メールマガジン「実践!作文研究」
第121号(2002.6.2)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第121号 2002年6月2日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。
 「実践!作文研究」121号をお届けします。
 今回は、木越憲輝さんの連載「日記指導おもしろネタ集」です。
 第3回「相手視点日記」をお送りします。
 皆さんのご意見やご感想をお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載・日記指導おもしろネタ集 3−−
                        東京・小学校
                          木越憲輝

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日記指導おもしろネタ集
         「相手視点日記」

                聖学院小学校  木越 憲輝
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■相手視点日記とは

 相手視点日記は、なりきり作文の1つである。
 相手とは、ここでは、自分が話した相手を指す。
 話し相手の立場にたって、話し相手の視点で自分の様子を書く。
日記の中に自分自身を登場させることが条件である。
 つまり、自分の行動や言動を他人から見たらどう書くかを考えな
がら書く日記だ。
 以下に作品例を示す。
┌────────────────────────────┐
│                       作:児童K│
│なる人:お母さん                    │
│ わたしがうとうとしていると、Kが帰ってきた。     │
│ わたしは、げんかんにあるせいきょうの箱を入れるのを手伝│
│わせた。                        │
│ 今日はようち園とベルマークボランティアでつかれていた。│
│ そうしたら、kに                   │
│ 「おやつ、おやつ」                  │
│と言われた。わたしはちょっと休んでから、おやつをあげた。│
│ そして、コーヒーを飲んでニュースを見た。       │
└────────────────────────────┘
 この日記を書くことを通して、自分の行動や言葉を客観的に見直
す機会になる。また、徹底してなりきることで立場を意識した思考
を鍛えることができる。

■指導例

(1)視点の指導

 小学4年生である。
 国語教科書4年上「春のうた 作 草野心平」(光村図書)で
作者の視点を学んだことをきっかけに、視点を変える練習をした。
『「視点を変える」訓練で力をつける』三森ゆりか著(明治図書)
44ページと71ページを参考にして2時間の作文の授業を行った。
 1時間目は、歯医者と患者がそれぞれの立場で同じできごとを書
くとしたら、という設定での作文。
 2時間目は、「赤ずきん」の物語を題材にした。オオカミが書
くとしたらどんな「赤ずきん」の物語になるか、あるいは、赤ずき
んちゃんが書くとしたら、どんな「赤ずきん」の物語になるのかを
作文する。「私・ぼく=オオカミあるいは赤ずきん」を強調して書
かせた。

(2)他人日記

 他人日記を宿題にする。
『だれでも書ける作文ワークシート小学校中学年』上條晴夫著
(学事出版)16ページの「他人日記」を追試した。
 宿題はプリントにして配布した。
その際プリントに書いた説明は以下の通り。
┌────────────────────────────┐
│他人日記                        │
│ 自分のよく知っている『他人』になって日記を書きます。 │
│他人とは自分ではない人』くらいの意味ですから、家の人の │
│うちの誰かがよいでしょう。その人をよく見てよく観察してか│
│ら書きましょう。                    │
│ 書き出しに『なる人:おばあちゃん』などと書いてから、日│
│記を始めます。徹底して、その人になりきってくださいね。 │
│『わたし、ぼく=なる人』ですよ。            │
└────────────────────────────┘
 次の日に提出された児童の作品を読むと、自分自身(書く本人)
のセリフが入っているものがとてもおもしろかった。
そこで多少宿題の出し方を変更して、日記を書かせることにした。

(3)他人日記から相手視点日記へ

 下の文は、宿題にした次の日に提出された児童Mの他人日記だ。
相手視点日記の宿題を出す日に、これをクラスで読み聞かせた。
┌────────────────────────────┐
│                       作:児童M│
│なる人:お姉ちゃん                   │
│ 私は、原あずさちゃんたちと水道の所で話してたら、妹が │
│私の方へ走ってきた。そして妹は言った。         │
│「今日から『サザエさん』かりられなくなったんだよ!」  │
│「ええっ」                       │
│ と答えた。                      │
│『サザエさん』をかりられなくなっちゃうのイヤだー!と思っ│
│た。                          │
│ それからなんでだろうと原さんたちと相談した。     │
└────────────────────────────┘
『自分が登場しているのがとてもおもしろいです』
『「 」を使っているのもよいですね。』と児童Mを褒める。
 相手視点日記の宿題を出すことを伝え、次のように他人日記との
違いを伝えた。
『Mさんのように必ず自分を登場させて書きましょう。
 今回は、他人とは、自分と話している相手とします。
 他人(相手)から見た自分を日記に書いてみましょう。
 相手が自分をどう見ているかよく考えて書いてみましょう。』
 そして、次の日に提出されたのが、児童Kの作品だ。

■考察

 相手視点日記を書かせてみて良かった点を2点述べる。

(1)授受の関係を言葉で書き表すことができるようになる。
  自分の行為を書き表す際、その表現の仕方を工夫することが多
  くなる。例として「言う」を「言われた」に変換していた。こ
  のように立場が逆になると「する」が「される」に変わること
  を日記の中で使うようになった。

(2)話し言葉をリアルに書き取ることができるようになる。
  話した相手という限定により、話し言葉の言葉がはっきり詳し
  く書き取るようになった。また日記中の会話文が多くなった。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 木越 憲輝(きごし のりき)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:学習ゲーム研究会
 著書:蔵満逸司・上條晴夫編『小学校算数の学習ゲーム集』
                       (学事出版)

       ◆       ◆       ◆

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−−4.編集後記−−

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