メールマガジン「実践!作文研究」
第126号(2002.7.7)


学力問題としての作文教育を考える
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 メールマガジン「実践!作文研究」
 第126号 2002年7月7日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。
 「実践!作文研究」126号をお届けします。
 今回は、池内 清さんの連載「実践!授業感想文」の最終回です。
〈第1回〉
第108号… http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/108.html
〈第2回〉
第117号… http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/117.html
 それでは、皆さんからのご意見ご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「実践!授業感想文」−−
                        東京・小学校
                          池内 清

============================================================
 実践・授業感想文
  ------上條晴夫氏の授業感想文を追試する(3)------

              私立聖学院小学校  池内 清
============================================================
 今回は「実践・授業感想文」の最終回である。次に前回までの内
容を記しておいたので参考にしていただきたい。
 第1回・・・授業感想文の書き方、運用の仕方。
 第2回・・・授業感想導入の授業、番号作文を使った授業感想文
 今回は、授業感想文の応用として、「3つある式」と「授業レ
ポート」の紹介をする。
 
■「3つある式」による授業感想文

 5年生4月後半、ゴールデンウィーク前の国語の授業である。
 授業感想文の書き方にも慣れてきたので、「3つある式」の書き
方を教え、今までの国語の授業全体を振り返っての授業感想を書い
てもらった。
 「3つある式」の書き方とは国分一太郎著「みんなの綴り方教
室」(新評論・1973年)で紹介されている書き方である。
 簡単に言って、
 「私には3つの悪いくせがあります。/ひとつめは、・・・。
/(その詳しい説明)/ふたつめは、・・・(以下同様)
という書き方である。

 これを参考に次の書式を与えて、授業感想を書いてもらった。
┌────────────────────────────┐
| 国語の授業で、「これいいな」と思ったことは3つある。 |
| 1つめは、・・・                   |
| (くわしい説明)                   |
| 2つめは、・・・                   |
| (くわしい説明)                   |
| 3つめは、・・・                   |
| (くわしい説明)                   |
| 簡単な感想                      |
└────────────────────────────┘
 400字の作文用紙を配り、正味10分で書く。
 すると、子どもたちはバンバン書くようになる。およそ九割の子
どもが作文用紙いっぱいに書くことができた。
 典型的な感想文を一つ紹介する。
┌────────────────────────────┐
| 国語の授業で、「これいいな」と思ったことは3つある。 |
| 1つめは、先生のボケにつっこみを入れるのがうまくな  |
|った。                         |
| 友達につっこみを入れる時、前は言葉を探すのに迷ったけれ|
|ど、今はおもしろい言葉がぽんぽん飛び出してくるようにな |
|った。                         |
| 2つめは、いろいろな言葉の意味を学習した。      |
| 家族で話している時、「この言葉の意味どういう意味」と聞|
|かれると、すぐに答えられるようになった。        |
| 3つめは、どんなところが大切かを学習した。      |
| 1回めの時は、当てずっぽうで、「あ、ここかな」という感|
|じだったが、最近は、「お、ここだ」と思えるようになった。|
| 国語の授業を通して、いろいろな知識が頭に入ってきて、す|
|ごくうれしい。                     |
└────────────────────────────┘
 自分の成長を感じさせる授業感想である。短いエピソードを入れ
て書いているのがとてもいい。
 「3つある式」の書かせ方は、番号作文の発展形と考えることが
できる。今までは、(1)・・・(2)・・・と書かせていたもの
に簡単な理由を添えるだけでいいのである。
 また、「3つ」と限定することにより、子どもたちは何を書くか
を考えながら作文しているようである。
 
■授業感想文から授業レポート

 上條氏は『「教師のための文章講座1 楽しい学級通信の書き
方」』(学事出版刊・1994年)で次のように述べている。
┌────────────────────────────┐
| ところで、もし授業感想文をより完全な形にしようとする |
|と、次の二つがいる。                  |
|┌──────────────────────────┐|
||A 授業のあらすじ                 ||
||B 感想                      ||
|└──────────────────────────┘|
| しかし、両方を要求すると子どもの負担が大きくなる。  |
└────────────────────────────┘
 確かに、授業のあらすじまで書かせると気楽には書けないであろ
う。
 そこで、子どもの負担を少しでも少なくするために以下の書き方
を教える。(私のクラスでは、以下の書式で書くことを「授業レ
ポート」と呼んでいる)
┌────────────────────────────┐
|   授業レポートの書き方(作文用紙1枚の場合)    | 
|                            |
|予告文・・・(これから何を書くか・・・2行程度)    |
|事実文・・・(その時間に何を学んだか・・・12行程度) |
|考察文・・・(学んだことに対する気づきや感想・・・3行 |
|       程度)                  |
└────────────────────────────┘
 ポイントは次の3点である。
 (1)予告文・事実文・考察文と3部構成にする。
 (2)各文に、何を書くかを示す。
 (3)各文の規模を教える。
 詳しい指導過程は省くが、このような書式を与えることで、次の
様な「授業レポート」が書けるようになる。
┌────────────────────────────┐
| 国語授業レポート(4月16日 5年男子)       |
| 今日の国語の授業では、教科書を使いました。教科書の  |
|『「読む」ということ』というところです。        |
| さっそく4色ボールペンで線を引きます。        |
| 先生から2つ学びました。               |
| 1つめは、大事なところには囲みをつけたり◎印をつけたり|
|することです。                     |
|2つめは、本に書き込みを入れながら読むということです。 |
|ぼくがやってみたいこと思ったことは、3こありました。  |
|(1)大事なところに◎や囲みをいれることです。     |
|(2)本に書き込みを入れることです。          |
|(3)教科書に書いてあることをなるべくやることです。  |
| ぼくは、あまり本を持っていないけれど、本に書き込みをし|
|ながら読んでみたいです。そしてこれから習うことも、日記や|
|作文にいろいろと役立てていきたいです。         |
└────────────────────────────┘
 授業レポートの書き方を教えてまだ間もないときの作品である。
 作文にキズはあるものの、授業感想文の書き方がかなり影響され
ていることが読みとれる。
 一時間の授業で何を学んで、自分は何を考えたがよく分かるレ
ポートになっている。
 
