メールマガジン「実践!作文研究」
第136号(2002.9.15)


学力問題としての作文教育を考える
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 メールマガジン「実践!作文研究」
 第136号 2002年9月15日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。
 「実践!作文研究」136号をお届けします。
 今回は、佐内信之さんの連載「高校生のための楽しい作文教室」
です。第3回「接続詞作文」をお送りします。
 ご感想・ご意見・ご質問をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「高校生のための楽しい作文教室」−−
                        東京・小学校
                          佐内信之

============================================================
高校生のための楽しい作文教室 第3回

   接続詞作文
============================================================

■連載について

 今年度から小学校を休職し、大学院で研究できることになった。
また、その間、定時制高校で非常勤講師をする機会にも恵まれた。

 担当する科目は、2・3年生対象の国語II(受講者17名)と古典
(受講者21名)である。生徒の年齢は18才前後、さまざまなクラス
の生徒が集まる授業である。教科書を中心にした学習内容は定めら
れているものの、できる限り自己表現の場を設けたいと考えた。

 この連載を通して、小学校での経験を生かしながら、高校生でも
楽しく書ける作文指導法を探っていきたい。

■授業のながれ

 古典の授業で徒然草の第百八十六段「吉田と申す馬乗り」を学習
した。以下が本文である。
┌────────────────────────────┐
│吉田と申す馬乗りの申し侍りしは、「馬毎にこはきものなり。│
│人の力争ふべからずと知るべし。乗るべき馬をば、先づよく見│
│て、強き所、弱き所を知るべし。次に、轡・鞍の具に危き事や│
│あると見て、心に懸る事あらば、その馬を馳すべからず。この│
│用意を忘れざるを馬乗りとは申すなり。これ、秘蔵の事なり」│
│と申しき。                       │
└────────────────────────────┘
 参考のため、現代語訳も示しておく。
┌────────────────────────────┐
│吉田という名前のジョッキーが言っていたことには、「馬はそ│
│れぞれ人間の手に余るものだ。人間の力ではかなわないと知っ│
│ておくべきだ。最初に、これから乗る馬をよく観察して、強い│
│ところと弱点を知っておかなくちゃいけない。その次にくつわ│
│や鞍などの馬具に心配な点があって、気になってしまうようだ│
│ったら、その馬を走らせちゃいかんのだ。この用心を忘れない│
│人をジョッキーと呼ぶんだよ。これは大切な秘訣なんだな」と│
│言っていた。(http://www.tsurezuregusa.com/180/186.html
│               吾妻利秋訳「徒然草」より)│
└────────────────────────────┘
 このような古文の学習を行った後に、以下のような作文のワーク
シートを配布した。
┌────────────────────────────┐
|    ┌──┐   ┌─────────┐      |
│(1) どの|  |もみな|         |ものである。│
|    └──┘   └─────────┘      |
|      ┌───────────┐         |
│(2) だから、|           |と知るべきである。│
|      └───────────┘         |
|       ┌───────────────────┐|
│(3) たとえば、|                   |│
|       └───────────────────┘|
|     ┌─────────────────────┐|
│(4) また、|                     |│
|     └─────────────────────┘|
|                        ┌──┐|
│(5) したがって、この心づかいを忘れない人を本当の|  |│
│  と申すのである。              └──┘│
|         ┌─────────┐        |
│(6) つまり、これが|         |秘訣なのである。│
|         └─────────┘        |
└────────────────────────────┘
 要するに、古典で学習した内容をふまえて、現代風にアレンジし
た作文を書くのである。その際、ヒントとするのが「接続詞」であ
る。ただし、それだけの手がかりで生徒が古文を現代文に書き替え
るのは難しいと考え、以下の例示を行った。
┌────────────────────────────┐
│   佐内と申す猫好き                 │
│(1) どの猫もみな自分勝手なものである。         │
│(2) だから、人の力では、思うままにできないと知るべきであ│
│  る。                        │
│(3) たとえば、猫を飼うには、寝ているとき(一日の大半を占│
│  める)に無理矢理起こすと機嫌が悪いとか、愛想がいいの│
│  は餌をねだるときだけだとか、猫の習性をよく知らなけれ│
│  ばならない。                    │
│(4) また、繁殖期の猫を家に閉じこめておくのは互いにストレ│
│  スがたまるので、子猫をかかえてウロウロしたくなければ│
│  高い金を払って避妊手術をしなければいけない。    │
│(5) したがって、この心づかいを忘れない人を本当の猫好きと│
│  申すのである。                   │
│(6) つまり、これが猫を飼うときの秘訣なのである。    │
└────────────────────────────┘
 この例文を読み聞かせた後、生徒たちに投げかける。
┌────────────────────────────┐
│このように自分の好きなものをテーマにして作文を書いてみま│
│しょう。                        │
└────────────────────────────┘
 高校生ということで、好きなロックバンドなど、音楽系の話題を
選んだ作品が多かった。次に示すのは「Folder5」という女性5人
組アイドルグループについて取り上げた男子生徒のものである。
┌────────────────────────────┐
│(1) どのFolder5ファンもみな、じゅんすいに愛してるもので │
│  ある。                       │
│(2) だから、バカにされるとあつくなるということを知るべき│
│  である。                      │
│(3) たとえば、ライブに行くと知らない人とも、いきとうごう│
│  してしまう。                    │
│(4) また、会場での後片付けも、みんなで協力してきれいにす│
│  る。                        │
│(5) したがって、この心づかいを忘れない人を本当のFolder5 │
│  ファンと申すのである。               │
│(6) つまり、これがファンにとっての秘訣なのである。   │
└────────────────────────────┘
 (2)から(3)への接続が少し不自然に感じられる。「たとえば」で
はなく「けれども」「その代わり」などの言葉を入れた方が良さそ
うな内容である。

