メールマガジン「実践!作文研究」
第110号(2002.3.17)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第110号 2002年3月17日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。
 「実践!作文研究」110号をお届けします。
 今回は、山梨県の井上秀喜さんによる「会話書き出し作文の指導
について」をお送りします。
 なお、井上さんの文章の中で紹介された本は、こちらのサイトで
注文することができるようですのでご利用ください。
 http://www.esbooks.co.jp/myshop/inotti/
 ご意見ご感想もお待ちしています。

       ◆       ◆       ◆

−−2.会話書き出し作文の指導について−−
                 山梨県増穂中学校 井上秀喜

 今回、報告させていただく《会話書き出し作文》は、板垣昭一著
『楽々書ける中学生の作文術』(フォーラム・A  発行)の追試です。

 この本は、中学校で作文の授業をどうやったらいいのかという時
のよりどころになります。本来は、中学生が作文の勉強を自分でで
きる書き込み式の学習書です。

 例文を参考に自学自習形式で作文の勉強ができるようになってい
ます。

 私が実際に、使わせていただいた部分の指導資料を紹介します。
( 板垣さんの参考作品は、会話から始まっていませんので、会話か
 ら始まるように修正してあります。)

(『楽々書ける中学生の作文術』P30より引用開始)―――――

練習11  中学生になってから、とってもうれしかった( 楽しかっ
た/悲しかった/くやしかった/おどろいた……など )ある時ので
きごとを、人にわかるように書きましょう。今回は、〈書き出し〉
を「会話」にしてみましょう。

※ある子が書いた次の作文を例に見てから、自分の作文を考えてく
ださい。

《参考作品》   今日の部活で                 Y

「ナイスサーブ!」
と、私はサーバーに言った。
  14対12、私達のチームがサーブ権を取ったのだ。
  そうなんだ、私たちはあと1点で先輩のチームに勝てるんだ!と
心の中に言い聞かせた。
  ピーと笛が鳴り、サーバーがサーブを打った。ボールは、ネット
をこえ、相手の方へ飛んで行った。
  だが、先輩はそれをなんなくひろってしまい、ボールが返ってき
てしまった。
  そして、そのボールは私の頭をこしてバックへ行った。私はボー
ルを取って後をむき、「バック!」と大きな声で言った。それから
その人は、ボールを取り、セッターに上げた。セッターはうまくト
スを上げて、スパイカーに上げた。
  そして、バシィ!  とゆかにボールのつく音がした。
  その瞬間、「やったあ!」という声が思わずとび出た。はじめて
先輩に勝つことができた。

┌――――――┬―――――――――――┐┌―┬――――――┐
│書きたいこと│とっても              │|題|            |
└――――――┴―――――――――――┘└―┴――――――┘

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生徒は、上の資料を参考に作文を書くことになります。

そして、以下のような作文が生まれました。

生徒作品を紹介します。中学2年生の作品です。

《作品1》書きたいこと  とってもくやしかったこと

     題  初めてのコンクール       櫻井さん

「がんばって!」という一年生たちの言葉。
  私たち吹奏楽部は、コンクール会場で出番を待っていた。控え室
で練習をし、今か今かと待っていた。
 いよいよ発表だ。今まで練習してきたことをふりかえるように、
発表を始めた。先生が手を上げてまわりから吹き始めた。私のパー
トは少したってから始めた。自分たちでは、今までよりもいい演奏
を始めた。私たちは、最後まで頑張り吹き終わった。
 結果はずっと先だった。私たちは時間が遅くなるため部長たち三
人くらいにまかせて帰り、次の日の結果を待っていた。
 惜しくも結果は銅賞だったけど、自分たちはできるかぎりのこと
をして悔いの残らないようにできた。

※この櫻井さんの作品は、吹奏楽コンクールの演奏の場面と、次の
日の審査結果を聞いての感想エンディングで構成されています。
《ある時》に限定された作文ではないですが、書きたいことが「く
やしかったこと」ということなので、そうならざるをえないと思い
ます。

