メールマガジン「実践!作文研究」
第154号(2003.1.19)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第154号 2003年1月19日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさんこんにちは。
 今回は、佐内信之さんの連載「高校生のためのたのしい作文教室」
の最終回です。
 皆さんのご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「高校生のための楽しい作文教室」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

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高校生のための楽しい作文教室 第5回

   ことわざ作文
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■連載について

 今年度から小学校を休職し、大学院で研究できることになった。
また、その間、定時制高校で非常勤講師をする機会にも恵まれた。

 担当する科目は、2・3年生対象の国語II(受講者17名)と古典
(受講者21名)である。生徒の年齢は18才前後、さまざまなクラス
の生徒が集まる授業である。教科書を中心にした学習内容は定めら
れているものの、できる限り自己表現の場を設けたいと考えた。

 この連載を通して、小学校での経験を生かしながら、高校生でも
楽しく書ける作文指導法を探っていきたい。

■授業のながれ

 小学校と違い、高校には定期テストがある。テスト問題は授業で
学習した内容が基本である。しかし、一問ぐらいは自分の考えが思
い切り書ける場を設けたい。そこで、漢文「論語」の問題を作成す
ることにした。問題文に使われたのは、次のような文章である。
┌────────────────────────────┐
│ 先生が言われた。「三人で歩いてゆけば、必ずそのなかに自│
│分の師とすべきものがある。すなわち善なるものを選び取って│
│自分もそれに従うようにし、不善なるものを見ては我が身に反│
│省して改めるようにするのだ。」と。           │
└────────────────────────────┘
 この文章に対して、次の問題を設定した。
┌────────────────────────────┐
│ あなたの今までの体験の中から「善なるもの」「不善なるも│
│の」について、それぞれ、簡単に書きなさい。       │
└────────────────────────────┘
 つまり、自分が従うべき「善なるもの」と、改めるべき「不善な
るもの」を選び出して表現するのである。すると、自然に対照的な
事柄を選んで書く生徒たちが多かった。たとえば、以下のような作
品が出来上がった。
┌────────────────────────────┐
│【善なるもの】                     │
│ 自分より上の人の前で、ひかえめになれる。       │
│【不善なるもの】                    │
│ 自分より下の人に恐ろしいほど、でかい態度に変化する。 │
└────────────────────────────┘
 自分より立場が「上」か「下」かで、どのような態度を取るかの
問題を提起している。
┌────────────────────────────┐
│【善なるもの】                     │
│ ゴミを拾う人ですね。他人がすてたゴミ拾うってすごいです│
│よね。僕もできるだけそういうボランティアとか参加したいん│
│ですけど、朝弱いんですよ。               │
│【不善なるもの】                    │
│ ゴミを捨てる人です。ゆるせないんですよね。自分はあたり│
│前ですけどゴミを捨てるなんてぜったいしないです。    │
└────────────────────────────┘
 ゴミを「拾う」か「捨てる」の問題である。自分自身の問題とし
て考えている様子もうかがえる。
┌────────────────────────────┐
│【善なるもの】                     │
│ 中学時代の恩師。色々やんちゃをしたけれど、この人の教え│
│で、まともになってきた気がする。かなりイイ奴だよ!! 他の│
│人(先生)は、みんな、見て見ぬフリだけど、自分らみたく、│
│わるさするやつは。でも、この人は、みんな、対等にせっして│
│いた。                         │
│【不善なるもの】                    │
│ 中学の体育の教師。一、二年の時にきびしく、三年の時にや│
│さしくなる奴。卒業の時にいじめられるから、三年にあがると│
│どうじに、態度がかわる。毎年のことらしい。自分らの時もそ│
│うだった。                       │
└────────────────────────────┘
 普段、ほとんど作文を書いたことのない生徒の作品である。それ
だけに、教師として考えさせられる内容であった。

