メールマガジン「実践!作文研究」
第140号(2002.10.13)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第140号 2002年10月13日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。
 「実践!作文研究」140号をお届けします。
 今回と次回の2回に渡って、「実践!作文研究会」大阪オフ会に
参加された川崎さんによる、オフ会の報告文をご紹介します。
 オフ会は、9月21日(土)に大阪市で、次の日程により行われ
ました。
 ●野浪正隆:「実践・文章表現論」
 ●上條晴夫:「作文ミニワークショップ」
 ●山崎一夫:「最近の若者作文―入社試験の現場から」
 川崎さんの報告のうち、今回は野浪さんの「実践・文章表現論」
についてご紹介します。上條さんの「作文ミニワークショップ」と
山崎さんの「最近の若者作文―入社試験の現場から」は、次回にご
紹介します。
 それでは、ご意見・ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.「実践!作文研究会」大阪オフ会報告−−
                        大阪・小学校
                          川崎直子

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 「実践!作文研究会」大阪オフ会報告(上)
                   川崎直子
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 MM上でも、多く学ばせてもらっていますが、日々専門に「日本
語の文」を取り扱っておられる方々の生声(なまごえ・・・言葉、
造りました。)でのお話は、とっても刺激になります。20数人で聞
くのはもったいない!電車に乗って、時間をかけて、参加費を払っ
て参加するだけの値打ちがあります。また機会がありましたら、み
なさん、ぜひぜひご参加下さい。
                         川崎 直子

オフ会構成

大阪教育大学教授(国語) 野浪正隆さんの話、参加者からの質問
上條晴夫さんの話とワークショップ
毎日新聞社 山崎一夫さんの話、参加者からの質問

★野浪さんの話★ 
(私自身の理解が浅く、野浪さんに後日、訂正・追加していただい
 た部分もあります。)

 「ぼくは遠足にいきました。楽しかったです。」
とは、子どもがよく書く作文です。この中の『遠足』という言葉は、
具体的であるようでいて、実は抽象的な言葉です。子どもたちは、
その言葉の中に 〈朝出発して、乗り物に乗ったり、いろんな人に
出会ったり、友達としゃべったり、お弁当を食べたり〉といった具
体的な事象をすべてまとめてしまっています。『遠足』ということ
ばから、具体的な中身を開いて、取り出していくということが作文
を書くということです。
 
《木原茂「文章表現十二章」(三省堂)より・・・》

 作文が上手になるためには、自分が文を書く前に、人の文を読ん
で、ひとかたまりの文章の中の一文ずつが果たしている役割を気づ
かせていくことも方法のひとつです。文は
    「描写」 「記述」 「説明」 「評価」
という4つの役割に分けることができます。
 文というのは、時間の流れに沿って書かれることが多いのですが、
よい文というのは、瞬時を切り取った「描写」の含まれている文で
す。そこに時間は流れていません。小説をたくさん読んでいる学生
の文章にはこれが現れてきます。

 「机の上にシャープペンシルがある。」

というのはそこにあるものの名前を言っただけで、抽象的な表現で
何も具体的にとらえていません。読む人の目に見えるようには、伝
わっていません。目に見えるように伝えるためには、対象を五感で
よく観察し、その色や形や手触りなど細かい点を書く必要がありま
す。

 「机の上に緑色のシャープペンシルがある(描写)。プラスチッ
クのなめらかな胴体は六面体で、先端から三分の一ばかりの所に幅
一センチの白い金属の輪がはまっている(描写)。そこに小さな窓
があって(描写)、今入っている芯の硬度を示すようになっている
(説明)。
    ・・・略・・・・
緑の胴体の一面には、FABERCASTELL・TK FINE 9715 GERM―
ANYと銀色に刻印されているが前半は摩滅してやっと読める程度
である(描写)。私の愛用久しいシャープペンシルである(説明)」

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(野浪さんより後日、注釈)

