メールマガジン「実践!作文研究」
第117号(2002.5.5)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第117号 2002年5月5日発行(毎週日曜日発行)
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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。
 「実践!作文研究」117号をお届けします。
 今回は、池内清さんの連載「実践!授業感想文」の第2回をお送
りします。皆さんのご意見やご感想を、お待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「実践!授業感想文」−−
                        東京・小学校
                          池内 清

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 実践・授業感想文
  ------上條晴夫氏の授業感想文を追試する(2)------

              私立聖学院小学校  池内 清
============================================================

 前回は、授業感想文の書き方、運用の仕方を中心に紹介した。
 今回は、私の実践例をもとに授業感想文を考察していきたい。
 
■授業感想文はじめの授業

 5年生4月当初の国語の授業である。
 この日は、ノートの書き方を中心に指導した。
 そして、授業の10分前に授業感想文の書き方を説明し、実際に
書いてもらった。
 黒板に、以下のように書く。
┌────────────────────────────┐
| 次の書き出しで、感想文を書きなさい。         |
|┌──────────────────────────┐|
|| 今日の国語は、○である。             ||
|| どうしてかというと、・・・・・。         ||
|└──────────────────────────┘|
| ○の中には、1〜5の数字が入ります。時間は、5分です。|
└────────────────────────────┘
 以下の4点の説明する。
・今日の授業の感想を書きます。
・○のところには、1から5までの数字を書きます。
・「とってもおもしろかった」が5、「ふつう」が3、「ち〜とも
おもしろくなかった」が1です。
・「なぜかというと」の後に自分がつけた5段階評価の理由をたく
さん書きます。

 説明を終えると、A4のコピー用紙を2つに切った紙を配る。
 その紙に、「国語授業感想」「名前」を横書きに書くように指示
をする。
 ここまで、全員が終わったところを見計らって、「ヨーイ、ド
ン」で一斉に書かせた。
 一気に鉛筆が動くかと思ったが、鉛筆を持ちながら、黒板を眺め
ている児童が少なからずいる。
 一人の子に聞くと「書き出し」の意味が伝わっていないことが分
かった。
 追加の指示をする。
 『全員、黒板の「今日の国語は、」までを書き写します』
 『そして、○に数字を書きます』
 1から5までの数字の意味ももう一度繰り返し、確認した。
 何しろ、4月当初の授業である。書き出しを与える指導は全学年
では行っていなかったようだ。
 好意的な、作品例をあげる。
┌────────────────────────────┐
| 今日の授業は5だ。                  |
| どうしてかというと、・・・・・            |
|線を書いたり、ページ数を書いたりするのが競争みたいで、 |
|とっても楽しかったからです。              |
| またやりたいと思います。               |
└────────────────────────────┘
 国語のノートの使い方を中心に教えた授業である。ノートにペー
ジ数を書かせたことを、「競争みたい」と感じている。短い文章で
あるが、授業に対して、前向きに考えている気持ちが伝わってくる
文章である。
 次の作品例は、「理由をたくさん書きなさい」と言った指示に対
して反応したものである。
┌────────────────────────────┐
| 今日の国語の授業は3である。             |
| どうしてかというと、・・・・・            |
|○とってもおもしろかったり、おもしろくなかったり、いろい|
|ろあってよかったです。                 |
|○今日の勉強ははじめてだったので、ちょっと数字をつけるの|
|はどうすればいいのか、と思いました。          |
|○これからもがんばりたいです。             |
└────────────────────────────┘
 「○」をつけて箇条書きを意識した書き方である。
 上記2例で、「どうしてかというと、・・・・・」となっている
のは、板書をそのまま写したからである。また後者では、一文目も
正確に視写できていない。しかし、この箇条書きを意識した書き方
はとてもいい。理由文が3つも書けているからである。

