メールマガジン「実践!作文研究」
第170号(2003.5.11)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第170号 2003年5月11日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は木越憲輝さんの新連載「算数科や社会科の授業での作文的
方法」の第2回です。算数科における「文章題解き方説明文」をお
送りします。
 みなさんからのご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「算数科や社会科の授業での作文的方法」−−
                        東京・小学校
                          木越憲輝

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算数科の授業での作文的方法
      文章題解き方説明文
                聖学院小学校  木越 憲輝
============================================================

■文章題解き方説明文

 『秘伝中学入試国語読解法』石原千秋著(新潮選書)に
 『「算数の式は、おまえの考え方を人に伝えるための表現なんだ
  よ。」ということを徹底して教えた。そのせいか、息子の答案
  はどこか「言葉」が多くなったが、・・・「表現」らしくなっ
  てきた。」』
と出て以下のような問題文と実際の答案が掲載されていた。
問題文
┌────────────────────────────┐
│ あきら君のお父さんが、24m先にいるあきら君を追いかけ│
│ます。お父さんが3歩あるく間に、あきら君は4歩歩きます。│
│1歩の歩はばはお父さんが72cm、あきら君が46cmです│
│ お父さんがあきら君に追いつくまでに、お父さんは何歩ある│
│きますか。                       │
└────────────────────────────┘
実際の答案
┌────────────────────────────┐
│ お父さん(以下父)が3歩歩く時間を(1)とする。   │
│(1)の間に父は72×3=216(cm)歩く。     │
│(1)の間にあきらは、46×4=184(cm)歩く。  │
│(1)で父がつめる差は、216−184=32(cm)  │
│24m=2400cm、2400÷32=75       │
│(1)が75個分ある。75×3=225         │
│                    答え 225歩 │
└────────────────────────────┘
 以上の文から数式のみの場合より、より考え方が分かりやすくな
ることが分かった。そこで上の文を参考にして、授業化してみた。
 次の2点をねらいにおいた授業だ。
(1)相手に伝える意識を持ち、わかりやすい表現ができること。
(2)式の意味を考えながら、書くことができること。
 ねらいに合わせて、算数科の文章題を扱う授業で、答えを出すま
での間の考え方を説明する文を使わせた。
 説明する文を以後「文章題解き方説明文」と呼ぶことにする。

■「文章題解き方説明文」の指導例

 小学校5年生である。
 小学5年上「小数のかけ算」の復習をする。
(1)プリントを配布する。
┌────────────────────────────┐
│ 問題1                        │
│ ひろしくんの家に配達される新聞の重さは、1ヶ月で5.8│
│kgです。1年間では何kgになりますか。ただし、毎月同じ│
│重さの新聞が配達されるものとします。          │
│イメージ図                       │
│ ┌────────────────────────┐ │
│ │                        │ │
│ └────────────────────────┘ │
│答えを出すまでの説明文                 │
│ ┌────────────────────────┐ │
│ │                        │ │
│ └────────────────────────┘ │
└────────────────────────────┘
(問題は、「文理」の問題集からの抜粋)
 プリントの解説をする。
 はじめに「イメージ図」の欄に、問題文に関する線分図(数直線
のようなもの)などやイラストを書くこととした。文章題指導では
イメージ化させることが大切と考え、その欄をあえて設けた。
 次に、「答えを出すまでの説明文」の欄について説明した。
『今日は、ここをよく見せてもらおうと思います。』
『自分が、もし黒板で答えと式を説明するときに言う言葉を考えて
 書きます。ちょっと国語のようですが、式は必ず入れて式の前や
 後に説明の言葉を入れるということです。』
『つまり、答えを出すまでの解き方を説明するということです。』
 その後、全員で問題文を読んだ後、15分間作業時間を与えた。

(2)答えを発表する。
  15分後、答えの確認をするために式と答えのみ(文章は書か
 ないで)模範解答例を板書した。
  出来た子だけでなく、間違えた子や手のつけられなかった子へ
 の配慮でもある。板書した解答例をもとに、逆に式の意味を考え
 て、確認し文章化させるためである。
 『答えは、5.8kg/ヶ月×12ヶ月=69.6kgです。』
┌────────────────────────────┐
│ 1ヶ月分の新聞が5.8kgでそれが12ヶ月分だから、 │
│ 5.8が1あたり量でそれに12をかければ、答えが出る。│
└────────────────────────────┘
『言葉だけで答えを出せた人もいましたね。算数の式は、説明文を
 とても簡単にまとめたものだということなのですね。』 

(3)プリントの回収し、添削する。
 次のような書き方もあった。
┌────────────────────────────┐
│ 1ヶ月で5.8kgで、1年間の重さを知りたいから、1年│
│間を12ヶ月に直します。そして、1年間の重さを知りたいの│
│で、1ヶ月あたり5.8kgなので、           │
│5.8(kg/ヶ月)×2(ヶ月)という式になります。   │
│ 1年間=12ヶ月、5.8×12=69.6kg     │
│                    答え69.6kg│
└────────────────────────────┘ 

■考察

 初めての試みではあったが、一時間の授業で効果があったと思わ
れる部分を2点挙げる。
(1)式だけをノートに書かせるよりも、説明文を入れる方が、子
  どもたち文章題の理解度が、見えやすくなる。
(2)式を使わなくても、言葉だけで説明が出来てしまう子もいて、
  数式が、説明文分の言葉を簡略化したものだということを感じ
  とらせることができた。

 算数の数式は、全員同じになる確立が高いだけに、違いや子ども
たちの本来の理解度が見えにくい。しかし、文章題解き方説明文を
書かせると、よく理解して式を作っている子は、文章にも上手に表
現できるので、理解度がはっきり教師側によくわかる。その点は、
メリットと言える。子どもの成長にとってのメリットは、まだ確
認できなったので、授業を続けて、効果を見ていきたい。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 木越 憲輝(きごし のりき)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:学習ゲーム研究会
 著書:蔵満逸司・上條晴夫編『小学校算数の学習ゲーム集』
                       (学事出版)

       ◆       ◆       ◆

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