メールマガジン「実践!作文研究」
第127号(2002.7.14)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第127号 2002年7月14日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。
 「実践!作文研究」127号をお届けします。
 今回は、荒谷 慈さんの連載「プロが教える作文指導」の第3回
です。今回が最終回となります。荒谷さん、ありがとうございまし
た。

〈第1回〉
第109号… http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/109.html
〈第2回〉
第118号… http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/118.html

 それでは、皆さんからのご意見ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載・プロが教える作文指導−−
                      編集者・ライター
                          荒谷 慈

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プロが教える作文指導〜ミニ作で文を好きにさせる。
第3回  初めて書かせる読書感想文
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■感想は?と聞いても「おもしろい」か「つまらい」しか出てこな
いもの。

課題図書も発表され、いよいよ感想文の時期ですね。
今回は、私自身が、実際に、四苦八苦しながら、子どもたちに感想
文を書かせた方法を、ご紹介します。

作文は、「自分が主人公であり、自分が体験した、見た、調べた」
ことを書けばよいのですから、「手順」、「様子」、「会話」、
「場所」、「天気」などなど、生の材料はあるものです。
ところが、読書感想文というのは、「私が本を読んだ」という行動
はしているものの、その行動のことを書くわけではないので、何を
書けばいいのか、わかっていません。

しかも、今の子供たちは、「感動」が希薄!
日常生活においてさえ、「おもしろい」「つまらない」の2つの言
葉しか使っていないのですから、単純に、
「この本はおもしろかった。おもしろくなかった」
のいずれかしか出てきません。
しかも、「誰が何をしたところ」という絞り込んだ部分を「おもし
ろい!」というのではなく、「なんとなくおもしろかった」なの
ですから、困ったものです。

そういう子どもたちに、さあて、どうやって感想文を書かせたらい
いものか?どこからはじめたらいいものか?

■失敗その1 「本より先生の顔がおもしろい!」

まず私がやったのは、
『私が、本を読んで聞かせる』。
だいたい、「あと何ページ・・」と数えながら読んでいるぐらいで
すから、それじゃ、字を追っているだけで、中身なんて味わってい
ない!そこで、興味を持たせるために、トーンを変えたりしながら
読んであげれば、少しは「感動もするだろう」と思ったのです。
読んでいくうちに、子どもたちの目が、輝き出したので、「お、こ
れはいいかも!!」と思ったのですが。出てきた感想はというと、

「先生の読み方がめちゃくちゃおもしろかった!」
「顔がおもしろかったよ!」
「先生さ、アニメのせいゆうになれば」

私の顔ばかり見ていて、内容はさっぱりわかっていない!という結
末だったのです。
しかも、私の真似をして、「あれ〜〜〜」「そうだったのか!」な
ど、本の中のせりふを子どもたちもおもしろおかしく言い出して、
その時間は、お叫びの時間に変わってしまったのでした。

■失敗その2 「感想用紙は、超難問文章問題だった」

次に試したのは、『こちらで用意した「感想用紙」に、書かせる』。
「本に出てきた人で、一番好きだなと思った人。笑ってしまったと
ころ。フシギだなと思ったところ・・・・。」というように、あら
かじめ私のほうで質問を30個ぐらい設定し、それに記入させる手
段を取ったのです。

こうすれば、少なくとも子どもたちが、記入した回答から、さらに
「どうしてフシギだと思ったの?」と、質問していけば、その子の
「感想の材料」を集めることができるだろうと思ったのです。

「お、結構、セッセと書いてる。これは成功かな?」
ところが、「先生!書ききれないから、紙ください!」「え?」

覗いてみると、たとえば、「フシギだなと思ったところ」という質
問に対して、私のほうは、「明子がお母さんに、○○○○と言った
ところ」というように、一行程度で書くだろうと思っていたのです
が、本の文章をびっちりと写している子、あらすじを書き出してい
る子がほとんどなんです!

「え〜〜〜っと、そうじゃなくって・・・」と説明しても、理解で
きず!
「じゃ、聞くけど、この本って、どんなことが書いてある本?」
「小学3年生の明子という子が、おばあさんに会って、そのおばあ
さんが、歌が大好きで、あるひ・・・・」
と、またまた、長い長いあらすじ回答。

これならバッチリだろうと思ったこの策は、子どもたちにとっては、
超難問文章問題だったのです。
「これもダメか・・・」

■感想の種がどんどん出てきた質問とは?