■番号作文で授業感想文を書く

 3日続けて授業感想文を書いてきた。理由文が多く書けるように
なってきた。そこで、授業感想文の理由文を番号を使って書く書き
方を教えた。
 次の書式である。
┌────────────────────────────┐
| 今日の授業は○である。                |
| どうしてかというと、理由は( )つある。       |
|1)                          |
|2)                          |
|・                           |
|・                           |
| だから、今日の授業は○である。            |
└────────────────────────────┘
注:「1)」は本来○付き数字だが機種依存文字のため「1)」と
表記している。 
 『理由は番号を付けて、たくさん書きます。最後に2文目の
( )にいくつ書けてかを書きます』
 光村図書5年(上)「読むということ」の学習を行い、最後の5
分間で書いてもらった。
 作品例をあげる。
┌────────────────────────────┐
| 今日の授業は4である。                |
| どうしてかというと、理由は(5)つある。       |
|1)読むことがまた好きになったからだ。         |
|2)線をどんなときに使ったりするのかがわかった。    |
|3)書き込むは大事であることがわかった。        |
|4)文章をどう読むかがわかった。            |
|5)対話しながら読むことがわかった。          |
| だから、今日の授業は4である。            |
└────────────────────────────┘
 クラスではおとなしい児童の作品であるが、堂々の5個も理由文
を書くことができた。クラス平均で3個の中での5個は立派であ
る。初めてにしてはよく書けている。
 番号作文で理由を書くと、とにかく、構成を考えずに思いついた
順にどんどん書けるのがいい。 
 このように、授業感想文を1週間続けて、クラス平均5分間で
200文字程度の感想文が書けるようになった。

■考察

 上條氏は「授業づくりネットワーク(学事出版1993年11月号ナン
 バー74)」特集タイトル「授業感想文=子どもに学ぶ」より、
「授業感想文でヒットポイントをさぐる」で次のように述べる。

----引用開始------------------------------------------------
┌────────────────────────────┐
| 次の書き出しで、感想文を書きなさい。         |
|┌──────────────────────────┐|
|| 今日の国語は、○である。             ||
|| どうしてかというと、・・・・・。         ||
|└──────────────────────────┘|
| ○の中には、1〜5の数字が入ります。時間は、5分です。|
└────────────────────────────┘
          (中略)
┌────────────────────────────┐
| 今日の作文は、○である。               |
| 理由は□つある。                   |
| ひとつ目は・・・・。                 |
| ふたつ目は・・・・。                 |
|   ・                        |
└────────────────────────────┘
 次にこの書式を教える。この書式が使えるようになると、子ども
 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
たちからの授業情報量がグンとアップする。
----引用終了------------------------------------------------

 はじめの書式と後の書式は理由文にナンバリングをするか、しな
いかの違いである。
 ナンバリングをすると、理由文を多く書けるようになる。ではな
ぜ、この書式をはじめから教えないのであろうか。
 以前、上條氏に『「どのタイミングでこの後者の書式を教えるの
か」、「次に」とはいつか?』との質問した。
 氏の回答は至極簡単であった。
『この書式が必要になったら教える』
 つまり、はじめの書式はとにかく自分の主張に対して一つでも根拠
を書いてくれればいい。はじめは、書けない子はなかなか書けない。
しかし、それを繰り返していくうちに、だんだんと理由文が多く書け
るようになってくる。
 みんなが多くの理由文が書けるようになってきてはじめて、ナンバ
リング、ここでは、「ひとつ目は・ふたつ目は・・・」を教えるとい
うわけである。
 『子どもたちが必要になってから教える』、上條氏の作文指導はい
つも子どもたちからの発想に基づいている。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 池内 清(いけうち きよし)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:授業づくりネットワーク(事務局員)
      全国教室ディベート連盟(理事)
      学習ゲーム研究会(HP担当)
      メディアリテラシー教育研究会(事務局員)

 主な著書:『小学校はじめてのディベート授業入門』
      『ディベートで学級会づくり』
      『論理的な表現力を育て学習ゲーム』(共著)
       以上学事出版刊 など多数

      ◆       ◆       ◆

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