便利です。

 大事なポイントは、その言葉を聞いただけで、確かにメリット/
デメリットだと誰もが感じる言葉を使うことです。「それのどこが
メリット?」と思われてしまうような言い回しの場合、発生過程の
途中をメリットとして述べていることが多いです。

悪い例
 「ダイオキシンの増加」

よい例
 「人体への悪影響」


■発生過程

 プランからメリット/デメリットが発生する過程を、ステップ・
バイ・ステップで説明します。論証するところなので、立論で最も
重要な箇所です。ジャッジに正しく伝えられるよう細心の注意が必
要です。

 具体的な書き方については、連載第2回で説明します。


■重要性/深刻性

 立論の最後に、メリット/デメリットが、なぜ(質)、どれだけ
(量)重要/深刻かを述べます。質と量の両方を説明すると、効果
的です。

 まず、メリット/デメリットがなぜ重要/深刻を述べます。たと
えば、「介護者の肉体的負担の軽減」のようなメリットでは、その
負担が具体的にわかりません。ジャッジにより異なる理解をされて
しまいます。そこで、肉体的負担を具体的に説明します。

 ただし、誰もが重要/深刻と考えられるメリット/デメリットな
らごく簡単に説明するだけで十分です。たとえば、「人命救済」と
いうメリットなら、なぜ重要かを説明する必要はありません。人命
がいかに大切かを蕩々と説明しないようにしましょう。

 次に、メリット/デメリットがどれだけ重要/深刻を述べます。
つまり、何人が「介護者の肉体的負担の軽減」や「人命救済」とい
うメリットを享受できるかです。この量の議論がないと、肯定側と
否定側の価値の比較ができません。



【プロフィール】

 倉島 保美(くらしま やすみ)

 NECエレクトロニクス(株)勤務 兼
 早稲田大学アジア太平洋研究センター特別研究員 兼
 京都大学霊長類研究所非常勤講師
 
 LSIの開発を本業とするかたわら、企業や大学で日本語/英語
 のライティング、ディベート、論理的思考、プレゼンテーション
 などを指導。

 著書:『書く技術・伝える技術』あさ出版
    『理系のための英語ライティング上達法』講談社

 ホームページ:http://www2u.biglobe.ne.jp/~kurapy/

       ◆       ◆       ◆

−−3.PR−−
┌────────────────────────────┐
|   「 お 笑 い 教 師 同 盟 (仮) 」    |
|  教育に笑いを!子どもに笑顔を!           |
|            お笑いから教育技術を学ぼう!  |
| http://www.geocities.co.jp/NeverLand-Homeroom/7743/  |
|    (HP正式公開&会員募集を開始しました)    |
└────────────────────────────┘
−−4.編集後記−−

○本誌は「まぐまぐ」殿堂入りを目指しています。2年以上発行し
 ていて、まぐまぐで3000部を突破することが殿堂入りの条件です。
 本誌は2000年創刊なので、1つめの条件はクリアしています。
 ぜひお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌は次の配信システムを利用して発行しています。
 まぐまぐ http://www.mag2.com/ 0000023841
 Pubzine http://www.pubzine.com/ 8460
 melma! http://www.melma.com/ m00014780
 macky! http://macky.nifty.com/ 23841
 メルマガ天国 http://melten.com/ 1930
 E-Magazine http://www.emaga.com/ sakubun(まもなく終了)
 カプライト http://kapu.biglobe.ne.jp/ 851
 めろんぱん http://www.melonpan.net/ 000879
 ティアラオンライン http://www.tiaraonline.com/ m102212

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
メールマガジン「実践!作文研究」No.176 2003/6/22 読者数3046
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究会 2000,2003
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「ディベート立論原稿の書き方   
「第176号の感想」を書く 戻  る トップページへ

メールマガジンのご案内へ