メールマガジン「実践!作文研究」
第166号(2003.4.13)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第166号 2003年4月13日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、池内清さんの連載「上條晴夫氏の作文指導」の第3回を
お送りします。
 ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

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上條晴夫氏の作文指導
----「書けない子をなくす作文指導10のコツ」を読む(3)----
      「2.ハテナの文の指示をする」
                聖学院小学校  池内 清
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■はじめに

 前回は作文の書き出しを指示することのよい点を2点にまとめ考
察をした。今回は書き出しを疑問文にして書かせる作文指導のコツ
である。前回、前々回は以下を参照してもらいたい。
 
第1回 上條晴夫氏の略歴 まえがきを読む 目次を読む
第2回 作文指導は「指示」が命だ!「1.書き出しを指示する」
(http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/backlist.html)

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■作文指導は「指示」が命だ!「2.ハテナの文の指示をする」
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 ハテナの指示は、書き出しを与える指導の変形である(p17)のよ
うに、書き出しを疑問文にして子どもたちに書かせる作文である。
 例えば、「〜とは何か」という書き出しを与え、それに続く作文
を書くわけである。
 「書けない子をなくす作文指導」では「〜とは何か」の「〜」に
は上條氏は「クランボンとは何か」(p18)、「べんきょうすると頭
がよくなるか」(p19)といった書き出しを与える実践を紹介してい
る。
 書き出しを与えると子どもたちの作文は以下のような構成をと
る。(p19)
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 1.ハテナの文(学校で飼うのは、犬がいいか猫がいいか。)
 2.主張の文(犬だ。)
 3.証拠の文(犬は、見知らぬ人にホエる。)
 4.理由ずけの文(番犬になるからだ。)
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 このように、意見文を書くということになる。
 上條氏の作文実践の中で、「見たこと作文でふしぎ発見」(学事
出版)がある。この「ハテナの文の指示をする」は見たこと作文に
おいて効果を発揮する。
 見たこと作文を簡単に言うと、
 1)見たことを作文に書く。
 2)ハテナを見つける。
 3)ハテナを追究する。
である。この3)の過程で、「2.ハテナの文の指示をする」が有
効となる。
 しかし、上條氏の実践はそれだけにはとどまらない。
 子どもたちの「主張・証拠・根拠」のあいまいさをつくのである。
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 こういうあいまいさを持つ作文の中からおもしろい作文は生まれ
てくる。
 ハテナのはっきりした作文も引き出せる。
 子どもも教師も「証拠の文」に意識的になることである。
 ポイントはあいまいさに気づくことである。(p27)
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 見たこと作文には、このように、普段からの書き出しを与える作
文を子どもたちに書かせることによって、その書き方の技術を蓄え
させていたのである。
 事実、この本のまえがきには、次のように記されている。
『「見たこと作文」の観点から指導技術の見直しを行ってきた』つ
まり、この「10のコツ」で書かれている作文技術は全て「見たこ
と作文」の指導技術と言っていい。

■書き出しを与える作文指導への批判
 書き出しを与える作文指導でよく批判されるのが、「子どもたち
の作文が似たり寄ったりになってしまい、個性を感じられない」と
いうものがある。
 これは、書き出しに限らず、番号作文、三つある式作文など、作
文技術を教えると、決まって同じような批判があがる。
 しかし、上條氏の答えは明快である。
「書き方の技術を2つ3つ教えても、子どもたちの作文は変化しな
い。しかし、その技術を10こ教えると、子どもたちはその技術を
使い回すようになる(語録)」
 また、次のようにも言う。
「例えば、番号作文でも、形式は同じであるが、その子の気づき方
はその子独自のものである。形は同じであっても、その子の作文か
らしっかりと個性が読みとれる(語録)」
 そして、書けない子をなくす作文指導10のコツ」のは以下のよ
うに述べる。
「作文が形式的になるというような心配は、あまりいらない。
 子どもたちは、一つの形式に飽きてくると、勝手に書きやすい書
き方をするようになるからである(p14)」
 このように、書き出しを与えることからその子の作文の個性がな
くなるのではない。むしろ、子どもの作文をどういう視点で読むか
が問題となってくるのであろう。

■再び書き出しを与える作文指導
 前回、書き出しを与える指導のよい点を次のように書いた。
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1.子どもたちから書く抵抗をとることができる。
2.教師が書き出しの内容を選ぶことで子どもたちの作文の内容を
  ある程度コントロールできる。
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 では、なぜ、書き出しを与えることが、子どもたちから書く抵抗
をとることができるのであろう。
 確かに着手の負担を取り除くことが一番大きな理由である。しか
し、実はもう一つ理由がある。
 それは、「型をまねる」ことである。型とは文章の構成である。
文章の構成をまねるから書きやすくなるのである。
 例えば、「ハテナの文の指示をする」では、まねることは一見始
めの1行である。しかし、始めの1行を疑問文で書き始めたら、以
下には「主張・証拠・根拠」という構成で書くことになるのであ
る。つまり、子どもたちは書きながら、次に何を書けばいいのかが
容易にわかるようになるのである。
 もちろん、全員が全員そのような構成をとるとは限らないが、お
およそ、次に何を書けばいいのかを予測して書くことができれば
「子どもたちから書く抵抗をとる」ことはできるはずである。
 書き出しを与える指導とは、おおまかな構成を与える指導という
一面を持っているのである 

■参考文献
 上條晴夫著「書けない子をなくす作文指導10のコツ」(学事出
版刊1992年)
 上條晴夫著「見たこと作文でふしぎ発見」(学事出版刊1990年)

【今回の執筆者のプロフィールです】

 池内 清(いけうち きよし)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:授業づくりネットワーク(事務局員)
      全国教室ディベート連盟(理事)
      学習ゲーム研究会(HP担当)
      メディアリテラシー教育研究会(事務局員)

 主な著書:『小学校はじめてのディベート授業入門』学事出版
      『ディベートで学級会づくり』学事出版
      『学習あそびベスト50』たんぽぽ出版
       ほか多数
 ホームページ:『作文が好きになるHP』
       http://homepage2.nifty.com/m-age/ikeuchi/

       ◆       ◆       ◆

−−3.勉強会情報−−

○「実践!作文研究会 第4回オフ会」
 作文評価の研究・交流
 2003年5月4日(日) 新宿区四谷地域センター
 詳細→ http://www.jugyo.jp/sakubun/jsk/off4.html

−−4.編集後記−−

○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究会 2000,2003
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