メールマガジン「実践!作文研究」
第10号(2000.4.2)


論理的思考を鍛える「さくぶん情報誌」
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 メールマガジン「実践!作文研究」
 第10号 2000年4月2日発行(毎週日曜日発行)

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−−1.はじめに−−
                  「実践!作文研究」編集長
                          松田善啓

 新年度を迎え、張り切っている方も多いことでしょう。
 このマガジンに対してみなさんから戴いた感想は、ホームページ
の次のURLの中に掲載しています。それをもとに、意見交流を深
めていきたいと考えています。
 http://www.jugyo.jp/sakubun/magazine/
 「バックナンバー」の中の「感想」をクリックしてください。
 さて今回のリレー連載は、池内清さんの「作文キーワード事典」
をお送りします。

         ◆     ◆     ◆

−−2.リレー連載・「作文キーワード事典」−−
                        東京・小学校
                          池内 清

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作文キーワード事典 第3回

   【主張】・・・はっきり書くということ
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■はっきりと主張する

 論理的な作文を書くとき、主張には必ず根拠を伴わせる必要があ
る。なぜなら、根拠がなければ、その主張は独善的な文となってし
まいがちになるからである。
 
 同じ考えをもった仲間同士であれば、主張に根拠を伴わせなくて
も納得してくれる。しかし、主張するということは、自分とは考え
方の異なる読み手に対して、書き手の考えを理解してもらうために
行うものである。その主張を正確に理解してもらうには、主張があ
いまいであると誤解が生じてくる。だから、正しく主張するために
は、あいまいさのないはっきりした文で主張する。その上で主張に
対して根拠が伴うように書く。
 
 論理的な作文の「入門期」では、次のように書くといい。
┌────────────────────────────┐
│ 〜である。なぜならば・・・。             │
└────────────────────────────┘
 「〜である」で、はっきりと主張を書く。次の、「なぜならば」
は理由を導く接続詞である。このように書くことによって、表現上
のあいまいさはなくなり、形式的にも、主張がはっきりわかるよう
になる。

■避けた方がいい2つの文型

 文の形式では、何が主張であるかが読み手にはっきりとわかるよ
うに書くことがポイントである。
 以下、「主張をはっきり書く」にはどうすればいいか、形式面を
中心に書く。そのために、避けた方がいい文型を2点あげて考察を
する。

(1)「・・・ではないだろうか」
┌────────────────────────────┐
│ 省エネルギー対策として、サマータイム制を導入すべきでは│
│ないだろうか。                     │
└────────────────────────────┘
 主張していることはわかる。しかし、論理的な作文の場合には、
少しでもあいまいな部分は取り除いた方がいい。この文では、読み
手に対して主張の判断をゆだねている。つまり、書き手は主張から
責任を逃れている、とも読むことができる。
 このあいまいさを取るためには、次のように、
┌────────────────────────────┐
│ 省エネルギー対策として、サマータイム制を導入すべきであ│
│る。                          │
└────────────────────────────┘
と、はっきり主張を述べた方がいい。

 (2)「・・・と思う」
┌────────────────────────────┐
│ 省エネルギー対策として、サマータイム制を導入するべきだ│
│と思う。                        │
└────────────────────────────┘
 「思う」に関しては次の2点のあいまいさが考えられる。
 1つ目。主張は個人的な意見であるから、特に「思う」と表現す
る必要はない「思う」という表現を使うと自分の意見に自信がな
いと読み手に受け取られる場合がある。
 2つ目。「思う」という表現は「私はそう思う」ということであ
る。主張に対して反論をされた場合、「私はそう思ったから、『そ
う思う』と書いた」と、責任逃れの答えを想定して書いているよう
に受け取られる可能性がある。
 この場合も、
┌────────────────────────────┐
│ 省エネルギー対策として、サマータイム制を導入すべきであ│
│る。                          │
└────────────────────────────┘
と、はっきり主張を述べた方がいい。

 「・・・ではないだろうか」「・・・と思う」という表現は一般
的な文章によく使われる。しかし、「論理的な作文」を書く場合、
表現にあいまいさをなくすために、このような表現を避け、「はっ
きりと書く」ことが大切になる。
 
■ワンポイントレッスン

 次の文章を、主張をはっきりとさせて、書き直してください。
┌────────────────────────────┐
│ 日本がサマータイム制を導入するという。こんなことでよい│
│のだろうか。                      │
└────────────────────────────┘

■解答例

 『日本がサマータイム制を導入するという。こんなことではよく
ない』
 
■解説

 問題文でも、書き手が「サマータイム制に反対をしている」と読
むことはできる。ただ、「こんなことでよいのだろうか」とは反語
「本来の意味とは反対の意味を含ませる表現法」(岩波国語辞典4
版)である。反語表現を使うと、誘導型の文章表現となる。これも
論理的な作文では避けたい表現である。なぜなら、自分では意見を
言わずに、相手に暗示をかけて同意を得ることになるからである。
ここでは、反語表現を使うのではなく、「こんなことではよくな
い」と、はっきり主張した方がいい。
 
(参考文献 小野田博一著「論理的に書く方法」日本実業出版社刊
 1997年発行)

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 下記アドレスにご意見、ご感想をいただけると幸いです。
 池内 清 ikeuchi@air.linkclub.or.jp
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【今回の執筆者のプロフィールです】

 池内 清(いけうち きよし)
 東京・私立聖学院小学校教諭 
 所属団体:授業づくりネットワーク(事務局員)
      全国教室ディベート連盟(理事)
      学習ゲーム研究会

 主な著書:『小学校はじめてのディベート授業入門』
      『論理的な表現力を育て学習ゲーム』(共著)
       以上学事出版刊 など多数

         ◆     ◆     ◆

−−3.ホームページ進化情報−−

○次のところにリンクを張りました。
 ・日本語ライティングの世界
 (ライティング・トレーナー、倉島保美さんのサイト)
  http://www2u.biglobe.ne.jp/~kurapy/jwriting.html
 ・脇坂康雄のホームページ
 (『読むだけの作文講座』というメールマガジンあり)
  http://www.d5.dion.ne.jp/~yuk.wak./
 ・N's教育実践資料室
 (山形県の小学校教師、真田伸夫さんのサイト)
  http://www2.ocn.ne.jp/~nsanada/
 ・行政書士 山口事務所
 (神奈川県の行政書士、山口さんのページ)
  http://www.d5.dion.ne.jp/~y.yama/index.html

         ◆     ◆     ◆

−−4.編集後記−−

 来週号(No.11)は、松田善啓(小学校)のリレー連載「百万人
のインターネット作文術 第2回」をお送りします。
 どうぞお楽しみに!

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発行責任者 松田善啓 yo_mazda@nifty.com
編集主幹  上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.com
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