 しかし、(3)(4)のライブにおけるファン交流を例にして、(1)(2)
のようなファン心理を表現したと読むこともできる。

 いずれにしても「本当のFolder5ファン」である生徒の熱い想い
が伝わってくる作品である。

■伝言板

 接続詞を柱に書式を設定して書く作文のアイデアは以下の文献を
参考にしている。
  大谷秀夫「きみにも書ける〈接続詞〉作文法」
            (『たのしい授業プラン国語』仮説社)

【今回の執筆者のプロフィールです】

 佐内信之(さない のぶゆき)
 東京・新宿区立鶴巻小学校教諭(茨城大学大学院に在学中)
 所属団体:授業づくりネットワーク
      学習ゲーム研究会
      全国教室ディベート連盟など
 主な著書:『ワークショップ型総合学習の授業事例集』(共著)
      『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』(共著)
      『小学校ディベート授業がてがるにできるモデル立論
       集』(共著)など
      以上学事出版刊

       ◆       ◆       ◆

−−3.実践!作文研究会オフ会in大阪のお誘い−−

 2001年12月にスタートした「実践!作文研究会」(代表:
上條晴夫)は約160名の会員が、ほぼ毎日、メーリングリスト上
で作文教育について情報交換をしています。
 この度、大阪で研究会オフ会を開催することになりました。4月
21日に第4回授業づくり先端技術開発会議として実施をした東京
オフ会(約40名参加)に続いて2度目の試みです。ぜひたくさん
の方の参加をお待ちしています。「実践!作文研究会」の会員以外
の方でも作文に興味があれば参加できます。
 ふるってご参加ください。

目 的:作文教育活性のため作文及び作文指導法の情報交換をする。
日 時:2002年9月21日(土)

■勉強会:13時〜17時

 ●野浪正隆:「実践・文章表現論」(13:00〜15:00)
  内容:「文章表現論」早わかり(30分)、
     「学生を対象にした文章表現指導」の実際(60分)、
     文章表現に関するQ&A(30分)。
  講師プロフィール:大阪教育大学教授。高校で11年間国語科教
           員として「国語という名の文章表現論」を
           教える。その後、大学へ。より本格的な文
           章表現論の研究と指導を開始する。「現在
           のコンピュータ環境には文章表現研究が不
           可欠」が持論の一つである。

 ●上條晴夫:「作文ミニワークショップ」(15:10〜15:40)
  内容:発想指導にもつながる「番号作文」のワークショップを
     実施する。参加者全員でテーマを決めて番号作文を書く。
     発表する。
  講師プロフィール:小学校教師十年の後、教育ライター。
           著書に『作文指導10のコツ』『作文指導20
           のネタ』などがある。現在、埼玉大学非常
           勤講師として「生活科指導法」「総合的学
           習」も指導する。

 ●山崎一夫:「最近の若者作文―入社試験の現場から」
                     (15:45〜17:00)
  内容:入社受験生の作文を素材に、若者作文の特徴について語
     る。文章のプロが見た若者作文の傾向と入試作文の対策
     を紹介する。
  講師プロフィール:1973年、毎日新聞社入社。大阪本社で
           社会部記者、科学部デスク、社会部デスク、
           阪神大震災直後の阪神支局長を経て特別報
           道部長、2000年4月から、代表室次長
           兼人事・総務部長。

■懇親会:18時〜20時

場 所:勉強会…大阪教育大学天王寺キャンパス大会議室
    最寄り駅情報:環状線寺田町駅より徒歩5分
    懇親会…未定
参加費:2000円(勉強会)
参加者:20人(先着)
申込先:「授業づくりネットワーク・実践!作文研究会」
                      大阪オフ会事務局
    担当:高井和枝(Eメール:kazue@arteyes.co.jp
    メールに
    「氏名・所属・住所・アドレス・懇親会参加の有無」
    などを書いて上記担当までお申し込み下さい。
    下のホームページからも申し込めます。
    http://www.jugyo.jp/sakubun/jsk/off.html

−−4.編集後記−−

○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌は次の配信システムを利用して発行しています。
 まぐまぐ http://www.mag2.com/ 0000023841
 Pubzine http://www.pubzine.com/ 8460
 melma! http://www.melma.com/ m00014780
 macky! http://macky.nifty.com/ 23841
 メルマガ天国 http://melten.com/ 1930
 E-Magazine http://www.emaga.com/ sakubun
 カプライト http://kapu.biglobe.ne.jp/ 851
 めろんぱん http://www.melonpan.net/ 000879
 ティアラオンライン http://www.tiaraonline.com/ m102212

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
メールマガジン「実践!作文研究」No.136 2002/9/15 読者数3238
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究会 2002
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「「高校生のための楽しい作文教室」     

「第136号の感想」を書く 戻  る トップページへ

メールマガジンのご案内へ