メールマガジン「実践!作文研究」
第17号(2000.5.21)


論理的思考を鍛える「さくぶん情報誌」
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第17号 2000年5月21日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 こんにちは。『メールマガジン「実践!作文研究」』第17号を
お届けします。
 今週は、(有)生産技術情報センター主宰の梶 文彦さんによる、
ゲスト論考です。梶さんは、経営コンサルタントをしながら、編集
業務を行っている方で、これまでも当マガジンにたくさんのご意見
をお寄せくださっています。
 今回お寄せいただいた論考は、梶さん曰く「ビジネスマン向けの
文章作法」です。しかし、作文指導の観点からも参考になる点がた
くさんあります。どうぞお読みください。

         ◆     ◆     ◆

−−2.リレー連載・ゲスト論考(第三回)−−
                  (有)生産技術情報センター
                      主宰  梶 文彦

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文章を書くための5つの要素
----題材/意図/構成/文章/言葉----
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 文章を作成するためには、5つの要素が必要です。

1) 何を書くか       <題材>
2) どのように書くか    <意図>
3) どのような流れで書くか <構成>
4) どのような文章で書くか <文章>
5) どのような言葉を使うか <言葉>

 (1)題材・テーマ〜何を書くか〜

 文章を書くに当たって、何を書くかはすべての出発点です。ここ
では、2つの要素が検討すべきテーマになります。

1) 題材として何を扱うか、
2) 具体的に書く個々の内容は何か

 このうち、1)の要素は、原稿を依頼される場合などには与えられ
る場合が一般的です。そこで、どのようなことを書くかが次のテー
マになります。これがきちんと決まらないと原稿を書き出すことは
できません。
 原稿を書けない、と言われる人たちの大半が、題材が決まった段
階で書き始めてしまうという過ちを犯しています。この段階でする
ことは、具体的に書く内容をできるだけ挙げて、どのような内容が
あるのかを確認してみることです。
 たとえば、「私の趣味」といった題で文章を求められた時には、
たとえば、私が現在もっている趣味、これまでしてきた趣味、一番
気にいっている趣味、思い出す趣味、趣味で楽しかったこと、趣味
でできた仲間、趣味が役立ったこと……など、書き始める前に、確
認しておくことが重要です。

 (2)意図・切り口〜どう書くか?〜

 1)意図・ねらいが変われば、文章は変化する

 題材が明確になっても、文章はまだ書けません。文章を作成する
意図や切り口、どんな観点から書くか、何のために書くのかによっ
て書き方は大きく異るからです。
 ここで重要なのことは、この文章で訴えたいことはなにか……と
いうことを明確にするということです。「品質はいい」と「価格は
高い」というわずか2つの要因ですら、表現の仕方で文章の意味は
反対のイメージを持つ結果になります。
 結論として、「品質がいい」ことをポジティブにアピールしたい
なら、「価格は高いが、品質はいい。」という構成になるでしょう
し、逆に、品質はいいけれど、いかんせん価格が高すぎる……とい
うネガティブなイメージを表現したいなら「品質はいいが、価格が
高い」となるでしょう。このように、ねらいや意図により、表現方
法はざまざまになります。

 (3)構成〜どのような流れで書くか〜

 文章の全体はいくつかの要素によって成りたっています。そして、
その要素をどのように並べるかで、「意図」の項の例でも分かるよ
うに、文意が大きく異なります。文章を意図するように分かりやす
く伝えるには文章全体の構成が重要な役割を果たします。
 構成とは、テーマに沿って書こうとする文章全体の流れ、ストー
リーをつくり、全体をいくつかの段落に分けるということです。
 この構成の良否で、文章の論理性や説得力が左右されます。
 構成の典型的な例が、古くからある「起承転結」です。考え方と
しては、三段論法も、論理の構成の例といえるでしょう。
 文章を書く場合に、構成は必ずしも一つではありません。たとえ
ば、ビジネス文書では、読む時間を短縮化するためにも、最初に結
論をのべて、その後で解説をします。起承転結でいえば、転を省い
て「起結承」となるのが一般的です。
 文章を書く際の構成を決める流れは、以下のように8つのステッ
プに分けられます。この流れは、冊子や雑誌、ビデオ、映画の編集
など、構成を決める必要のあるものには共通したものです。