どうすればいいんだろぉおお!!さすがの私も泣きたくなってきて、
「みんなさ、この本、誰が選んだの!?」と、ちょっぴり強い口調
で聞いたのです。(半分怒り入り)
すると!
「お母さん!」「私!」
この時間初めて元気の良い回答が出てきました。

「他にもたくさん本があったと思うけど、どうしてこの本に決めた
の?」
「表紙がきれいだったから」
「字が少なくて、すぐ読み終わると思ったから」
「ボク、サッカー選手になりたいから!」
「この本のアニメを見たことがあるから」
「お姉ちゃんがこの本で、前、コンクールに入賞したから」
「前にも同じ作者の本を読んだから」

おやおや、どんどん出てくること!

「じゃあさ、今言ったこと、まず最初に書いておこうか。」
「はーい!」

「私は、この本をお母さんと一緒に買いました。なぜこの本にした
かというと、一度同じタイトルのアニメを見たことがあったからで
す。」

「私のお姉ちゃんが、3年生のときに、この本の読書感想文を書い
て、コンクールに入賞しました。だから、私が3年生になって、絶
対にこの本の感想文で、コンクールに入賞したいと思って、この本
に決めました」

「お母さんが、この本のタイトルを見て、これにしなさいといいま
した。ボクがわすれものが多いので、ぴったりだといいました。で
も、よんでみて、ボクはこのねずみさんより、ひどくないと思いま
した。」

ついさっきまで、頭を抱えていたのに、「これでいけそうだね!」
と思ったのはいうまでもありません。
この本に決めたワケだけでも、十分、「その子どもならでは!」の
言葉が出てきているのですから。

それからというもの、まずは、「その本を選んだわけ」から、聞く
ことにしたのです。

■作文力がある子が感想文が上手とは限らない

この他では、「登場人物の誰かに、お手紙を書いてみよう!」。
「手紙」という形をとると、
「どうして、あのとき、やめてしまったの?」
「私にもおばあちゃんがいます。」
などなど、疑問に思ったことや、登場人物との共通点などが、おも
しろいぐらい出てくるんですね。
書いた手紙を元にして、感想文に書く内容を決めていけばいいわけ
です。

ただ、指導するにあたり、難しいのは、「その子ならでは!」の
感想の種を、できるだけ原型のままで出してあげつつ、まとめて
あげることなんです。
ちょっと、大人が指導すると、せっかくの子ども「感想」が、
「ふつうの感想」になってしまうんですね。

コンクール入賞作品を読むと、「よくまとまっているし、立派な
ことは書いてあるけれど、その子にしかない感想、感動が、見え
ない」というものがあります。
頭の良い子は、そういう入賞作品の感想文を読んで、「こういう
感じに書けばいいのか」と、似非感想文を上手に書く場合もあり
ます。
まあ、それはそれで、素晴らしい文章力ではあるとは思いますが、
私は、読書感想文に関しては、たとえ、文法上少々おかしくても、
その言葉が辞書に載っていなくても、正しません。だって、それ
が、「その子だけの感想・感動」の表現なのですから。

いずれにしても、読書感想文の指導は、「感動させる」ことから
はじめないとならないので、かなり疲れます(^^;
普段の生活で、「感動の種」を見つけることができるようにして
おくと、本人も(指導者も)、もうちょっとラクにうなれるとは
思うのですが。


【今回の執筆者のプロフィール】

名前 荒谷 慈(あらや めぐみ)・茨城
略歴 大学在学中に、新聞、雑誌の記者に。その後、出版社に就職、
     1年後に、女性月刊雑誌を創刊、編集長を務め、半年で20万
   部の全国雑誌とする。同社にてその他月刊誌、書籍などの編
      集を手がける。現在は、企画編集会社 ベストブレーン
     代表取締役兼ライター、編集人、企画人。
主な著書:
    すぐに使えるEメール文例事典(IDCコミュニケーションズ)
  バカができる男ほど女にモテる!(ベストセラーズ)
    失恋パワーの正しい使い方(大和出版)
    つまりあなたは結婚に向いていない(小学館)
    出会いでわかる恋の結末(廣済堂)他多数
子供を対象とした活動
    こども記者クラブ、こども作文教室主宰
E-mail araya@opoco.com
URL http://www.opoco.com/

       ◆       ◆       ◆

−−3.「実践!作文研究」進化情報−−
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 た。この機会に相互リンクされる方、連絡をお待ちしています。

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−−4.編集後記−−

○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
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編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究会 2002
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