■伝言板

 正反対のエピソードを書くアイデアは、次の文献を参考にした。

 田村一秋「ことわざスピーチ」
 (『授業づくりネットワーク』一六九号 二〇〇〇年一月)
  http://member.nifty.ne.jp/m-age/txt/pcgame4.html
 拙稿「視点を変えて考える『ことわざスピーチ』」
 (『授業づくりネットワーク』一九二号 二〇〇一年七月)

 たとえば「二度あることは三度ある」「三度目の正直」という組
み合わせのことわざを使って、それぞれ自分のエピソードを紹介す
るスピーチである。

 今回は「ことわざ」というわけではないが、論語の「教訓」を題
材にして書く場を設定した。

■連載を終えるにあたって

 先日、一年間の授業感想を書く機会があった。次のような文章を
書いてくれた生徒がいた。
┌────────────────────────────┐
│ 何か、いつのまにか経っていた一年とでも言うべきでしょう│
│か。気付けばもうこんな季節になっていました。物書き見習い│
│の自分にとって、非常に有意義な授業だったことは確かです。│
│特に、先生の作ってきてくれるプリントの課題に『何て書こう│
│か』と毎回楽しみに悩ませてもらいました。一年間、お世話さ│
│までした。                       │
└────────────────────────────┘
 私の方も現場を離れていたこともあり、週一回の授業を楽しみに
していた。短い間ではあったが、授業に付き合ってくれた生徒たち
と、原稿を読んでくださった読者の方々に感謝しつつ筆を置く。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭(茨城大学大学院に在学中)
 所属団体:授業づくりネットワーク
      学習ゲーム研究会
      全国教室ディベート連盟など
 主な著書:『ワークショップ型総合学習の授業事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      『小学校ディベート授業がてがるにできるモデル立論
       集』(共著)など
      以上学事出版刊

       ◆       ◆       ◆

−−3.研究会情報−−

第5回コミュニケーション教育フォーラム開催のお知らせ

テーマ:「書くこと・考えることの指導を再考する」

開催趣旨:今回のフォーラムでは、書くというコミュニケーション
行為に焦点をあてて意見交換を行います。とくに、「誰に対して、
何のために、どう書くのか」「書くことと考えることはどう関連し
ているのか、させるべきなのか」といったことを考慮したうえで、
書く指導について再考したいと思います。どうぞふるってご参加く
ださい。

主 催: 東海大学・教育開発研究所(RIED)
期 日: 3月1日(土)午後1:15- 5:00(午後0:45受付開始)
申込締切:2月26日(水)必着(ただし定員になりしだい締め切り
     ます)
場 所: 東海大学・代々木校舎(2号館3階)
定 員: 90名 
参加費: 一般1000円、学園関係者500円
懇親会費:2000円(参加自由)

内 容:
◇基調講演&フォーラム 
 内田 伸子(うちだ のぶこ)氏(お茶の水女子大学教授)
 「書くこと・考えることの指導
              -発達心理学の視座からの考察-」
◇提言1&フォーラム
  井下 千以子(いのした ちいこ)氏(慶應義塾大学講師)
   「考えるプロセスを支援するための書くことの指導」
◇提言2&フォーラム
  刀祢館 正明(とねだち まさあき)氏
              (朝日新聞東京本社学芸部次長)
   「新聞記者として書く能力をどう磨いたか」
◇懇親会(5:15-6:45 4号館2階学生食堂)

申込み:1)氏名(ふりがな)、2)郵便番号・住所、
3)電話・FAX番号、4)勤務先、5)メールアドレス、
6)懇親会参加・不参加を明記のうえ、なるべく電子メールで
お願いいたします。電子メールで申込みいただいた方には、
受付確認のメールを差し上げます。
フォーラムに関するお問い合わせも以下へお願いいたします。   
E-mail:    ayoshida@ried.tokai.ac.jp(申込受付担当:吉田綾子)
電話・FAX: 03-3485-4958(松本研究室)

       ◆       ◆       ◆

−−4.編集後記−−

○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
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発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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