1) テーマを選定する。
2) テーマにしたがって、手持ちの題材を明確にし、
3) どのような意図、観点、切り口でまとめるかを検討し、
4) 最終的に文章で伝えたい核(結論)となる部分を決める。
5) どのような流れで結論にまで話しを展開するかを考え
6) 展開をいくつかの段落に分けます。
7) 各段落に入る要素を決めて、
8) 全体のタイトルと、段落ごとの小見出しをつけて、

 この後文章を書き始めることになります。文章が書けないという
場合を調べてみると、構成が明確になっていないというケースが大
半を占めています。いかに構成が重要であるかを示すものといえる
でしょう。段落を明確にして小見出しをつける、つまりそれぞれに
の段落で何をどのように書くかを明確にすることが、文章作成上の
ポイントといえるでしょう。

 (4)文章〜分かりやすい文章を書く〜

 文章を書くと言うと、名文を書きたいとつい身構えてしまいがち
です。そして使い慣れない言葉や、難しい言い回しを使用し、かえ
って文章をわかりにくくしてしまう結果になります。
 文章の基本は相手に伝わりやすい文章であることです。名文より、
分かりやすい文章を書くことを心がけてください。
 テーマに対して情報や知っていることがたくさんある場合、どう
してもたくさんのことを書きたくなってしまいます。しかし、沢山
書いたからといって、それが効果的に読み手に伝わるかというと、
決してそうではありません。
 一つの文章で、一つのことしか書かなければ、読み手に伝わるの
は、その事だけです。しかしたくさんのことを書けば、ひとつの事
に対する読み手の印象は薄くなっていきます。
 つまり、文章は、短くするほど主張する内容が伝わりやすいとい
うことになります。こうしたことから、分かりやすい文章を書くた
めには、1文で多くの情報を盛り込まないことが重要です。
 分かりやすさとは何かといえば文章では、「読み手に混乱させな
い」ということです。1文で多くの要素を盛り込まないということ
は、頭の中で交通整理がしやすい文章にして、読み手に無用な混乱
を起こさせないための工夫といえるでしょう。不必要な修飾語や形
容詞を用いないということもその具体的なノウハウの一つです。

 (5)言葉〜正しい日本語の言葉づかいをする〜

 正しい日本語の言葉づかいは、文章の基本です。うろ覚えの言葉
や、誤って覚えてしまった言葉など、知らぬうちに誤った使い方を
してしまうことも少なくありません。書籍や雑誌などでも、おかし
な日本語の例を挙げると枚挙にいとまがありません。
 言葉は時代によって変化していきますから、現状でおかしいと感
じても、やがては正規な使い方として認められるような時代もくる
でしょうが、現状でおかしいと感じられる言葉づかいは、特殊なケ
ースを除いては避けたいものです。
 ここでは、日本語としての言葉づかいの誤りとたとえば、「今日、
もっとも○○に影響を与えているものの一つに××がある。」とい
う言い方も、厳密に言えばおかしいのです。
 最も=最上級であり、「ものの一つ」という言い方は論理的に矛
盾があります。厳密にいえば、「もっとも影響を与えているものに」
「大きな影響を与えているものの一つに……」くらいの表現を使う
ところではないでしょうか。
 こうした用語は、一瞬、読み手に不安を与え、読むリズムを断ち
切る結果になってしまい、記述された内容への注意を逸らす結果と
なります。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 梶 文彦(かじ ふみひこ)
 1944年生まれ。専門は経営技術・生産技術。経営雑誌の編集、
 経営コンサルタントを経て、現在、(有)生産技術情報センター
 を主宰。経営雑誌の編集、TV番組の構成とともに、製造業
 のコストダウンに関する指導やセミナー講師などを務める。
 著書に、「ミスターPの不思議な冒険」(くもん出版)、「成功
 の思考」(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

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−−3.ホームページ進化情報−−

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−−4.編集後記−−

 次回は、石川 晋さんによるゲスト論考を予定しています。
 お楽しみに!

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発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
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