《作品2》書きたいこと  とってもうれしかったこと

     題  陸上記録会で        後藤さん

「緊張してきた。」
と、私が言うと、友達も
「まじやばい。けど、がんばろうね。」
と、言ってくれました。今から八百メートルを走るのです。スター
トラインにつくと、足の震えがおさまったりピークになったりすご
かったです。
「位置について、スタート。」
と、先生の声。私たちもいっせいに走り出しました。今まで緊張し
ていたのが、ウソのように走りに集中できました。八百メートルは、
ほとんどダッシュなので、二周目はだんだん疲れてくるけど、最後
まで真剣に走れました。
 結果は一位でした。今まで学校で練習してきたことが本番でも出
せて、とてもうれしかったです。でも、あと0・二秒ぐらいで大会
新だったのでちょっとくやしいです。

※この作品は、《ある時》に限定された作品です。「今から八百メ
ートルを走るのです。」と実況説明した書きぶりがいいと思います。

《作品3》書きたいこと   とってもうれしかったこと

     題  勝利の瞬間          米山くん

「次はこれだ。」
と、自分は言った。
「OK。まかして。」
と、雅司はいった。一セットとってあと一セットとれば、優勝だと
心に思った。最終セットの20対16でリードしていた。あと1点
で全国へいける!とワクワクの気持ちがこみあげてきた。
 しかし、再び心をひきしめて、サービスを確認した。そして、気
合の掛け声をかけ、トスをあげてサーブをうった。ラリーは続いた。
 だが、こちらがドライブをかけ先に攻めた。そのボールは止めら
れてしまったが、二人でプレイするのがダブルスというもの。僕は
返ってきたボールをバックで返した。
 そしたら、相手のボールは返ってくることはなかった。
 よっしゃと声をかけ、優勝を確信した。そして、ただ一つのぼく
らの全日本行きが決まった。

※卓球の全日本行きを決めた試合の決定的瞬間の場面を上手に切り
取っていると思います。

《作品4》書きたいこと  とってもうれしかったこと

     題  ドキドキの瞬間        朝井さん

「それではテストを返します。」
と先生がそう言った時、私の胸は高鳴りだした。なぜかというと、
今回のテスト勉強には、とても力を入れてがんばったので、早くテ
ストの結果が知りたかったからだ。
 男子一番の人からテストを取りに行って、だんだん私の番が近づ
いてきた。そして、二列に並んで、自分の名前が呼ばれてテストを
もらって、見てみると、なんと百点だった。飛び上がるほどうれし
かった。やっぱり勉強してよかった、とつくづく思いながら自分の
席に戻った。
 次も、この瞬間を味わえるように一生懸命頑張りたい。

※学校生活の中で、テストを自分が受け取る時までの様子と気持ち
がよく書けていると思います。

 この作文では、一つの場面を思い出し、読み手にわかるように書
くことが大切です。

【付け加え】

 この原稿は、「実践!作文研究メーリングリスト」での発言を、
編集したものです。メーリングリストでいただいたアドバイスも取
り入れてあります。アドバイスをいただいた方に感謝するとともに、
読者の皆さんからもご意見をよろしくお願いします。

【プロフィール】

井上  秀喜(いのうえ  ひでき)
山梨・増穂町立増穂中学校教諭
メーリングリストを利用して国語の読み・書きの学習指導の情報交
換を進めている。読み研方式勉強会ML・一読総合法勉強会ML・
ネーミング術語勉強会MLなどの管理人をしている。
参加希望の方は、hideki55@fox.zero.ad.jpまでお問い合わせください。

       ◆       ◆       ◆

−−3.「実践!作文研究」進化情報−−
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○「おもしろ作文道場」は第58回「ちょっと自慢です」です。
 たくさんの投稿をお待ちしています。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/toko/q-58.html

○「実践!作文研究会」では、主旨に賛同してくださる会員の方を
 募集しています。概要、主旨、入会フォーム等はこちらです。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/jsk/
 皆さんのご参加をお待ちしております。

       ◆       ◆       ◆

−−4.編集後記−−

☆「めるぼっくす」で本誌をお読みの皆さん(29人)へ
 「めるぼっくす」からの発行は前号で終了とお知らせしまし
 たが、まだ発行可能ということですので、終了までしばらく
 続けます。「めるぼっくす」の対応が再三に渡って変化する
 ので、私の方も業を煮やしているのですが、ご理解願います。

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○作文や作文的手法の実践・理論・追試報告などの情報や、作文に
 関するHP、MM、MLなどの情報、本誌への感想をお待ちして
 います。本誌やWEBサイトで紹介させていただくことがあります。
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 転載希望の方は必ず松田までご相談ください。
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発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
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(C)実践!作文研究会 2002
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