メールマガジン「実践!作文研究」
第174号(2003.6.8)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第174号 2003年6月8日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、池内清さんの連載「上條晴夫氏の作文指導」の第4回を
お送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「上條晴夫氏の作文指導」−−

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上條晴夫氏の作文指導
----「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(4)----
  作文指導は「指示」が命だ!「3.規模の指示をする」(1)
                聖学院小学校  池内 清
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■はじめに

第1回 上條晴夫氏の略歴 まえがきを読む 目次を読む
第2回 作文指導は「指示」が命だ!「1.書き出しを指示する」
第3回 作文指導は「指示」が命だ!「2.ハテナの文の指示をす
    る」
(http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/backlist.html)

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■作文指導は「指示」が命だ!「3.規模の指示をする」(1)
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 規模の指示とは、端的に言って、書かせる文章の量を指示するこ
とである。
 例えば、次の通りである。
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 100字で書きなさい。
 200字で書きなさい。
 作文用紙1枚で書きなさい。
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 この規模の指示は当たり前のことかもしれない。しかし、意外と
されていない指示である。
 現に、この「規模の指示」の言葉は上條氏の造語である。
 なぜ、この「規模の指示」が必要なのか。以前上條氏は以下のよ
うに私に語ってくれた。
 『体育で、校庭を走る時、教師は「3周走りなさい」とか、「今
日は、10周走ります」などと、必ず何周走るかの指示をする。た
だ「走れ」では、子どもたちは走れない。3周には3周の走り方が
あるし、10周には10周の走り方がある。作文も同じである。作
文用紙1枚の書き方と200字の書き方では書き方が違う
(語録)』
 つまり子どもたちはこの指示によって、これからどの程度の量の
文章を書くかが分かるので安心して書くことができるのである。
 作文を書く時にこの「規模の指示」をすることで明らかに子ども
たちの書きぶりが違ってくる。書くことが苦手なクラスにはこの
「規模の指示」をすると効果的である。
 
■パーツ作文の追試
 上條氏の代表的な作文の授業の追試である(3年生)。
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 1.森の学校(3泊4日の移動教室)の作文を書きます。
 2.黒板に示したプロット(旅程)の中から、どれか一つを選ん
  で書きます。
 3.その場所でおきたおもしろかったことを、一つだけ書きま
  す。
 4.一つ書かけたら、黒板のプロットの下に、正の字の一画を書
  きます。
 5.書けた作文を教卓の上に置き、新しい原稿用紙(二〇〇字)
  を取って行って、また書きなさい。
 6.時間は二時間です。
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 「書けない子をなくす作文指導10のコツ」のp27に載っている
「パーツ作文」の実践である。(1.の指示をクラスに合わせて変
えただけである)
 以下のような作文がどんどん書かれていく。
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 二日目のねる前に、ぼくたち三ぱんはまくらなげをしました。
 まくらなげというのは、上のベットから下にいる人たちにむかっ
て、ふりおとすのです。
 とてもたのしかったのですが、ドスドスという音と、ものすごい
ほこりがでてやめさせられました。
 ざんねんです。
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 ドスドスという音が書かれていて感じがよく分かる。
 短くてもその場の雰囲気が伝わってくる作文である。
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 ハイキングの帰り道、ぼくは小鳥の鳴き声を聞いていました。
 その中でも、一番気に入ったのは、
「ピー」
という鳴き声です。
 また聞きたいけれど、もう聞けないのが悲しいです。
 でも聞けてよかったと思います。
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 四月当初作文が全く書けなかった児童の作文である。えんぴつを
持つだけで固まってしまう感じの子であった。しかし、この時(六
月)は、みんなと同じようにこのパーツ作文を何枚も書いていた。
「ピー」という鳴き声を書くことによって、その時のことが思い浮
かぶ、いい作文である。
 
■子どもに沿った規模の指示
 上條氏はこの「パーツ作文」を開発する時に「長い作文を書かせ
る」というような実践を読んだそうだ。その時、自分のクラスの子
には難しいと考え、それだったら短い作文でも、いい作文を子ども
たちに書かせてみようと考え、このパーツ作文を作ったという。
 そして、この二〇〇字のパーツ作文がヒットしたのである。
 このヒットの理由はおよそ、次の三つであると上條氏は述べる。
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A 子どもが少し頑張れると書ける大きさである。
B エピソード(話)一つに合う大きさである。
C ひとかたまりの考えを盛れる大きさである。
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 規模を意識することで、子どもたちが達成感を持って書ける作文
になっているのである。
 Aでは、子どもたちの現状に合わせた作文の規模を考えている。
 B、Cではその書く内容がその規模に合っているから必然とうま
く書けるような規模になっているのである。
 このように、上條氏の作文指導は、いつも教師側からではなく、
児童側に立った視点で行われているのである。
 それは、以下の文章からも読み取ることができる。
 『「規模の指示」も、一般的に有効性はあるものの、子どもを見
ないで、「さあ、この長さで書け」と、迫ったのでは、原稿用紙3
枚のコンクール作文と同じになる。大事なのは、規模の観点から、
子どもの状態を把握することである。(p31)』
 
■参考文献
 上條晴夫著「書けない子をなくす作文指導10のコツ」(学事出
版刊1992年)

【今回の執筆者のプロフィールです】

 池内 清(いけうち きよし)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:授業づくりネットワーク(事務局員)
      全国教室ディベート連盟(理事)
      学習ゲーム研究会(HP担当)
      メディアリテラシー教育研究会(事務局員)

 主な著書:『小学校はじめてのディベート授業入門』学事出版
      『ディベートで学級会づくり』学事出版
      『学習あそびベスト50』たんぽぽ出版
       ほか多数
 ホームページ:『作文が好きになるHP』
       http://homepage2.nifty.com/m-age/ikeuchi/

       ◆       ◆       ◆

−−3.編集後記−−

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 ていて、まぐまぐで3000部を突破することが殿堂入りの条件です。
 本誌は2000年創刊なので、1つめの条件はクリアしています。
 ぜひお知り合いにおすすめください。
○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究会 2000,2003
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