メールマガジン「実践!作文研究」
第108号(2002.3.3)


学力問題としての作文教育を考える
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第108号 2002年3月3日発行(毎週日曜日発行)
 登録・解除は http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 みなさん、こんにちは。
 「実践!作文研究」108号をお届けします。
 3月に突入し、皆さんの職場や学校でも年度末に向け忙しくなっ
てきたことでしょうね。
 さて今回は、池内 清さんによる新連載「実践!授業感想文」を
お送りします。執筆者の池内さんは、最近「作文が好きになるHP」
というホームページを立ち上げました。こちらもご訪問ください。
 http://www.geocities.co.jp/NeverLand/9068/

 それでは「実践!授業感想文」、どうぞお読みください。

       ◆       ◆       ◆

−−2.連載「実践!授業感想文」−−
                        東京・小学校
                          池内 清

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 実践・授業感想文
     ------上條晴夫氏の授業感想文を追試する------

              私立聖学院小学校  池内 清
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【新連載を始めるにあたって】
 私は、上條晴夫氏の「見たこと作文」は作文教育の金字塔を建て
たと考えている。「見たこと作文」とそれにまつわる指導技術は
我々作文教育に携わる教師全員が追試を行う価値がある。
 しかし、上條氏の実践でもう一つ落としてはならないものがあ
る。それは「授業感想文」の実践である。授業感想文とは簡単に
言って、授業のおしまいの五分間に書かせる「授業の感想文」であ
る。
 佐藤民男氏は上條氏の授業を見に行った時にこの「授業感想文」
を書いているクラスを観察して、次のように述べている。
 『子どもたち二十四人が一斉にえんぴつを走らせている。一斉に
である。こんな光景は見たことがない。一人もボサーとしている人
がいないのだ。ただの一人もだ・・・。
 結局、大学ノート一ページ分ぐらいの量をどの子も五分で書い
た。
「書けない子をなくす 作文指導の10のコツ(p8〜p9)」』
 私もこの通りの授業風景を見たら驚くだろう。しかし、上條氏は
以下のように述べる。
 『(佐藤氏の記録を見て私は)少し慌てた記憶がある。(中略)
どのクラスにもある、当たり前のことだと思っていたのである。』
 そして、このように書き慣れた子どもたちを育てた一つの方法が
「授業感想文」であると述べるのである。
 これほど子どもたちに書く力を育てることのできる方法とはどの
ようなものか。その「授業感想文」の指導法を上條晴夫氏の著作を
通じて整理していくのが今回の新連載を始める目的である。
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■授業感想文とは
 
 授業感想文とは、授業を行ったあとの3〜5分を使って子どもた
ちに書かせる授業の感想文である。
 上條晴夫氏が教師時代の10年間に行って来た実践である。
 授業感想文の効果を氏の著作からまとめてみると、以下の三点に
整理することが出来る。

 1)子ども理解(授業への不満・学習法の好み・関わり合い)
 2)授業改善
 3)書き慣れ

 この連載では、上條氏が行った授業感想文の実践を整理し、その
効果を検証して行く。

■授業感想文の書き方

 授業感想文の書き方の典型的な手順は以下の通りである。
 授業のおしまいの5分間を使う。

┌────────────────────────────┐
| 次の書き出しで、感想文を書きなさい。         |
|┌──────────────────────────┐|
|| 今日の国語は、○である。             ||
|| なぜかというと、・・・・・。           ||
|└──────────────────────────┘|
| ○の中には、1〜5の数字が入ります。時間は、5分です。|
|(「作文指導の10のコツ」p10より引用)        |
└────────────────────────────┘

 この他に、『5(とてもおもしろい)、4(まあまあおもしろ
い)、3(どちらともいえない)、2(あまりおもしろくない)、
1(全然おもしろくない)(同書p11)』を説明する。 
 この書式は、書き慣れていない子も比較的容易に書ける仕掛けが
隠されている。
 以下の2点である。

┌────────────────────────────┐
|・書き出し文を与えることにより、簡単に書くことができる。|
|・五段階評価をすることにより、自分のこれから書く感想文の|
| 立場が決まる。すると理由文が書きやすくなる。     |
└────────────────────────────┘

 この他の指示として、以下の二つの指示を付け加えている。

 ・『理由の文はなるべくたくさん書きなさい』(同書11p)
 ・(一文が長くなってしまう時は、)『丸(句点)の数を稼ぎな
  さい』(同書p119)

 これらの指示は子どもたちの吐き出してもらうためのものであ
る。短くてもたくさんの理由を書くことがいいとされる。
 以上の書き方を続けると、『もたもた書いていた子も、ひと月も
するとどんどん書けるようになる(同書10p)』。
 
■授業感想文の運用法。

 以下、簡単にどんな時に、どのくらいの期間に書かせるかをまと
めておく。

 ・毎日3〜5分程度書かせる(同書10p)。
 ・ひと月くらい続けると効果がでる(同書10p)。
 ・自分(教師)が気に入った、工夫した授業を書かせる
  同書11p)。
 ・少し控えめに書いてもらう。『あまり、ひどいことを書かれた
  ら先生もヤル気がなくしちゃうでしょ。だから、おもしろくな
  いなって書く時にも、あまりバーンって書かないで、少し控え
  めに書くっていうのかな。そういう配慮をしてください』
  (同書120p)
 
■授業感想文の実際

 私のクラスの授業感想文を紹介する。六年生で俳句の句会をした
時の授業感想文である。

┌────────────────────────────┐
| ぼくは、俳句の授業でランクをつけるなら5です。    |
| なぜかというと、人の句を聞き、人気などを決めることでや|
|る気がわいてくるからです。               |
|「もっとやりたい」                   |
|という思いになります。                 |
| また、外に出て、いろいろなものを見て、俳句を作ることで|
|創造力も身に付いてきたと思います。           |
| そして、「俳句には季語を一つ入れる」ことなども学べまし|
|た。                          |
| 俳句を楽しく理解できたので、ぼくは5にしました。   |
└────────────────────────────┘

 六年生後期の授業感想文である。クラスの中では、えんぴつが遅
い部類に属する児童の作文である。
 句会でこの子の俳句が選ばれたわけではない。しかし、俳句の句
会形式の授業に対する好感を感じさせる。
 
■参考文献

 今回の連載で使用する文献は以下のものである。

 雑誌論文
 ・「授業づくりネットワーク(学事出版1993年11月号ナンバー
   74)」特集タイトル「授業感想文=子どもに学ぶ」より、
  「授業感想文でヒットポイントをさぐる」

 書籍
 ・書けない子をなくす 作文指導の10のコツ
                     (学事出版1992年刊)
 ・教師のための文章講座1「楽しい学級通信の書き方」
                     (学事出版1994年刊)

 そのほか、上記著作から分からないことがあれば氏にうかがい、
そのことも出来るだけ書き留めて置くつもりである。

【今回の執筆者のプロフィールです】

 池内 清(いけうち きよし)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:授業づくりネットワーク(事務局員)
      全国教室ディベート連盟(理事)
      学習ゲーム研究会(HP担当)
      メディアリテラシー教育研究会(事務局員)

 主な著書:『小学校はじめてのディベート授業入門』
      『ディベートで学級会づくり』
      『論理的な表現力を育て学習ゲーム』(共著)
       以上学事出版刊 など多数

       ◆       ◆       ◆

−−3.「実践!作文研究」進化情報−−
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 募集しています。概要、主旨、入会フォーム等はこちらです。
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       ◆       ◆       ◆

−−4.編集後記−−

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