翻訳作文
上條晴夫『作文指導20のネタ』(学事出版、1992年)より


 古文の一節を、子ども風、アナウンサー風、など、いろいろな訳し方で現代文にする作文。
 『かぐや姫の物語、知ってる?』
 と切り出す。
 簡単にあらすじを説明した上、平安時代に書かれた物語であり、正確には「竹取物語」という名前だということを話す。
 そして、次の書き出しを黒板に書き、一斉読みする。

今は昔、竹取りのおきなといふものありけり。

 ふつうは、「今ではもう昔のことだが、竹取りの翁と呼ばれる人がいたそうだ。」と訳す。
 「ふつう」…つまり、学者が学者風に訳すとこうなるということ。
 『では、学者さんでない訳し方はどうなるだろう』
 例えば、2〜3歳の子ども、(原典では「元気いっぱいのおネエさん」だがここは敢えて)コギャル、田舎のおじいさん、テレビのアナウンサー。
 例文を話して聞かせる。

《子ども》
 むかーちネ、竹取りのネ、じいちゃんてネ、チトがネ、いたんだってネ。
《コギャル》
 チョー昔ってゆーか、竹取りジジイっつーのが、いたんだっちゅーの。
《おじいさん》
 今じゃ、もうずいぶん昔のこった。竹取りのじっさまと呼ばれる人がおったそうじゃ。
《アナウンサー》
 「昔」と呼ばれる時代のことです。「竹取りの翁」と呼ばれる人物がいたもようです。

 バカ受けしたところで、次の例文を提示。

三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
(背丈三寸ほどの人が、まことにかわいらしい様子で座っていた)

 これの翻訳を子どもたちにしてもらう。
 コツを次の様に話す。
・「子ども」は、言葉を短く切って「ネ」を入れる。
・「コギャル」は、「チョー」「てゆーか」などのことばを入れる。
・「おじいさん」は、「じゃ」というのを間に使う。
・「アナウンサー」は二字熟語と丁寧な言葉を使う。

 作文例

《子ども》背の大きさがネ、ちょびっとしかない人がネ、とってもね、かわいくネ、おっちゃんこしてたヨ。
《コギャル》てゆーか、背が三寸くらいしかない人がさー、チョーカワユク座ってたんだっちゅーの。
《おじいさん》背丈が三寸くらいの人がのう、たいそうかわいらしく座っておった。
《アナウンサー》身長約三寸ほどの人物が、非常にかわいらしい様子で座っていたそうです。

 他の古文、あるいは他の訳し方でも応用できそう。たとえば関西風、九州風…。