■実践・授業感想文を終えるにあたって

 以前、同僚の先生に「授業感想文を追試しているが、どうもうま
くいかない」と言われた。
 「おかしいな」と思い、少し詳しく話を聞いてみることにした。
 すると、はじめは授業中に書かせていたが、しばらくすると、全
て家庭学習の中で書かせているとのことであった。授業後半5分を
とるのができないと言う。また、そこに書いてあることがつまらな
いと言う。
 
 「なるほどな」と思った。授業感想文を書くと、はじめのうちは
私の場合でも他愛もない感想を子どもたちは書いてくる。しかし、
それを続けていくうちに、子どもたちが授業中どんなことを考えて
いるか授業感想文の中から読みとれてくる日がくる。少し工夫をし
た授業の時は、おもしろい授業だったと書くし、準備をせずにだら
だら行うとつまらないと書く。子どもは正直である。
 だから、教師が読んでおもしろいと思う感想を書かすにはやは
り、いい授業をしないといけないし、子どもたちも書く張り合いが
見つけにくい。
 作文は子どもたちが自分の頭を使って書く。自分の世界の中で書
く。だから、へたをすると「井の中の蛙」になりかねない。そこで
必要となってくるのが、他の子どもたちがどんな書き方をしている
かを子どもたちが学ぶことである。
 
 それには、およそ2つある。
 1)授業の時に1人でも2人でもいいから、その書いた作文を読
み聞かせする。そして、評価をしてあげること。
 2)学級通信を利用して、子どもの作文を紹介すること。これも
単に紹介するのではなく、なぜこの子の作文がいいのか、教師がコ
メントを必ずつけること。
 
 ただ書かすだけでももちろんいい。しかし、書き慣れを促すため
には、書かせるほかにこのような工夫をすると、子どもたちの書き
慣れはぐっと加速するはずである。

 授業感想文は必ず時間をとって授業中に書かせる。書いた時に典
型的な感想文を教師がコメントを入れ、読み聞かせする。毎日1時
間、国語でも、算数でも、どの教科でも構わないからこの作業を続
けることで、子どもたちの作文の力はぐんぐん伸びていくはずであ
る。

 この連載を参考にぜひ、みなさんの教室でも「授業感想文」の実
践を行ってもらいたい。

 
【今回の執筆者のプロフィールです】

 池内 清(いけうち きよし)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:授業づくりネットワーク(事務局員)
      全国教室ディベート連盟(理事)
      学習ゲーム研究会(HP担当)
      メディアリテラシー教育研究会(事務局員)

 主な著書:『小学校はじめてのディベート授業入門』
      『ディベートで学級会づくり』
      『論理的な表現力を育て学習ゲーム』(共著)
       以上学事出版刊 など多数
 ホームページ:『作文が好きになるHP』
       http://homepage2.nifty.com/m-age/ikeuchi/

       ◆       ◆       ◆

−−3.「実践!作文研究」進化情報−−
        http://www.jugyo.jp/sakubun/

○「おもしろ作文道場」は第74回「ニュース速報??」です。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/toko/q-73.html

○「実践!作文研究会」の概要、主旨、入会フォーム等はこちら。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/jsk/

       ◆       ◆       ◆

−−4.編集後記−−

○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
○HPやMLなどへの無断転載は固くお断りします。
 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
○本誌の読者登録・解除・アドレス変更・バックナンバーは、
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/ まで。
○本誌は次の配信システムを利用して発行しています。
 まぐまぐ http://www.mag2.com/ 0000023841
 Pubzine http://www.pubzine.com/ 8460
 melma! http://www.melma.com/ m00014780
 macky! http://macky.nifty.com/ 23841
 メルマガ天国 http://melten.com/ 1930
 E-Magazine http://www.emaga.com/ sakubun
 カプライト http://kapu.biglobe.ne.jp/ 851
 めろんぱん http://www.melonpan.net/ 000879
 ティアラオンライン http://www.tiaraonline.com/ m102212
 ゴザンス http://www.gozans.com/ sakubun

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
メールマガジン「実践!作文研究」No.126 2002/7/7 読者数2716
編集主幹者 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp
発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
HP: http://www.jugyo.jp/sakubun/
(C)実践!作文研究会 2002
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「実践!授業感想文   

「第126号の感想」を書く 戻  る トップページへ

メールマガジンのご案内へ