最後の文
  私の愛用久しいシャープペンシルである(説明)。
は、「愛用」という評価も入っていますね。そして、直前の文
  前半は摩滅してやっと読める程度である(描写)。
だけで、「使い込まれている」→「愛用」が読みとれる読者を想定
している場合は、書かないで読みとって貰う方が効果的です。
俳句は、描写だけで物事が書かれていて、その物事に対する思いは
書かないで読みとって貰うという文芸です。
ですから、
 「思い」を伝えるために、思いだけを書くのではなく、物事を描
写することが必要です。
 思いを書かなくても、物事を描写するだけで、思いが伝えられる
ことがあります。
(もちろん、読者に「読みコスト:読む労力」の負担を強いるので
すが)
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また、学習に使う文というのは、整然とした文より、いろいろな役
割の文があり、さまざまな解釈ができそうな文のほうがよいです。

《デジタルを利用した書き言葉の共有について》

 デジタルで書かれた文字はすぐに加工・再分配ができます。安価
で速く、低労働力で多くの人と共有していくことができます。児童、
生徒の生活の中にも、パソコン、インターネットの普及、浸透は目
ざましいものがあります。ぜひともデジタルの利用で、速く多くの
情報の共有を試みてください。電子掲示板やメーリングリストは使
っていて便利です。

「野浪さんの教えている大学生の文に成長は見えるのか」
という質問に対して。

経過した時間が短いので、見えにくいです。けれども文に対する
考え方、見方を学んだ後で学生自身が以前書いた文を見直すと、
本人には自身の文のまずいところに気がつきます。他人からは
見えない成長も、そういう形で本人は確認できます。

(上條さんの発言)
6年生になってから自分の4年生だったころの作文を読み返して
「今の自分ならどう書く?」という実践があります。子ども自身が
文を書くことへの自分の成長がはっきりわかる授業になります。

《不思議な話》
「ぼけと突っ込みは関西特有の文化か?」ということで野浪さん
が学生対象に実験的に文を書かせたそうです。結果は、やはり
関西の人は書けて地方に行くほど書けなかったそうです。本当
かなあ?(川崎)
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(野浪さんより後日、返信)

本当です。川崎さんは「京阪神」にお住まいですか?「近畿」で
すか?
大阪出身で筑波大学で勉強した同僚が
「あっちでボケたら本当にそういう人間だと受け取られてしまっ
て困ったことがあった。文化差あるでぇ。」
と言っていました。
次回の調査ではちゃんと出身地も書いて貰おう。
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《指導者への願い》
 文を書くということは、モデルとなる文を多く読んで、そこか
らまねていくことから始まります。だから読むことは大切です。
残念なことは、日本語には漢字の壁があり、本嫌いになる子が多
くいること。先生方は、授業でも学年の配当漢字にこだわらず、
子供たちをなるべく多くの漢字にふれさせてほしい。

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(野浪さんより後日追加)

授業では、総ルビ文章の入手法を説明します。
・小学生新聞(教育漢字だけ使われていて、総ルビ)
・フォア文庫などの小学生向けの文庫
・ビデオゲーム(ファミコン・プレイステーション)雑誌:ライ
ターは漢字配当表を考えずに書いている。読者層の年齢が小学校
低学年から高校生・大学生あたりまでだから。(常用漢字で書か
れていて総ルビ)

・一太郎の総ルビ機能を使って、総ルビ文書をプリントして配布
 する。
・ひらがなナビィを使う http://www.knowledgewing.com/kids/
子どもに使わせる/ 総ルビ機能を使って、総ルビ文書をプリン
トして配布する。(ルビ付きのページを作るのも簡単)

下二つは適当な文書があればor入力すれば、ルビ付き文書が作れ
ますので、「新潮の100冊」CDのような児童文学アンソロジー
(漢字制限無し)があればいいなぁと思います。
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                     (次号につづく)

【今回の執筆者のプロフィールです】 

川崎直子(かわさきなおこ)
大阪・羽曳野市立高鷲南小学校教諭
企業―中学校講師―専業主婦―小学校講師―企業―小学校教諭
と、ちょっと変わった経歴を持っています。

       ◆       ◆       ◆

−−3.「実践!作文研究」進化情報−−
        http://www.jugyo.jp/sakubun/

 おもしろ作文道場第88回は「たほいや作文」その5です。
 次の言葉を、辞書的に「らしく」説明する文を作る、というもの。

1.とろりん
2.ロドリン
3.ヒカル現象
4.あぼーん

 たくさんの解答をお待ちしています。

−−4.編集後記−−

○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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(C)実践!作文研究会 2002
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「『実践!作文研究会』大阪オフ会報告  

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